保険の基本
仕組み・メリット・デメリットもわかりやすく解説
ファイナンシャルプランナー 加藤 梨里
マネーステップオフィス株式会社代表
定期医療保険は、保険期間が一定の医療保険です。全期型と更新型があり、更新型の定期医療保険は一定年齢まで更新が可能です。ライフプランに応じた見直しがしやすいのがメリットの一つですが、更新時の保険料などの注意点も理解しておきましょう。
更新日2025.03.27
掲載日2025.03.27
定期医療保険は、10年、20年など一定期間を保障する医療保険です。終身医療保険と異なり、保険期間が満了すると基本的に保障が終了しますが、更新型は一定年齢まで保障の継続が可能です。定期医療保険の仕組みや選び方を知っておきましょう。
医療保険には、保障が一生涯続く終身医療保険と保険期間に定めがある定期医療保険があります。このうち定期医療保険は、10年や20年など一定期間にわたり保障される医療保険です。
ライフネット生命作成
定期医療保険には、次のような特徴があります。
保障されるのは契約時に定めた一定の保険期間です。保険期間が満了すると、基本的に保障は終了します。
定期医療保険の保険期間には、「全期型」と「更新型」の二つのタイプがあります。全期型は更新がないタイプで、契約時に定めた保険期間が満了すると、保障はなくなります。
更新型は、10年や20年といった保険期間が満了したら、原則として健康状態に関係なく、それまでと同じ保険金額や保険期間で更新して保障を継続できるタイプです。更新は、契約者からの申し出がない限り自動的に更新される「自動更新」で、80歳や90歳といった所定の年齢まで更新できるものが一般的です。
定期医療保険は保険期間が限定されるため、保障内容や保障額などの条件が同じ場合には、終身医療保険と比べて契約時の保険料が抑えられる傾向があります。
ただし、更新型の定期医療保険の場合、保険期間中の保険料は変わりませんが、更新時には更新する時点の年齢や保険料率で保険料が再計算されます。このため、保険料は多くの場合で更新前よりも高くなります。
医療保険には、病気やケガによる入院・手術などへの医療保障が終身にわたって続く終身医療保険もあります。保険期間や保険料において、定期医療保険との違いがあります。
定期医療保険の保険期間が一定であるのに対して、終身医療保険の保険期間は一生涯続きます。
定期医療保険は、更新型の場合、更新する時点の年齢や保険料率で保険料が再計算されるため更新時には多くの場合で保険料が上がります。一方で、終身医療保険は保険期間を通じて保険料が上がりません。
定期医療保険と終身医療保険のいずれにおいても、一般的に入院や手術など基本的な医療保障は含まれています。特約などで先進医療、がん、女性疾病への保障を付加できるものもあります。
ライフネット生命作成
ライフネット生命作成
定期医療保険には、どのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットを挙げてみましょう。
定期医療保険の保険期間は一定です。このため、保障が必要な期間に合わせて契約できます。また、更新型の定期医療保険は、10年、20年など一定の保険期間の満了時に合わせて、事前に申し出ることで見直しも可能です。
一般的に、転職・結婚・出産・マイホームの購入などのライフイベントを迎えた際には、病気やケガへの備えに対するニーズが変わることがあります。こうしたライフプランの変化に合わせて、特定の期間は保障を手厚くする、医療保障へのニーズが変わったら保障額を変更する、特約など一部の保障を解約する、更新せずに保障を終了し、別の医療保険に契約し直すなどの方法で、医療保障を見直すこともできます。
健康状態などにより、新たに保険に入り直すことができない場合があります。乗換による解約はお客さまの不利益になる場合がありますので、保険の見直しに当たってはご注意ください。(ライフネット生命)
定期医療保険は保険期間が限定されるため、保障内容や保障額などの条件が同じ場合には、終身医療保険と比べて契約時の保険料が抑えられる傾向があります。
したがって、特定の期間に絞って医療保障を確保したい、後に見直しをする可能性がある、保険料を抑えたいといったニーズがある場合には、定期医療保険の特徴をメリットとして活かせるかもしれません。
定期医療保険には、保険期間や保険料において先に述べたようなメリットが挙げられますが、どのような点に注意が必要でしょうか。デメリットも確認しておきましょう。
定期医療保険の保険料は、保障内容や保障額などの条件が同じ終身医療保険に比べると、契約時点では抑えられます。ただし更新型の場合、保険期間中の保険料は変わりませんが、更新後に保障を継続する際には更新時点の年齢や保険料率で保険料が再計算されるため、多くの場合で更新前よりも高くなります。このため、更新後には諸条件が同じ終身医療保険よりも保険料が高額になる、契約中に払い込む保険料総額が高額になるなどの可能性に留意が必要です。
定期医療保険の保険期間は一定で、保険期間が満了すると基本的には保障が終了します。更新型の場合は基本的に更新が可能ですが、一般的には80歳や90歳といった所定の年齢を限度としています。所定の年齢に達すると保障が終了するため、その後の医療保障については別途検討しておくことが大切です。
定期医療保険に契約する際には、どのようにプランを選べばよいのでしょうか。定期医療保険の選び方のポイントを解説します。
定期医療保険には、一定年齢まで更新して保障を継続できる更新型と、更新がなく契約時に定めた保険期間にわたって保障される全期型があります。定期医療保険を検討する際には、まず、更新型か全期型か、どちらのタイプを選ぶかを決めましょう。
更新型は、10年、20年などの保険期間ごとに更新を迎えるため、見直しのきっかけにもなります。反面で、更新できる年齢に上限がある、更新のたびに保険料が再計算され、高くなる可能性があることなどに留意が必要です。
全期型は、保険期間中の保険料は一定で変わりませんが、保険期間が満了すると保障が終了します。以後も保障を確保するためには、あらためて医療保険に契約するなどの対応が必要です。
ライフプランの見通しや医療保障への考え方に応じて選びましょう。
定期医療保険は、保障が必要な期間に合わせて備えることができます。設定可能な保険期間は商品や契約時の年齢などにより異なりますが、病気やケガへの備えを確保したい時期に合わせて選ぶと合理的です。保険期間が短いプランを選ぶと、長いものに比べて保険料を抑えられることもあります。
特定の期間の医療保障を手厚くしたい場合には、その期間に合わせて保障額の高いものや保障内容の充実したプランに契約する方法もあります。保険期間の満了時や更新時には、その時のニーズに合わせて見直すとよいでしょう。
通常、定期医療保険には入院給付金や手術給付金などの保障が含まれています。また、先進医療、がん、女性疾病など、商品によって多様な保障を付加できるものもあります。ご自身やご家族の病気やケガに際して、どのような保障を受けたいかを考えて、保障内容を選びましょう。
入院給付金については、保障額や保障される日数なども重要です。
定期医療保険の入院給付金日額は、5,000円~15,000円前後から選べるのが一般的です。公的医療保険で受けられる保障、すでに契約している医療保障の有無、家計や貯蓄の状況などに応じて、必要な給付金日額を検討するとよいでしょう。
参考として、生命保険文化センター「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」によると、疾病入院給付金が支払われる生命保険・個人年金保険加入者の疾病入院給付金の日額の平均は8,700円(男性9,600円、女性8,100円)となっています。分布をみると、男性では「10,000~15,000円未満」、女性では「5,000~7,000円未満」が最も多くなっています。
年代別にみると、男女とも50歳代での疾病入院給付金日額の平均が最も高くなっています。統計学的に分布を比較すると、男性では30歳代で「10,000~15,000円未満」、40~50歳代で「15,000円以上」の疾病入院給付金日額に加入している人の割合が高くなっています。女性では40歳代で「10,000~15,000円未満」が、70歳代で「3,000円未満」、「3,000~5,000円未満」が高くなっています。
image scroll
出典:生命保険文化センター「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」より筆者作成
image scroll
出典:生命保険文化センター「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」より筆者作成
入院をした際に、何日目から保障を受けられるかも重要です。5日以上の入院をした際に保障対象となるものや、日帰り入院や入院1日目から保障されるものなど、商品により対象となる入院の範囲が異なります。
また、入院の支払限度日数も確認しておきましょう。1回の入院につき60日、120日、180日など、入院給付金を受けられる日数の上限があります。長期間にわたる入院に備えたい場合には、支払限度日数が長いものを選ぶと安心でしょう。反面、支払限度日数が長いほど、ほかの保障内容や条件が同じ定期医療保険と比べて保険料が高めになる傾向があります。保険料を抑えたい、短期間の入院を中心に備えたいといった考えの場合には、支払限度日数が短いものを選ぶこともできます。
定期医療保険は保険期間が一定のため、特定の期間のみ医療保障を確保したい場合に向いています。保険期間の満了後にも保障を確保するには更新や再契約が必要ですので、定期的に見直しをしたい場合にも向いているかもしれません。また、保障内容や保障額などの条件が同じ終身医療保険に比べて、契約時の保険料を抑えられる傾向もありますので、月々の保険料を抑えたい場合にも活用できそうです。
長期的に保障を継続したい場合や、更新時に保険料が上がるのを避けたい場合には、保障が一生涯続き、保険料が一定で変わらない終身医療保険が向いているかもしれません。家計や貯蓄の状況、医療保障への考え方などを考慮して選ぶと良いでしょう。
多くの定期医療保険は、80歳~90歳などを上限として更新が可能です。ただし、保険会社や商品によって異なるため、契約時に確認することが重要です。上限年齢に達すると保障が終了するため、それ以降の医療保障をどうするかも事前に検討しておくことが大切です。高齢になってから新たに医療保険に契約する場合には、保険料が高めになる、健康状態によっては契約ができないか保障が制限されるなどの可能性もあります。医療保険を検討する際には、更新後のこともイメージしておきましょう。
定期医療保険は、一定期間のみ保障が続く医療保険です。保険会社や商品により10年、20年などの保険期間を選べます。終身医療保険と異なり、保険期間が満了すると保障が終了しますが、更新型の場合は一定年齢まで更新が可能です。契約時の保険料は諸条件が同じ終身医療保険より割安ですが、更新時にはその時点の年齢や保険料率などに応じて、多くの場合で保険料が高くなります。メリットとデメリットを十分に理解して、ライフプランに合わせて検討しましょう。
ライフネット生命の保険は、インターネットを使って自分で選べるわかりやすさにこだわっています。保険をシンプルに考えると、これらの保障があれば必要十分と考えました。人生に、本当に必要な保障のみを提供しています。
申し込みはオンラインで完結!