死亡保険とは、万が一のときに遺された家族に保険金が支払われる生命保険です。貯蓄性の有無の違いにより、掛け捨て型や貯蓄型(終身型・積立型)などの種類に分かれます。死亡保険の仕組みや種類はどのようなものがあり、どんな方に必要なのかなど、ライフプランに合わせたおすすめの選び方や保険金額の目安などについてわかりやすく解説します。

死亡保険とは?種類と特徴を解説

死亡保険とは、保障の対象になる被保険者が死亡したときや所定の高度障害状態に該当したときに、保険金が支払われる生命保険です。なお、高度障害状態とは、病気やケガで両眼の視力を全く永久に失った状態や、言語またはそしゃく機能を全く永久に失った状態などをいいます。死亡保険金はあらかじめ指定しておいた受取人に支払われるのが一般的で、葬儀費用やお墓代、家族の生活費や子どもの学費などに充てることができます。

死亡保険は、主に3つの種類に分けられます。

定期死亡保険

死亡保険のうち、保険期間が一定のものを「定期死亡保険」といいます。契約時に定めた一定期間内に死亡または所定の高度障害状態に該当すると、保険金が支払われます。

定期死亡保険の保険期間には「全期型」と「更新型」があります。全期型は更新がないタイプで、契約時に定めた保険期間が満了すると、保障はなくなります。

更新型は、10年や20年といった保険期間に達したら、原則として同じ保険金額や保険期間で更新して保障を継続できるタイプです。更新時にはその時点の年齢や保険料率に応じて保険料が再計算されるため保険料は高くなり、保険料は更新のたびに上がっていきます。

更新型の保険期間には、10年間や20年間など一定年数で設定する「年満了タイプ」と、60歳や70歳など所定の年齢で設定する「歳満了タイプ」があります。

全期型でも更新型でも、定期死亡保険には満期保険金がなく、保険期間の満了までに死亡や高度障害状態への該当がなければ保険金は支払われません。

また定期死亡保険では保険期間の途中で解約した場合、一部の商品を除き、払い込んだ保険料が解約返戻金として戻ってこないものがあります。つまり貯蓄機能がないため、「掛け捨て」の保険とも呼ばれます。

定期死亡保険は後述の終身死亡保険に比べると、同じ保障に対して、保険料が割安になる傾向があります。

定期死亡保険の特徴

終身死亡保険

死亡保険のうち、保険期間が終身にわたるものを「終身死亡保険」といいます。保障が一生涯続くので、保険加入後には死亡時または所定の高度障害状態に該当したときに保険金が支払われます。

保険期間が終身のため更新はなく、保険料は基本的に保険料払い込み期間中は一定です。

保険料払い込み期間には、一定期間または一定年齢まで保険料払い込みをする「有期払い」と、終身にわたって保険料払い込みを続ける「終身払い」があります。

終身死亡保険には満期はありませんが、将来の保険金の支払いに備えて払い込んだ保険料の一部が積み立てられており、保険期間の途中で解約すると解約返戻金を受け取れる場合があります。つまり貯蓄機能を備えているため、終身死亡保険は「貯蓄型」「積立型」などと呼ばれることもあります。
※健康状態などによっては、新たに保険に入り直すことができないことがありますので解約時にはご注意ください。

他方で、将来の保険金や解約返戻金に備えて保険料の一部が積み立てられる分、保障が同じ定期死亡保険に比べると、保険料は高めになる傾向があります。

終身死亡保険の特徴

収入保障保険

死亡保険のうち、保険期間中に死亡または所定の高度障害状態に該当したときから、保険期間の満了まで保険金(年金)が支払われるのが「収入保障保険」です。保険金は基本的に、一時金ではなく年金形式で毎月受け取ります(※一時金形式での受け取りを選択できるものもあります)。

死亡または高度障害状態に該当する時期に応じて、保険期間満了までに保険金を受け取る回数が変わるため、保険金の受取総額は契約から期間が経過するにつれ低くなっていきます。保険期間満了時には保険金額がゼロになるものもありますが、保険金の受け取り回数に2年や5年などの最低保証を設けている収入保障保険もあります。

ただし、保険期間中に死亡や高度障害状態に該当しなければ保険金は支払われず、保険期間満了とともに保障はなくなります。ですから収入保障保険は「掛け捨て」型の保険のひとつにあたります。

収入保障保険の特徴
定期死亡保険 終身死亡保険 収入保障保険
保険期間 一定期間のみ 一生涯 一定期間のみ
貯蓄性 なし
(掛け捨て型)
あり なし
(掛け捨て型)
保険料※ 終身死亡保険より安め 定期死亡保険より高め 定期死亡保険より安め
  • 契約時の年齢、性別、保険金額、保険期間などの条件が同じ場合。実際の保険料の金額とは異なる場合があります。
  • ここでの説明はあくまでも一般的な内容です。商品については各保険会社の約款などでご確認ください。

ポイント

  • 死亡保険の種類には主に定期死亡保険、終身死亡保険、収入保障保険がある
  • 定期死亡保険と収入保障保険は掛け捨て型
  • 終身死亡保険は保険金額や解約時期などにより解約返戻金を受け取れることがあり、貯蓄型・積立型とも呼ばれる

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死亡保険と生命保険の違い

一般的には、亡くなったときに保険金が支払われる保険のことを「生命保険」と呼ぶことがあります。では死亡保険と生命保険には違いはあるのでしょうか。

広い意味での「保険」は、大きく3つの分野に分けられます。

  • 第一分野:
    人の生存や死亡に関する保障をする保険。これらを総称して「生命保険」といいます。
    (例:定期死亡保険、終身死亡保険、収入保障保険、養老保険など)
  • 第二分野:
    偶然かつ突発的な事故によって生じた損害を補償する保険。総称して「損害保険」といいます。
    (例:自動車保険、火災保険など)
  • 第三分野:
    上記の生命保険と損害保険のいずれにもあてはまらない保険。
    (例:医療保険、がん保険、傷害保険、介護保険など)
保険の分野:第一分野:定期死亡保険、終身死亡保険、収入保障保険、老後保険など;第二分野:自動車保険、火災保険など;第三分野:医療保険、がん保険、傷害保険、介護保険など

死亡保険と医療保険などを合わせて「生命保険」と呼ぶことも

基本的に、生命保険会社は第一分野である死亡保険を中心に取り扱っていますが、第三分野に含まれる医療保険やがん保険、介護保険などを取り扱う会社もあります。そのような背景もあり、広い意味では死亡保険のほか医療保険やがん保険、介護保険などを含めて「生命保険」と呼ぶこともあります。

つまり、死亡保険と生命保険は違う種類の保険ではなく、生命保険のひとつが死亡保険ということです。

ポイント

  • 保険には、死亡保険などの第一分野、自動車保険などの第二分野、医療保険などの第三分野の3つの分類がある
  • 死亡保険のほか医療保険やがん保険などを含めて「生命保険」と呼ぶこともある

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死亡保険のメリット

死亡保険が必要か、入るべきかなどを検討する際には、死亡保険の意義やメリットを確認してみましょう。

遺された家族の生活保障

死亡保険は、被保険者が死亡または所定の高度障害状態に該当したときに保険金が支払われますので、主に家族の生活保障のために加入します。家計を支えている人の万が一のときに、遺された家族の生活費や子どもの教育費などに充てることを想定して、保険金額や保険期間を検討します。

死亡保険は、それまでに払い込んだ保険料や契約からの経過期間に関わらず、保険期間中であれば契約時に定めた保険金額が支払われます。万が一のことがいつ起こっても、十分な保障を受けられるのがメリットのひとつといえるでしょう。

預金:万が一のときに備えたお金を貯めるまでには時間がかかる。保険:万が一のことがいつ起こっても、すぐに十分な保障が受けられる

葬儀費用の準備

葬儀費用に充てるために、死亡保険を活用することもできます。亡くなった人の名義の預金は、死亡後に凍結されるため、遺産分割が終了するまで家族が自由に引き出すことは難しいのが現状です。

これに対して、死亡保険金は遺産分割の状況にかかわらず、あらかじめ指定した受取人に直接支払われます。請求手続きをすると速やかに支払われる死亡保険もあり、亡くなった後間もなくに執り行われる葬儀の費用に充てることもできそうです。

相続対策

死亡保険の保険料を亡くなった人が負担していた場合、死亡保険金は相続税の課税対象となりますが、相続人が受け取る場合には「500万円×法定相続人の数」まで非課税です。生前に預貯金などの資金をもとに死亡保険に契約し、受取人を家族などの推定相続人(その人の相続人になると推定される人)としておくことで、亡くなった人の資産を非課税で家族へ引き継ぐことが可能です。

亡くなった人の資産に預貯金や現金が多い場合には相続税の負担が大きくなりますが、死亡保険を活用することで負担を抑えられることがあります。

貯蓄

終身死亡保険など貯蓄型の生命保険では、生前に契約を解約して解約返戻金を受け取れる場合があります。契約からの経過期間が長くなるほど返戻率は上がり、受け取れる解約返戻金が払い込んだ保険料総額を上回るケースもあります。そのため、教育資金や老後資金などの貯蓄目的に終身死亡保険を活用することもできます。

ポイント

  • 死亡保険に加入する主な目的は、遺された家族への生活保障
  • 保険期間中であれば万が一のことがいつ起こっても、あらかじめ定めた保険金額を遺すことができるのが死亡保険のメリット
  • 死亡保険は、葬儀費用の準備や相続対策、貯蓄にも活用できる

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死亡保険はどんな方におすすめ?選び方と注意点

死亡保険を選ぶ際には、自分や家族のライフステージに合わせて保険金額や保険期間を検討するのがおすすめです。

独身の場合

独身の場合には、パートナーや子ども、親などを扶養しているケースを除き、自分の万が一のときに必要な保障は葬儀費用程度で十分かもしれません。死亡保険に加入する際には保険金額300万円や500万円など、数百万円程度のケースが中心です。

死亡保険の種類は、掛け捨てで保険料を抑えたい場合には定期死亡保険、貯蓄を兼ねて加入する場合には終身死亡保険を選ぶなど、目的に応じて組み合わせることも可能です。

単身者の死亡保険金額の一例

単身者の場合:保険金額500万円、葬儀費用で両親などに、迷惑をかけないために

夫婦の場合

夫婦の場合には、働き方や貯蓄額などに応じて検討するのがおすすめです。共働きで夫婦それぞれが経済的に独立していれば、基本的な考え方は独身の場合とそれほど大きな違いはないでしょう。

一方で、夫婦どちらかがもう一人を扶養していて、万が一のときに遺されるパートナーの生活保障を確保したいという考えであれば、将来に必要となる生活費について、受け取れる公的保障も踏まえながら必要保障額を検討してみましょう。パートナーの年齢や現在の生活費などによりますが、数百万円から1,000万円、1,500万円程度の保険金額を検討するケースが中心です。

死亡保険の種類は、生活保障のために加入する場合には、掛け捨ての定期死亡保険や収入保障保険を中心に、葬儀費用や老後資金を想定して加入する場合には、終身死亡保険なども選択肢として検討してもよいでしょう。

夫婦の死亡保険金額の一例

夫婦の場合:保険金額1,500万円、遺されたパートナーの生活を守るために

ファミリーの場合

夫婦と子どものいるファミリー世帯の場合には、夫婦の働き方や保有している貯蓄額のほか、子どもの人数や希望する進路などに応じて考えるのがおすすめです。子どもが独立するまでにかかる生活費と教育費を想定して、必要な保障額を検討します。子どもの人数が増えれば、その分必要な保障額も大きくなります。

子どもが幼いうちは独立するまでの期間が長い分、必要な保障額は高額になりがちです。死亡保険に加入する場合の保険金額は3,000万円や5,000万円など、数千万円単位になるケースが一般的です。

このため多くのケースでは、定期死亡保険など掛け捨て型を中心に検討します。子どもが成長し独立までの期間が短くなるにつれて、必要な保障額が少なくなっていくことから、収入保障保険を選ぶのもひとつの方法です。合わせて、葬儀費用や老後費用に備えて終身死亡保険を組み合わせることもできます。

ファミリーの死亡保険金額の一例

ファミリーの場合:保険金額3,000万円、遺された家族の生活費や子どもの教育費のために

子ども独立後の夫婦の場合

子どもが独立した後、夫婦2人で暮らしている場合には、子どものいる家庭に比べて必要な保障額が少ないのが一般的です。夫婦の年齢や働き方、定年退職の年齢、定年退職後の生活スタイルなどに応じて考え方が変わることがありますが、夫婦のどちらかがパートナーを扶養している場合には、万が一のときのパートナーの生活保障や葬儀費用を中心に、死亡保障を検討します。

一般的には、パートナーが老後に公的年金を受け取り始めるまでの期間は、生活保障として掛け捨ての定期死亡保険や収入保障保険を中心に検討し、葬儀費用への準備としては終身死亡保険なども選択肢にあがるでしょう。

子ども独立後の夫婦の死亡保険金額の一例

子ども独立後の夫婦の場合:保険金額1,000万円、子どもが独立した後のパートナーの生活を守るために

ライフステージにより必要な保障額は変化する

家族構成の変化以外にも、ライフステージの変化に応じて生命保険や死亡保険の考え方が変わることがあります。

例えば、住宅購入時に団体信用生命保険(団信)に加入した場合には、契約者が死亡、高度障害状態になった場合など万が一のときには住宅ローンの残債がゼロになり以後の返済は必要なくなります。そのため、住宅購入後には購入前に比べて生命保険で準備すべき死亡保障額は少なくなるかもしれません。

また、定年退職後に再就職をするなどで収入がある場合や十分な退職金、預貯金がある場合には、老後を迎えた夫婦にとって死亡保障は必要ないという考えもありえます。

これらの理由から、死亡保険はライフステージが変わるタイミングごとに見直しを行うことが大切です。見直しをしないままにしていると、万が一のときに十分な保障を得られなかったり、重複する保障内容の保険に複数加入していて、保険料の払い込みが家計の負担になったりする可能性もあります。死亡保険には、保険会社によって医療特約やがん特約など、死亡保障以外の保障がセットされているものもありますので、それらへのニーズの変化も合わせて検討してもいいでしょう。

就職、結婚、出産、子ども増加、住宅購入、子ども独立、退職などのライフステージの変化によって最適な保障額は常に変化します

ポイント

  • 死亡保険の選び方はライフステージによって異なる
  • ライフステージの変化に応じて、死亡保険を見直すことが大切

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Q&A

死亡保険の契約時にはどんな書類が必要ですか?

申込書、告知書、意向確認書、本人確認書類の提出が必要な保険会社が一般的です。商品の種類や契約内容により一部異なる場合もあります。また、インターネット上で申し込みが可能な場合には、スマートフォンやPCの画面上で情報の入力や画像アップロードにより、オンラインで手続きを完了できるところもあります。
ライフネット生命の場合は以下をご覧ください。
ご契約の流れと必要書類

死亡保険の保険金は誰に支払われますか?

死亡保険金は、契約時に指定した受取人に支払われます。保険金の受取人としてできるのは、被保険者の戸籍上の配偶者や2親等内の血族などです。事実婚のパートナーや同性のパートナーを受取人に指定できる場合もあります。
ライフネット生命の定期死亡保険の場合は以下をご覧ください。
死亡保険金の受取人に指定できる人は誰ですか?

まとめ

死亡保険は、遺された家族の生活保障や葬儀費用などに活用できる生命保険のひとつです。保険期間や仕組みの違いにより、定期死亡保険や終身死亡保険、収入保障保険などの種類があります。自分や家族に合った死亡保険の種類や保険金額の選び方や必要性は、年代やライフステージの変化に応じて変わることがあります。ライフステージに合わせて定期的に保険を見直すことも大切です。

必要な生命保険を知ろう

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