
子どもの預け先を考えるとき、制度や園の違いなど、あらかじめ知っておきたいポイントはいくつかあります。保育料や無償化の仕組み、園の特色まで、基本的な情報を押さえておくことで、より安心して選ぶことができるでしょう。

初めての子育てでは、保育園と幼稚園の違いを詳しく知らないまま…という方も多いかもしれません。どちらも就学前の子どもが通う施設ですが、目的や管轄、預かる年齢や時間が異なります。まずはその基本から見ていきましょう。

保育園は、保護者が仕事をしているなどの理由で家庭での保育が難しい時間帯に、子どもを預かるための施設です。こども家庭庁が管轄し、子どもが安心して過ごせる環境を提供しています。
0歳から受け入れている園も多く、小学校入学前までの子どもが集団で生活します。保育士は子どもの発達段階に合わせ、遊びや食事、お昼寝など日々の生活をサポートしながら、心と体の成長を見守ります。いわば、保護者の子育てを支えるパートナーのような存在といえるでしょう。

幼稚園は、3歳から小学校入学前までの幼児教育を目的とした「学校」です。文部科学省が管轄し、教育課程に沿ったカリキュラムを行います。
とはいえ教科書で学ぶわけではなく、「遊び」を通してさまざまな経験を積み重ねることが中心です。
保育園と比べると保育時間は短めですが、預かり保育を実施している園も多くあります。

また、近年増えているのが、保育園と幼稚園の良さを併せ持つ「認定こども園」。保護者が働いているかどうかに関係なく利用でき、長時間の預かりにも対応しながら、幼児教育も受けられるのが特徴です。
認定こども園にはいくつか種類がありますが、いずれも保育と教育を一体的に提供できる園として人気が高まっているようです。
保育園 | 幼稚園 | 認定こども園 | |
|---|---|---|---|
目的 | 保育 | 教育 | 教育・保育 |
保育の対象年齢 | 0歳〜小学校入学前 | 満3歳〜小学校入学前 | 0歳〜小学校入学前 |
保育時間 | 8時間〜11時間 | 4時間 | 4時間〜11時間 |
保育料金 | 世帯収入などに応じて自治体が定めた金額 | 園により異なる | 世帯収入などに応じて自治体が定めた金額 |
給食 | 義務 | 任意 | 義務 |
所管 | こども家庭庁 | 文部科学省 | こども家庭庁 |
先生の必要免許 | 保育士各証明書 | 幼稚園教諭免許 | 保育士各証明書と幼稚園教諭免許 |
※地域や園により、表の内容と異なる場合があります
出典:「よくわかる「子ども・子育て支援新制度」(こども家庭庁)を元に筆者作成
つまり、保育園はその名のとおり「保育をするための施設」、幼稚園は「教育を行う施設」、そして認定こども園は「その両方を柔軟に提供できる施設」と考えるとイメージしやすいでしょう。

保育園や幼稚園以外にも、下記のような保育施設があります。
多様化するライフスタイルや家庭の状況に合わせ、利用できる保育施設の選択肢が広がっています。

子どもを保育園に預けるタイミングは、家庭の事情や復職の予定によってさまざま。だからこそ、園ごとに受け入れ可能な年齢がどう違うのかを知っておくと安心です。

基本的には、保育園は0歳から入園可能です。ただし、最も早い場合でも生後57日(約2ヶ月)以降が目安。これは労働基準法で、ママは産後8週間は休業期間と定められているためです。
ただし、園によって入園できる時期は異なります。「生後6ヶ月から」という園や、1歳児以上しか預けられない園もあります。希望する園の募集要項や自治体の案内は、早めに確認しておくと安心です。

保育園に通えるのは、基本的に小学校入学前の3月まで。保育園では「0歳児クラス」「1歳児クラス」…という年齢ごとのクラス編成があり、毎年進級していきます。幼稚園のように「年少・年中・年長」という呼び方はせず、「〇歳児クラス」という言い方が特徴的です。
また、4月1日時点の年齢でクラスが決まるのもポイント。年度途中で誕生日を迎えてもクラスは変わりません。例えば、5月に2歳になるお子さんも、4月1日時点では1歳なので、年度末までは1歳児クラスに在籍します。

こども家庭庁の報告によると、保育所などを利用している就学前の子どもは全体で約271万[1]人(令和6年4月)でした。その内訳を見ると…
0歳児 | 131,247人(利用率17.3%) |
|---|---|
1・2歳児 | 964,302人(利用率59.3%) |
3歳児以上 | 1,609,509人(利用率61.4%) |
全年齢児計 | 2,705,058人(利用率54.1%) |
※利用率:当該年齢の保育所など利用児童数÷当該年齢の就学前児童数
出典:こども家庭庁「保育所等関連状況取りまとめ(令和6年4月1日)」を元に筆者作成
このデータからわかるのは、1歳・2歳のタイミングで保育園を利用し始める家庭が多いということ。育児休業を1年前後で終えて復職するケースが多いため、1歳児クラスは希望者が集中しやすい傾向があります。
また、3歳以上になると幼稚園という選択肢を選ぶ家庭も増えますが、保育園を利用する子どもも多く、利用率は約6割にのぼります。
[1] こども家庭庁「保育所等関連状況取りまとめ(令和6年4月1日)」※保育所、幼保連携型認定こども園、幼稚園型認定こども園、地方裁量型認定こども園、小規模保育事業、家庭的保育事業、事業所内保育事業及び居宅訪問型保育事業の利用定員

保育園では、どの年齢の子どもも生活のリズムを大切にした時間を過ごします。では、実際にどんな1日を送るのか、園により異なりますが例として0~2歳児クラスの流れを見てみましょう。
9:00 登園・健康観察・検温
9:30 園内でお遊び
10:00 おやつ
11:30 昼食
12:00 午睡
15:00 おやつ
16:30 園内でお遊び
17:00 お迎え・時間外保育
こうした決まった生活リズムの中で、子どもは少しずつ集団生活に慣れ、自分のペースをつかんでいきます。保護者にとっても、家庭ではできない経験を安心して任せられるのが保育園の大きなメリットの一つです。
保育園を利用するうえで、やはり気になるのが費用のことですよね。「どのくらいかかるの?」「無償化ってよく聞くけれど、実際はどういう仕組み?」と疑問に思う方も多いはず。ここでは、保育料の目安と無償化制度についてわかりやすく整理しました。

保育料は自治体や園の種類によって異なり、家庭の所得や子どもの年齢によっても大きく変わります。さらに、2019年10月から始まった幼児教育・保育の無償化制度により、3歳以上は原則無料となりました。
こども家庭庁の公式情報によると、無償化制度の概要は以下のとおりです。
この制度により、特に3歳以上の子どもを持つ家庭の負担は大きく軽減されています。では、園の種類ごとにかかる料金の違いを見ていきましょう。

認可保育園は、国が定めた基準を満たし自治体から認可を受けた保育園です。保育料は、居住する自治体や世帯の所得、子どもの年齢、さらに兄弟姉妹の有無によって段階的に決まります。
3歳以上の子どもは、幼児教育・保育の無償化制度の対象となり、原則として利用料はかかりません。0~2歳児の場合は、住民税非課税世帯であれば無償となりますが、課税世帯では所得に応じて保育料が決まります。
また、きょうだいがいる場合は負担が軽減される仕組みがあり、国の基準では第2子は半額、第3子以降は無料となります。ただし、具体的な軽減額や対象の数え方は自治体によって異なるため、住んでいる地域の案内を確認しておくと安心です。
ちなみに総務省統計局の調査によると、2024年の全国主要都市における2歳児の年間平均保育料は約32万円(月額約2.6万円)となっています。[2]
例として、主要都市の年額は以下のとおりで、地域差が大きいのが現状です。
保育所保育料(2歳児)(年額) | |
|---|---|
札幌市 | 348,150円 |
仙台市 | 337,680円 |
東京23区 | 252,843円 |
横浜市 | 370,800円 |
名古屋市 | 336,600円 |
大阪市 | 338,700円 |
福岡市 | 360,900円 |
那覇市 | 283,800円 |
出典:総務省統計局「小売物価統計調査(動向編)銘柄9940」を元に筆者作成
[2] 総務省統計局「小売物価統計調査(動向編)2024年」調査品目の年平均価格-都道府県庁所在市及び人口15万以上の市【保育所保育料(2歳児)2024年】より算出

認可外保育園は、自治体の認可を受けていない保育園で、企業主導型保育園、ベビーシッターなどの居宅訪問型保育、ベビーホテルなどが含まれます。
認可外保育施設の料金には上限額などの規定はなく、施設の運営者が自由に設定しています。そのため、サービス内容や保育時間によって料金はさまざまです。
ただし、無償化制度の対象となる場合もあります。
ただし認可外保育施設を利用する際は、区市町村の「確認」を受けた施設であること、そして利用者が自治体から「保育の必要性の認定」を受けていることが条件となります。

保育園といっても、園ごとに保育の考え方や取り組む活動には違いがあります。最近では、英語やリトミック、スポーツ、知育など、乳幼児期の経験を豊かにするための活動を導入する園も増えてきました。
こうした取り組みは、子どもがどんな経験を積めるかに直結するため、保育園選びの参考ポイントの一つになるでしょう。ここでは代表的な活動例を紹介します。

近年、英語遊びや簡単な英語活動を取り入れる保育園も増えつつあります。背景には、小学校での英語教育必修化や、保護者の「早期から英語に触れさせたい」という声が見られます。
具体例として、千葉県松戸市では市内すべての公立保育所(17か所)でネイティブ講師による英語遊びを実施。カード遊びや歌、体を動かすゲームを通じて、子どもが自然に英語に触れる時間を設けています。
さらに、より本格的な英語教育を取り入れる園では、独自の英語カリキュラムを用意し、外国人講師が定期的にレッスンを行うケースもあります。幼少期から英語に慣れさせたい家庭や、将来の英語学習のきっかけづくりをしたい家庭に選ばれることが多いようです。

スポーツや運動に力を入れる園も見られるようになってきました。運動を軸にした独自のカリキュラムを取り入れ、幼少期からの身体づくりや運動能力の向上をサポートする園が注目されています。
一例としては、
など、運動を軸にした多彩な取り組みが行われています。

知育を意識した活動を行う保育園も少なくありません。遊びを通して自然に学びにつながる時間を大切にし、言葉や数、形といった基礎的な概念を学ぶほか、プログラミングなど新しい分野を取り入れる園もあります。こうした活動は、小学校以降の学習の土台づくりや思考力の育成に役立つと考えられています。
また、独自の知育教材を活用する園や、パズル・積み木・自然体験などを通して、集中力や探究心を高めるアクティビティを取り入れる園も見られます。
知育といっても単に知識を詰め込むのではなく、最近注目される非認知能力(意欲・協調性・自己肯定感など、テストでは測れない力)に目を向ける園も増えてきています。

これまで、特色ある保育園の取り組みを紹介してきましたが、それぞれの園がこうした活動に注力しつつも、多くの園では英語・運動・知育などをバランスよく組み合わせているのが実情です。
子どもが楽しみながら多様な経験を積める環境を整えている園が増えているともいえるでしょう。
保育園を選ぶときは、「どんな経験をさせたいか」「家庭の方針と合うか」を意識することが大切です。
例えば、幼少期から英語に触れさせたいのか、体力づくりを重視したいのか、あるいは学びの基礎や協調性を育てたいのかなど。家庭の考え方や子どもの個性に合った保育園を選ぶことをおすすめします。
0歳児から預けることに不安を感じる方もいますが、家庭の事情や復職のタイミングで選ぶご家庭が多いのも事実です。
0歳児から受け入れている保育園では保育士が月齢に合わせた丁寧な保育を行います。授乳やおむつ替えなど家庭と同じようにケアしてくれるので安心して預けられます。
一方で、0歳児クラスは定員が少なく倍率が高くなる場合もあります。「早いからまだいいか」と思わず、預ける予定があるなら希望する園の募集要項を早めに確認しておくと安心です。
どちらが良いかは、ご家庭の状況や優先したいことによって異なります。お仕事の予定や、お子さんにどんな経験をさせたいかなど、それぞれの家庭の事情に合わせて選ぶのがポイントです。
パンフレットやウェブサイトだけではわからない、園の雰囲気を知るために、見学は大切です。
こうしたポイントを意識して見ると、自分の子どもに合った環境かどうか判断しやすくなります。
保育園や幼稚園の違い、入園できる年齢、料金の仕組み、保育園ごとの特色など…初めて調べると迷うことが多いですよね。
でも、いちばん大切なのはご家庭のスタイルやお子さんの個性に合うかどうかだと思います。
自宅からの通いやすさや、安心して預けられる環境面を重視する方、英語や運動、知育などの保育内容を重視する方、何を大切にしたいかはご家庭によって違うもの。
ぜひ見学や説明会で保育園の雰囲気を感じながら、親も子どもも心地よく通える保育園を選んでください。今回の記事が、保育園選びのヒントになればうれしいです。
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