家計を上手に管理したい、節約をして支出を抑えたいといったときには、どのような対策をすればいいのでしょうか?家計見直しの手順や、見直せる費用について、解説します。

家計の見直しは、まず固定費から

家計の見直しをしたいと思ったとき、何から手をつければいいのか、手順に迷うことはないでしょうか。一般的に家計の支出は、固定費と変動費の二つに大きく分けることができます。また、家族構成やライフスタイル、年代などにより、生活に関わるお金の出入りは大きく異なります。

家計の主な固定費と変動費の一例。固定費:住居費、水道光熱費、通信費、保険料、教育費、自動車関係費など。変動費:食費、外食費、日用品費、被服費、交通費、娯楽費、交際費、医療費など

出典:筆者作成

  • 費目・分類は一例です。
  • 通信費や水道光熱費については、一般的に大きく分けて基本料金と利用量に応じた料金から成り、前者を固定費、後者を変動費とする考え方もありますが、本稿では便宜上、まとめて固定費として分類しています。

家計を見直したいときには、まずはこのうち固定費に注目してみましょう。固定費の見直しは、一度行うとその後は定期的、継続的に支出を抑えることができるためです。

また、固定費の見直しは契約やプランの変更などによって行うことが多いものですが、内容によっては、生活スタイルをそれほど大きく変えることなく支出を抑えられることも期待できます。

一般的に見直しの対象として考えられる費目の一例を挙げてみましょう。

住居費

住居費は、家計の中でもとりわけ負担の大きい支出ではないでしょうか。持家の場合は、住宅ローンの借り換えや繰上返済により、月々の返済額を抑えられることがあります。諸条件(借り換えの場合は返済残高や借り換え前後の住宅ローン金利、繰上返済の場合には返済残高や繰上返済額、返済方法など)によって効果が異なりますが、年間で数万円から数十万円規模の支出軽減につながるケースもあります。

ただし、いずれも多くの場合、手続きには所定の手数料がかかります。借り換えの場合には借り換え先の住宅ローンの選定や審査が必要ですし、繰上返済の場合は返済に充てるためにまとまった支出も伴います。所得税の住宅ローン控除を適用している場合には、借り換えや繰上返済により要件を満たさない状態にならないか留意が必要です。返済残高や金利の状況などによっては、十分な効果を見込めない場合もありますので、事前に専門家に相談してから行うことが大切です。

賃貸住宅に住んでいる場合には、賃料を抑える方法として貸主への交渉や住み替えなどが考えられますが、どちらも簡単にできる方法とは言い難いかもしれません。住み替えの場合には、引越費用や初期費用もかかります。
持家、賃貸住宅ともに、軽減額は上記に比べて限られるものの、火災保険の見直しも一案です。保険料払込を月払いや年払いから一括払に変更する、保険期間を1年間ではなく長期契約にすることで、同じ補償内容でも保険料を抑えられる場合があります。建物や家財への補償には必要な保険金額を設定しておくことが大切ですが、特約を付加していて、自動車保険などの特約と重複しているものがあれば、一部を見直せる場合もあります。火災保険の更新のタイミングなどで、契約内容を確認してみてもよいかもしれません。

生命保険料

生命保険料も、固定費の見直し方法の一つになりえます。家族構成や年齢などに応じて必要な保障を確保することが大切ですが、こうした条件に鑑みても保障額が必要以上に設定されている場合や、複数の保険に契約していて保障が重複しているような場合には、見直しの余地がありそうです。火災保険料と同様に、保険料払込方法を月払いから年払いに変更することで保険料を抑えられる場合があります。

なお、参考までに、生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、世帯あたりの年間払込保険料(全生保)は平均で37.1万円です。また、生命保険(個人年金保険を含む)加入世帯において、世帯年収に占める年間払込保険料の割合は、平均6.7%(全生保)です。家族構成や年齢、ライフプランなどによって、必要な保障内容やそれにかかる保険料には個人差がありますが、ご自身の家計において、生命保険料が負担になっていないかどうかの参考になるかもしれません。

世帯年間払込保険料(全生保)(世帯主年齢別)

(万円)

2009
(平成21)年
2012
(平成24)年
2015
(平成27)年
2018
(平成30)年
2021
(令和3)年
全体 45.4 41.6 38.5 38.2 37.1
29歳以下 31.7 20.2 24.2 23.3 21.5
30~34歳 33.1 31.0 27.6 29.8 26.2
35~39歳 37.0 31.7 32.9 38.0 38.2
40~44歳 46.9 40.3 41.0 34.5 34.8
45~49歳 51.3 46.2 44.2 42.7 37.5
50~54歳 47.6 51.8 49.8 48.3 43.2
55~59歳 55.1 51.3 49.2 45.3 43.6
60~64歳 48.2 43.4 43.4 43.9 38.4
65~69歳 42.1 39.4 33.9 33.8 43.6
70~74歳 43.1 36.9 30.7 29.9 33.7
75~79歳 43.8 32.9 30.0 35.3 31.4
80~84歳 48.7 43.9 30.6 29.5 28.6
85~89歳 16.9 73.9 21.1 36.5 35.8
90歳以上 64.2 23.6 21.4 22.5 25.6
  • 全保険は民保(かんぽ生命を含む)、簡保、JA、県民共済・生協等を含む
  • 90歳以上はサンプルが30未満

出典:生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」よりライフネット生命作成

保険を見直すときの注意点(ライフネット生命)

現在ご契約されている保険契約の解約を前提に、新たな保険契約の申し込みを検討される場合には、下記の点にご注意ください。

  • お客さまの健康状態などにより、新たに保険に入り直すことができない場合があります。保険を解約して新たな保険に入り直す際には、新たな保険契約のお引き受けの結果が判明した後に解約の手続きを行ってください。
  • 保険を解約すると保障がなくなります。解約後に契約をもとの状態に戻すこと(復活)はできません。
  • 新たな保険は、解約した元の保険とは別の契約となります。そのため、新たな保険については責任開始日が変わるとともに、免責期間はゼロからの開始になりますのでご注意ください。

通信費

電話やインターネットなどにかかる通信費も、毎月定期的にかかるご家庭が多いでしょう。電話やインターネットの使用状況や契約内容によっては、見直せることがあります。

例えば、携帯電話・スマートフォン・インターネットプロバイダの通信会社や料金プランを変更する、携帯電話の契約に有料オプションが付加されている場合に、利用していないオプションを解約するといった方法が考えられます。

光熱費

電気やガスなどの光熱費も、使用状況や契約内容によっては見直せるかもしれません。

例えば、契約先の会社や料金プランを変更する、電気・ガス・インターネット回線・携帯電話などをまとめて同じ会社で契約するといった方法があります。また、使用量にかかる費用については、一時的な支出は伴いますが、省エネ性能の高い家電製品に買い替えることで、消費エネルギー量を抑えて電気代やガス代を抑えられる場合もあります。

そのほか

ライフスタイルによっては、そのほかの固定費がかかっているケースもあります。例えば、マイカーを保有していれば駐車場代や自動車保険料などが固定費としてかかっているかもしれません。その場合は、月額料金の安い駐車場に契約を変更する、自動車保険を見直す、マイカーに乗る機会がそれほど多くなければ車を手放す、カーシェアの利用を検討するなどの方法が考えられます。

子どもがいる場合には、塾や習い事の月謝が固定費としてかかることも多いでしょう。子どもの将来のことを思えば簡単に辞めたり変更したりすることは難しいものですが、必要性や本人の希望に応じて見直せる場合もあるかもしれません。

商品やサービスの定期購入・サブスクリプションサービスなどを利用している場合には、それらも固定費の一つです。映画・動画配信、音楽配信、電子書籍・マンガ配信、食材宅配、家具・家電レンタル、英会話レッスンなど、さまざまなジャンルの多様なサービスがあります。月額料金が数百円程度のものもありますが、複数のサービスに契約していれば、思いのほか高額な固定費になりえます。

ほかにも、ライフスタイルに応じてさまざまな固定費がかかっていることがあります。ご家庭でどのような固定費がかかっているのかを随時チェックすることも大切です。

見直しができる可能性のある固定費の一例

  • 住居費
  • 生命保険料
  • 通信費
  • 光熱費
  • そのほか(自動車関係費、教育費、定期購入・サブスクリプションサービス利用料など)

ポイント

  • 家計の支出は、大きく固定費と変動費に分けることができる
  • 固定費の見直しは、住居費、生命保険、通信費、光熱費などで可能な場合がある
  • ライフスタイルに応じて、見直し対象の費目を検討することが大切

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変動費は生活に無理のない範囲で見直す

固定費の見直し後は、変動費に注目してみましょう。利用量や購入量などに応じて支出額が変動する費用が、一般的に「変動費」と呼ばれます。家計にはあらゆる変動費がありますが、いずれもライフスタイルによる個人差が大きいものです。また、支出を抑えるには、生活スタイルの変化や本人やその家族を含めた協力や努力が不可欠であることが多いため、固定費に比べて節約が難しい費目でもあります。

したがって、変動費の中では一概に効果的な見直し方法を見つけるのは難しいものですが、一例として、見直せる可能性のある費目を挙げてみましょう。

外食費

外食費は、食事の内容や人数によっては一度の食事で数千円単位になることがあります。頻繁に外食をすると月に数万円単位の支出になることもあるため、外食費が多い家庭では、頻度を減らす検討をしてもよいでしょう。

趣味・娯楽費

レジャーや趣味にかかる費用には、ゲーム、音楽鑑賞・映画鑑賞、レジャー施設、旅行など多様な支出が含まれます。季節によって変動することもありますが、慢性的に高額な支出が続いている場合には、旅行の回数を減らしたり、映画はレンタルを利用したりするなど、趣味や娯楽費にかける毎月の予算を設定するのもよいでしょう。

交際費

友人や知人との交流、プレゼント、食事会や飲み会などにかかる交際費は、頻度や内容によって大きく変動する支出です。冠婚葬祭への出席によって大きく左右されることもあります。個人差もありますが、家計を圧迫するほど高額な支出が続く場合には、見直しを検討したいところです。

そのほか

支出の大きい変動費がほかにもあれば、見直しを検討することもできます。ただし変動費にはご自身やご家族のライフスタイルや、生活の快適さに関わるものもあるため、過剰な節約をすると心身の健康に支障をきたす心配もあります。無理のない範囲で検討してみましょう。

見直しができる可能性のある変動費の一例

  • 外食費
  • 趣味・娯楽費
  • 交際費
  • そのほか

ポイント

  • 変動費の節約は、外食費、趣味・娯楽費、交際費などで可能な場合がある
  • 変動費の節約は、無理のない範囲で行うことが大切
  • 予算を設定することで、変動費の支出額を管理できる場合がある

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ふるさと納税やiDeCoなどで税軽減を受ける方法も

家計の見直しには、固定費や変動費の節約だけでなく、税制優遇措置を活用して税の負担を軽減する方法もあります。一例を挙げてみましょう。

ふるさと納税

ふるさと納税は、都道府県や市区町村に寄附をした場合に、寄附金額の一部が所得税および住民税から控除される仕組みです。原則として、寄附金額から2,000円(自己負担額)を除いた全額が、控除の対象になります。

控除を受けられる金額には、収入や家族構成などに応じた上限額があります。例えば、会社員・専業主婦(主夫)・高校生1人の3人家族で、本人の年収が500万円の場合、年間4万円まで控除を受けることができます。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは、公的年金の上乗せとして加入する私的年金制度の一つです。掛金を積み立てる(拠出する)ことで、全額がその年の所得税・住民税の計算上で所得控除の対象になります。一例として年収500万円の人が月1万円を拠出した場合、その年の所得税・住民税が合計24,000円軽減されます(※所得税率が10%、住民税率が10%の場合)。

※iDeCoは資産運用の制度の一つです。運用にあたって金融商品を購入する際は、商品の特性等を十分理解したうえで、ご自身の責任と判断で行ってください。

医療費控除

医療費控除は、一定額を超えた医療費を負担した場合に、その年の所得税から所定額が控除される仕組みです。通常、1年間に支払った医療費から、生命保険金・入院給付金・健康保険などで支給される高額療養費などを差し引いた金額が、10万円を超える場合に利用できます。

また、医療費控除には特例として「セルフメディケーション税制」という仕組みもあります。こちらは、健康診断や予防接種などを受けて病気の予防などに取り組んでいる人が、特定の医薬品を年間12,000円超(上限88,000円)購入した場合に、超えた金額を所得から控除できる制度です。

実際に受けられる軽減額は所得によって異なりますが、ご自身やご家族に高額な医療費がかかった場合や、対象になる医薬品を購入した年に検討してみるとよいでしょう。医療費控除とセルフメディケーション税制はどちらかを選択適用することになっていますので、その年の医療費の状況に応じて検討しましょう。

ポイント

  • ふるさと納税を活用して、所得税や住民税の控除を受けられる場合がある
  • iDeCo(個人型確定拠出年金)で掛金を拠出すると、所得控除により所得税・住民税が軽減される
  • 医療費控除やセルフメディケーション税制を活用して税負担を軽減できる場合がある

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家計を把握することも重要

家計を見直すためには、上記で説明した方法に取り組む前に、まずは家計の現状を把握することが大切です。家計簿などをきちんと記録すると、無駄遣いを見つけやすくなり、何に使ったのかわからない支出「使途不明金」を減らせる場合があります。

家計を把握するためにできる、主な方法を挙げてみましょう。

レシート・クレジットカードの利用明細を確認する

買い物をしたときにはレシート・領収証を受け取り、定期的に振り返ってみましょう。後で振り返ったときに「これは何のために買ったのか?」と疑問に思ったり、理由を思い出せなかったりする場合には、無駄遣いや衝動買いだった可能性があります。買ったらそれで終わりにするのではなく、しばらく時間が経ってから振り返ることで、自分の買い物の癖に気が付き、見直しの糸口になることもあります。もちろん、本当に必要な支出であれば無理に節約する必要はありません。

買い物の都度、レシートを確認するのが手間に感じる場合には、クレジットカードやスマートフォン決済の明細を確認してもよいでしょう。なお、クレジットカードの明細を確認することは、万が一不正利用の被害を受けたときに、早期に発見するうえでも重要です。家計を健全に維持するためには、自分の支出を管理するだけでなく、さまざまなトラブルから家計を守る観点も大切です。

家計簿をつける

家計管理の典型的な方法の一つが、家計簿をつけることです。家計簿にはさまざまな種類があります。これまでにあまり家計簿をつけた経験がない場合や、続けられずに途中で止めてしまった経験がある場合には、できるだけシンプルな書式の家計簿を選ぶのがおすすめです。

家計簿をつけるのはハードルが高いと感じる場合には、メモ帳やノートなどを使って、支出を簡単に記録するだけでも構いません。毎月、どれくらいのお金を使っているのかがわかれば、家計の見直しの第一歩につながるはずです。自分にとって続けやすい方法を見つけたいものです。

家計簿アプリを活用する

家計簿の記録は、スマートフォンのアプリで行うこともできます。スマートフォンのカメラ機能でレシートを撮影すると記録できるものや、クレジットカードや預金口座と連動して自動的に記録されるものなど、手間をかけずに家計簿をつけられるアプリもあります。

ポイント

  • 家計の見直しには、家計を把握することが大切
  • レシートやクレジットカードの利用明細を定期的に確認することで、ある程度家計を把握できる
  • 家計の記録方法には、家計簿アプリも選択肢の一つになる

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Q&A

家計の見直しを始めるタイミングはいつがいいですか?

収入や支出に大きな変化があったときや、ライフイベント(結婚、出産、転職など)が発生したタイミングは、家計の見直しどきになることが多いです。家計が赤字傾向にある、貯蓄が思うように進まないなど、課題を感じているときも、見直しが必要かもしれません。定期的に家計をチェックしてみましょう。

家計簿を使わなくても、家計の見直しは可能ですか?

家計簿による家計収支の記録は、現状を把握するうえで重要な手掛かりになります。ご自身やご家族にとって無理のない方法や、効率的に家計を改善する方法を選択する参考にもなります。家計簿には紙の帳簿以外にも、パソコンやスマートフォンのアプリで気軽に記録できるものがあります。また、買い物をしたときのレシート・領収証、クレジットカードの利用明細などを活用して家計を見直す手掛かりとすることもできます。できることから始めてみましょう。

まとめ

家計の見直しは、固定費と変動費それぞれに多様な方法があります。住居費や生命保険、通信費、光熱費などの固定費の見直しから始めると、一度の手続きで継続的な節約効果が期待できます。変動費については、無理のない範囲で見直しを進めることで、ご自身やご家族のライフスタイルを維持しながら節約できるかもしれません。ふるさと納税やiDeCo、医療費控除といった税制優遇措置を活用することで、税負担の軽減も可能です。

家計を把握することも、家計の見直しには重要です。レシートやクレジットカードの利用明細、家計簿、家計簿アプリなどを活用して、自分のライフスタイルに合った方法で、無理なく見直したいですね。

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