養老保険は、万が一亡くなった場合でも、満期まで生きていても、同じ金額を受け取れる保険です。貯蓄したい時期が決まっていて、死亡に備えるのは一定期間でよい人に適していますが、満期が来て満期保険金を受け取ったら死亡保障がなくなるため、一生涯の死亡保障を欲する人には適していません。貯蓄については、同じ貯蓄型の終身保険や、保険以外の金融商品も含めて、自分に合っている貯蓄方法を考えると良いでしょう。
養老保険とは、死亡保障と貯蓄の両方が備わっている保険です。保険期間は、10年間や60歳までなど、契約時に決めた一定期間となり、保険期間中に万が一が起こった場合や、重い障害が残った場合には「死亡保険金や高度障害保険金」が支払われ、保険期間が終了する満期まで生きていた場合には、死亡保険金と同じ金額の「満期保険金」が支払われます。つまり、保険期間中に万が一のことが起きても起きなくても、同額の死亡保険金額または満期保険金額を受け取れる保険です。
しかし、支払う保険料の一部が貯蓄に充てられるため、同じ保険期間・保険金額の死亡保障の掛け捨て型の定期保険と比べると、保険料が高くなることが一般的です。
保険期間の途中で解約したときに受け取る「解約返戻金」は、それまでに払い込んだ保険料の総額を下回ることが一般的ですが、保険期間や払込方法、通貨種類によっては、一定期間経つと払込保険料累計額を上回る場合もあります。終身保険と比べると、払込期間中の解約返戻金や配当金は高めというのも特徴です。
養老保険のイメージ
それでは、養老保険はどのくらいの人が加入しているのでしょうか。生命保険文化センターの調査によると、直近で加入した民間生命保険の割合は、以下のとおりです。
直近で加入した民間生命保険の割合
出典:(公財)生命保険文化センター 2021(令和3)年度「生命保険に関する全国実態調査」終身保険が27.8%、定期保険が8.7%と比べて、養老保険は3.2%であり、終身保険や定期保険と比べると、養老保険に加入した人の割合は低いことがわかります。
養老保険の一番のメリットは、死亡保障と貯蓄機能を両方得られることです。
保険期間中は死亡保障を得られて、もし何も起こらず満期を迎えたら、必ず満期保険金を受け取れます。たとえば、60歳を満期として1,000万円の満期保険金の養老保険に加入した場合、60歳までは1,000万円の死亡保障を得られて、60歳を無事に迎えたら、受け取った1,000万円の満期保険金を老後の生活費として活用する、といった使い方ができます。
また、養老保険は、保険商品によっては満期保険金を据え置くことが可能な商品もあります。そのような商品の場合は、満期時に保険金を受け取らず、その後に自分が受け取りたいと思ったタイミングで保険会社に請求できるメリットもあります。据え置いている間、保険会社はお金を運用しますので、少しにはなりますが満期保険金が増える可能性もあるでしょう。
養老保険のデメリットは、同じ死亡保障を得ようとした場合、終身保険や定期保険と比べて支払う保険料が高額になることです。もし、途中で保険料の払い込みが厳しくなり解約した場合、解約返戻金は多くの場合、払込保険料累計額を下回るのが一般的です。よって一旦加入すると、途中解約しづらくなるのもデメリットです。
金利水準などの条件によっては、満期保険金が払込保険料累計額を下回る場合もあることにも注意が必要です。
また、保険期間が終わり満期保険金を受け取ると、死亡保障がなくなることもデメリットと言えます。満期後も死亡保障を得たい場合は、別途死亡保険に入るなどの必要があります。
養老保険と終身保険はどちらも貯蓄性のある保険なので、どんなところが違うのか気になる人も多いでしょう。保障を得られる「保険期間」、満期に受け取る「満期保険金」、死亡した場合に受け取る「死亡保険金」、解約した場合に受け取るお金がすでに払い込んだ保険料に対する割合を示す「解約返戻率」、そして、支払う「保険料」、それぞれについて、違いを以下の表にまとめました。
一般的な養老保険と終身保険の主な違い
養老保険 | 終身保険 | |
---|---|---|
保険期間 | 一定期間で終了 | 一生涯 |
満期保険金 | あり | なし |
死亡保険金 | あり | あり |
解約返戻率 | 終身保険よりも高め ※商品による |
養老保険よりも低め ※商品による |
保険金額などの条件が同じ場合の保険料 | 終身保険より高い | 養老保険より割安 |
養老保険の保障は一定期間で終了するのに対して、終身保険には満期はなく、保障が一生涯続きます。また、満期保険金は、養老保険にはありますが終身保険にはありません。
すでに払い込んだ保険料累計額に対して、どのくらい解約返戻金が受け取れるかという「解約返戻率」は、養老保険の方が終身保険よりも高くなるのが一般的です。とはいえ、終身保険も一定期間を過ぎると解約返戻率が高くなるため、養老保険より貯蓄性が低いとは一概には言い切れません。
また、保険料は、養老保険と比べて終身保険の方が割安です。なぜなら、死亡保険金と同額の満期保険金がある養老保険とは違い、終身保険には満期保険金がないからです。
養老保険と終身保険、どちらを選ぶかは、何のために加入したいかを考えることが大切です。
たとえば、「保障は一定期間でよいから、将来確実にお金を受け取りたい人」は、養老保険が向いているでしょう。一方で、「できるだけ長い期間、死亡保障を得たい人」や、「死亡保障も貯蓄性も欲しいけれど保険料はできるだけ低くしたい人」は、終身保険を選ぶと向いているでしょう。
保障と貯蓄を兼ね備えた保険に入りたい人は、養老保険は選択肢の一つとなります。たとえば、お子さまの大学資金や、リフォーム資金、老後資金など、ある時期にまとまったお金を貯めておきたい人などがあげられます。
掛け捨て型の生命保険をもったいないと思う人は、貯蓄性のある養老保険もよいでしょう。とはいえ、保険の本質は「大きなお金がかかるけれど、貯蓄では足りない場合に備える」というものです。無理なく保険料が払い続けられる人であれば、貯蓄性を保険に求めてもよいですが、保険料を払い続けるのが難しい人には向いていません。
保険会社によりますが、養老保険の満期保険金は、必ずしも満期の時期に受け取らないといけないわけではありません。満期時、まだお金は必要ない場合は請求せずに満期保険金を据え置くことができ、据え置いている間は保険会社が運用するため、増える可能性もあります。
家計にゆとりがあり今後も保険料は払い続けられるけれど、自分ではなかなか貯蓄が上手にできない人は、保険料が自動的に銀行口座から引き落とされ、貯まっていく保険の仕組みを活用するのは、悪くないでしょう。ただし、低金利の環境では保険を活用しても貯蓄としての機能は弱くなる場合もあることを理解の上、活用しましょう。
養老保険など貯蓄型の生命保険は、掛け捨てと比較して保険料が高いこと、低金利環境下においては、貯蓄としての機能が弱くなることを理解の上、他の金融商品も含めて、よく比較検討することが大事
養老保険の満期を迎えると、満期保険金を請求することができるようになり、それまでの死亡保障はなくなります。満期保険金を据え置くことができる場合でも、死亡保障は消滅しますので、注意が必要です。なお、養老保険には更新という仕組みはありません。
養老保険には、円建て以外にも、米ドルや豪ドルといった外貨建ての商品もあります。外貨建ての保険は、支払う保険料や満期保険金などが為替の影響を受け、日本円でいくらになるのか決まっていません。保険料が変動し、払込期間中の家計管理がしづらいことや、死亡保険金や満期保険金の金額が為替レートによっては想定より少ないこともあり得ることに注意が必要です。
養老保険は、死亡保障と貯蓄を兼ね備えたハイブリッドな生命保険です。しかし、金利や保険期間などの諸条件によっては、保険期間によっては満期を迎えても満期保険金額が払込保険料累計額よりも少なくなることもあります。加入の際にはしっかり確認しましょう。また、途中で解約すると、多くの場合、受け取る解約返戻金が払込保険料累計額よりも少なくなるのが一般的であるため、注意しましょう。
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