保険
加入先の保険会社をまとめて調査する方法を確認
ファイナンシャルプランナー 加藤 梨里
マネーステップオフィス株式会社代表
生命保険契約照会制度では、生命保険の契約の有無や、契約先の保険会社をまとめて調査できます。主に、照会対象者の死亡や認知判断能力の低下などの事情により、生命保険に契約しているかどうか、またその契約先がわからないときに利用できます。
更新日2026.08.27
掲載日2026.08.27

親が亡くなったときや、入院中の本人が自分で手続きをするのが難しいといった場合には、本人に代わって子や親族などが生命保険の請求手続きをする場合があります。しかし、あらかじめ本人から生命保険に関する情報を共有されていないと、生命保険に加入しているかどうか、またどこの保険会社で契約しているかなど、請求手続きに必要な事項が親族などにはわからないことがあります。
そのようなときに手がかりを得るために利用できる方法の一つとして、生命保険協会の「生命保険契約照会制度」があります。要件を満たす場合にこの制度を利用することで、生命保険の契約の有無や、契約先の保険会社をまとめて調査することができます。
本記事では、生命保険契約照会制度の概要や利用方法を解説します。
生命保険契約照会制度とは、生命保険の契約の有無や契約先を、親族などで所定の要件を満たす人が、亡くなった人や認知判断能力が低下した人などに代わって確認できる制度です。国内で営業する主な生命保険会社が加盟する生命保険協会が運営しており、加盟保険会社での保険契約の有無をまとめて照会できます。

生命保険契約照会制度を利用すると、生命保険協会に加盟している保険会社に契約があるかどうかを確認できます。契約がある場合には、契約先の保険会社名もわかります。調査対象は、照会日時点で有効に継続している個人の保険契約です。

出典:生命保険協会「生命保険契約照会制度のご案内」をもとにライフネット生命作成

生命保険契約照会制度には、照会の対象となる人(以下、「照会対象者」)の状況に応じた種類があります。大きく、平時利用と災害時利用に分かれます。
平時利用は災害発生時以外に利用できる制度で、照会対象者が死亡したとき、または認知判断能力が低下した場合に利用できます。
照会対象となる人の法定相続人や親族などで要件を満たす人が、生命保険協会に所定の照会手続きをすると、各生命保険会社に契約の有無を調査してもらうことができます。
亡くなった人が生命保険に加入していたかどうかわからない、生命保険には加入していたはずだが、加入先の保険会社がどこなのかがわからないといったときに、その法定相続人や遺言執行者などが照会手続きをして、保険契約の有無を調査できます。
認知症などにより認知判断能力が低下したことで、生命保険の加入の有無や加入先の保険会社がわからなくなる場合もあります。そのような場合に、法定代理人や3親等以内の親族などが照会手続きをして、保険契約の有無を調査できます。
地震や台風などの災害で死亡した、または行方不明になったときに、家屋などが流失または焼失したといった理由で生命保険の請求が難しくなる場合があります。そのような場合に、配偶者、親、子、兄弟姉妹などが照会手続きをして、保険契約の有無を調査できます。
生命保険契約照会制度を利用できるのは、具体的にどのような場合でしょうか。主な利用要件や対象者を確認してみましょう。実際の利用時には、本稿で挙げる事項以外にも細かな確認事項や同意事項がありますが、まずは概要を把握しておきましょう。

災害時以外で、死亡した人の生命保険を調べる場合には、照会対象者の法定相続人、遺言執行者、またはその法定代理人や任意代理人が照会することができます。

認知判断能力が低下した人の生命保険を調べる場合には、照会対象者の認知判断能力や緊急の資金の必要性などの要件があります。
まず、照会対象者について、認知判断能力が低下したことを示す医師の診断書があることが必要です。また、認知判断能力が低下している状態のうち、照会対象者が自分の保険契約の有無を照会し、回答を得ることについて意味を理解したり判断したりできる場合には、本人に代わって照会者が手続きを行うことに対して、本人の同意も必要です。
加えて、入院費用や手術費用、介護など所定の身体状態に伴う出費が見込まれ、緊急に資金が必要であることも照会の要件になっています。
照会できるのは、照会対象者に法定代理人または任意代理人がいる場合には、このいずれかの人です※。法定代理人や任意代理人が指定されていない場合には、3親等以内の親族など、所定の要件を満たす人が照会することもできます。
法定代理人とは法律によって代理権を与えられている人のことで、本制度の利用においては成年後見制度を利用している場合が該当します。任意代理人とは、任意後見制度を利用し、生命保険契約に関する代理権を与えられている代理人のことです。
※法定代理人または任意代理人が照会する場合には、後見制度を利用していることを確認するために、登記事項証明書の提出が求められます。

災害時利用の対象となるのは、災害の発生やその恐れがある地域に応急的に救助を行う「災害救助法」が適用された地域で被災し、死亡または行方不明となった人の契約を照会する場合です。災害によって家屋が流失した、焼失したといった理由で生命保険の請求が難しい場合に、照会対象者が保険の契約者または被保険者となっている契約を照会できます。
照会できるのは、照会対象者の配偶者、親、子、兄弟姉妹、またはそれらの法定代理人・任意代理人です。
生命保険契約照会制度の概要
利用できるとき | 平時利用 | 災害時利用 | |
|---|---|---|---|
照会対象者の死亡時 | 照会対象者の認知判断能力が低下した場合 | 照会対象者が「災害救助法」が適用された地域で被災し、死亡または行方不明となった場合 | |
照会できる人の例 | 対象者の法定相続人や遺言執行者、またはその任意代理人など | 照会対象者の法定代理人または任意代理人 | 照会対象者の配偶者、親、子、兄弟姉妹、またはそれらの法定代理人・任意代理人 |
出典:生命保険協会「生命保険契約照会制度のご案内」をもとに筆者作成
生命保険契約照会制度を利用するときには、利用要件を確認し、必要書類をそろえたうえでWEBまたは書面で申請します。申請のおおまかな手順を確認しましょう。また、平時利用は有料ですので、利用料金も確認しておきましょう。

照会手続きは、WEB申請と書面申請の2種類の方法があります。また、手続きの細かな手順は災害時利用と平時利用など、種別により異なる部分があります。大まかな流れは次の通りです。
照会できる要件や、照会手続きができる人の要件を確認します。
手続きに必要な書類をそろえます。必要書類は、照会の種類、照会者の属性、申請方法(WEB申請または書面申請)などにより異なります(必要書類の一例は後ほどご説明します)。
生命保険協会のウェブサイトまたは郵送で申請手続きをします。契約照会システムにユーザー登録をした後、WEB申請の場合は必要事項の入力や書類のアップロード、書面申請の場合は必要書類を提出して申請します。
申請が受け付けられたら、利用料金を支払います。
平時利用の場合は照会対象者1人につき、WEB申請は6,000円(税込)、書面申請は7,000円(税込)です(2026年4月現在)。災害時の利用料は無料です。
利用料の支払後、14営業日程度で照会結果を受け取ることができます。

出典:生命保険協会「生命保険契約照会制度のご案内」をもとにライフネット生命作成

照会に必要な書類は、照会の種類、照会者の属性、申請方法(WEB申請または書面申請)などにより異なります。必要書類には公的な書類も含まれ、取得するには関係機関での発行手続きが必要です。例えば、法定相続情報一覧図は法務局、戸籍全部事項証明書は本籍地の役所など、書類の種類によって発行場所が異なります。必要書類をそろえるだけでも一定の手間や時間を要することがありますので、計画的に準備しましょう。
ここでは、一例を挙げて、必要書類について解説します。
※本稿では、必要書類の一例や概要を説明します。詳細は照会の状況により異なりますので、必ず生命保険協会にご確認ください。
平時利用・照会対象者の死亡時・法定相続人が照会する場合
平時利用で、照会対象者の死亡時にその法定相続人が照会する場合には、主に以下の必要書類を準備します。
生命保険契約照会制度の必要書類(平時利用・照会対象者が死亡時・照会対象者の法定相続人が照会する場合)の一例
提出書類 | 備考 |
|---|---|
照会代表者の本人確認書類 | 運転免許証、資格確認書、マイナンバーカード、住民票など |
生命保険契約照会依頼・委任状兼同意書 | 照会者が複数の場合に必要 |
「法定相続情報一覧図」または | 法定相続情報一覧図:法務局で認証を受けたもの |
照会対象者の死亡を確認可能な書類 | 除籍全部事項証明書・死亡診断書・住民票除票など |
※照会者の状況、申請方法などにより、必要書類が異なる場合があります。詳細は生命保険協会にご確認ください。
※地域により、公的書類を発行できる窓口が異なる場合があります。詳細は各地域の窓口にご確認ください。
出典:生命保険協会「生命保険契約照会制度のご案内」をもとに筆者作成
平時利用・認知判断能力低下時・照会対象者の3親等以内の親族が照会する場合
平時利用で、照会対象者の認知判断能力の低下により、照会対象者の3親等以内の親族が照会する場合には、主に以下の必要書類を準備します。
生命保険契約照会制度の必要書類(平時利用、照会対象者の認知判断能力が低下した場合、照会対象者の3親等以内の親族が照会する場合)の一例
提出書類 | 備考 |
|---|---|
照会代表者の本人確認書類 | 運転免許証、資格確認書、マイナンバーカード、住民票など |
生命保険契約照会依頼・委任状兼同意書 | 照会者が複数の場合に必要 |
生命保険協会所定の診断書 | 医師が診断結果を記入したもの |
照会対象者と照会者の続柄が証明できる戸籍など | 戸籍全部事項証明書など |
※照会対象となる本人が自分の保険契約の有無を照会し、回答を受ける意味を理解したり判断したりできる場合には、照会者が手続きを行うことについて本人の同意も必要です。
※照会対象者に法定代理人あるいは任意後見人が存在する場合、それら以外の人は制度を利用できません。
※照会者の状況、申請方法などにより、必要書類が異なる場合があります。詳細は生命保険協会にご確認ください。
出典:生命保険協会「生命保険契約照会制度のご案内」をもとに筆者作成
生命保険契約照会制度を利用するときには、どのようなことに注意すればよいでしょうか。主な注意点を確認しましょう。

照会の申請手続きをする前には、主に次の点に注意しましょう。
平時利用、災害時利用ともに、照会制度を利用するにはそれぞれ要件があります。利用要件を満たさないと、照会することはできません。
また、照会手続きをできる人にも要件があります。対象外の人が照会手続きをした場合には、照会を受け付けてもらえませんので注意しましょう。
照会制度を利用するときには、利用料(平時利用の場合)のほか、公的書類や生命保険協会所定の医師の診断書などが必要です。書類の不備があると照会できませんので、事前に必要書類をそろえておくことが大切です。
生命保険契約照会制度で調査できるのは、生命保険協会に加盟している生命保険会社の契約に限られます。2026年2月現在は、41社が加盟しています。これ以外の生命保険会社や共済、少額短期保険などの契約、勤務先を通して加入する財形保険や財形年金保険は、この制度では確認できません。
また、照会できるのは原則として照会日時点で有効な契約に限られます。死亡保険金が支払済である、年金保険の支払いがすでに開始している、保険金が据置きとなっている、解約済や失効した契約なども、この制度での調査の対象外になっていますので注意しましょう。ただし、照会対象者が死亡している場合の照会では、死亡日から最低3年間を遡って調査することになっています。

生命保険契約照会制度ではこのように、一部には調査できない場合もあります。そのため、制度を利用する前に、自分でできる範囲で生命保険の有無や契約先について調査をしておくことも重要です。
たとえば、生命保険証券を探す、生命保険会社から定期的に送付される通知物を探す、預金通帳の保険料の口座振替履歴等を確認するといった方法が挙げられます。

生命保険契約照会制度で生命保険の契約有無について照会をした場合にも、それだけで必要な手続きのすべてが完了するわけではありません。申請後の注意点も確認しておきましょう。

生命保険契約照会制度の利用時に照会結果からわかるのは、照会対象の保険会社に契約があるかどうかと、契約がある場合にはその契約先の保険会社名です。また、照会対象者が死亡している場合の照会では、照会者が死亡保険金の受取人になっている契約がある場合、その旨も回答されます。
しかし、生命保険の契約がある場合でも、その保障内容や、保険金額がいくらか、保険金の受取人が誰かといった詳細まではわかりません。こうした情報を確認するには、契約者や受取人、指定代理請求人など、保険契約の内容を照会する権利のある人が自身で各保険会社に問い合わせる必要があります。

生命保険契約照会制度は契約の有無や契約先を確認するための制度ですので、請求できる保険金があった場合でも、照会時には請求手続きまでできるわけではありません。
保険金を請求する場合には、自分で契約先の保険会社に連絡をして、別途請求手続きが必要です。そのときには、生命保険契約照会制度で提出した書類とは別に、契約先の保険会社が定めた必要書類をそろえて、保険会社に提出する必要があります。
生命保険協会に加盟している保険会社の契約であれば、複数の保険会社の契約をまとめて照会できます。また、一つの保険会社で複数の保険に契約している場合にも、照会対象者が契約者または被保険者になっている契約が一つでもあれば、照会結果に表示されます。ただし、少額短期保険や共済など、生命保険協会に加盟していない会社・団体の保険や共済契約は照会対象外です。また、生命保険協会に加盟している保険会社の契約でも、年金保険の支払いがすでに開始している、保険金が据置きとなっているなどの理由で調査対象外となる場合がありますので注意しましょう。
生命保険契約照会制度では、契約の有無や契約先の保険会社名を照会できますが、契約内容の詳細までは調査できませんので、保険金額がいくらかはわかりません。契約内容の詳細は、照会権限のある契約者や受取人、指定代理請求人などから、各保険会社に別途で確認が必要です。また、保険金や給付金の請求手続きは各保険会社に直接行うことになります。生命保険契約照会制度での照会手続きによって、そのまま保険金や給付金を請求することはできません。
生命保険契約照会制度は、亡くなった人や認知判断能力が低下した人などについて、生命保険の加入有無や契約先の保険会社をまとめて照会できる制度です。本人が生命保険に加入しているかどうかわからないときや、契約先の保険会社がわからず、手がかりが少ないときに活用できます。
照会でわかるのは基本的に契約の有無と契約先で、保障内容や保険金額などの詳細はわかりません。また、保険金を受け取るためには、契約先の保険会社で請求手続きが別途必要です。まずは証券や郵送物、通帳の引落履歴など、自分で確認できる手がかりを探したうえで、必要に応じて生命保険契約照会制度の利用を検討するとよいでしょう。
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