就業不能保険ってどんな保険?必要・不要な人を解説

就業不能保険はどうやって選べばよい?

目次

就業不能保険は、病気やケガで長期間働けなくなり、収入が減ってしまうリスクに備えられる保険です。働けない期間、会社員なら公的医療保険から「傷病手当金」や独自の付加給付などの保障がありますが、自営業の人は、会社員等に比べて公的医療保険の保障が手厚くないため、前向きに検討したい保険です。また会社員でも、傷病手当金や付加給付による保障では不足する場合の備えとして、活用できる保険です。商品によって、保障の対象となる内容が異なるため、自分の希望に合うものを選ぶようにしましょう。

就業不能保険とは?

4人に3人が働けなくなることに不安を感じている

就業不能保険とは、病気やケガで長期にわたり療養が必要となり、働けなくなってしまい収入が減ることに備える保険です。生命保険文化センターの調査(※)によると、世帯主が働けなくなった場合、生活費に不安を感じる人はなんと74.6%!実に4人に3人の人が、働けなくなるリスクに対して不安を感じています

「世帯主が働けなくなった場合、経済的備えに不安を感じますか?」という質問に対する各回答の割合 出典:生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査
世帯主が就労不能となった場合の必要生活資金に対する不安感・安心感」より筆者作成

働けなくなって収入が途絶えたり減ったりしても、それまでと変わらず生活にはお金がかかり、一度組んだ住宅ローンや子どもの学費は支払いを待ってくれません。貯金を取り崩して支払いを続ける場合、いつ底をつくかとても不安になることでしょう。

病気になっても毎月の支払いは待ってくれません!

就業不能保険はどんな時に受け取れるの?

就業不能保険では、病気やケガによる入院や療養で長期間働けないときに、一時金や年金、または毎月など、商品によって決められた形で給付金を受け取れます。

就業不能保険で備えられるのは、

  • 病気やケガにより長期間入院をしている

  • 医師の指示により、在宅療養をして治療に専念している

  • 障害等級1級・2級に該当する

などの場合です。「所定の就業不能状態」と認められると給付の対象となりますが、この「所定の就業不能状態」は、商品によって異なります。

また、受け取れる期間も商品によりさまざまで、就業不能状態が継続していれば保険期間満了までずっと受け取れるもの、就業不能状態から回復するまでの一定期間受け取れるもの、就業不能状態から回復しても保険期間満了までずっと受け取れるものなどがあります。

なお、単体の保険商品ではなく、医療保険などの契約に、「就業不能保障特約」などのオプションとして保障を追加できる商品もあります。

精神疾患が原因で働けなくなった場合は、毎月の給付金を期間限定で受け取れるもの、一時金として受け取れるもの、そもそも保障の対象外であるなど、商品によって異なります。ほかにも、就業不能状態から回復した場合に一時金が受け取れる商品もあり、保障内容はさまざまです。

給付金を受け取れない期間に注意

多くの就業不能保険では、働けなくなったからといってすぐには給付金を受け取れません。「支払対象外期間」が設定されているからです。例えば、就業不能状態となってから60日や180日などが経ってから、給付金を受け取り始めることになります。契約するときには、支払対象外期間があるのか、また、期間はどのくらいかを確認するようにしましょう。

支払対象外期間60日の場合、就業不能状態に該当してから、60日後に支払開始となります。

ポイント

  • 就業不能保険は、長期間働けないときに給付金を受け取れる保険
  • 就業不能状態になってから一定期間保障されない「支払対象外期間」があるものが多い
  • 保障内容は商品によってさまざまなので、よく調べてから契約しよう
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就業不能保険の選び方

医療保険となにが違うの?

就業不能保険も医療保険も、病気やケガをしたときに保障される保険ですが、一体なにが違うのでしょうか。

医療保険が保障するのは、主に「入院したとき」や「手術したとき」の医療費です。例えば入院給付金の日額が5,000円の医療保険であれば、5日間入院すると25,000円受け取れて、医療費に充てられます。しかし、退院したあとは、医師の指示で在宅療養になったとしても、入院しているわけではないので給付は一切受けられません

また、医療保険では、入院が長引いたときや在宅療養で働けなくなった期間、減ってしまった収入に充てるほどの給付は受けられないこともあるでしょう。

一方、就業不能保険は、医療保険のように「入院した期間」に応じてお金を受け取るのではなく、「働けない状態になったとき」に、ずっとかかる生活費に充てられるよう、毎月給付金を受け取れます。入院していなくても、就業不能状態が支払対象外期間をこえて該当すれば受け取ることが可能なのです。働けずに、どんどん貯金が減っていくことに対する精神的な不安も、和らげる効果があるでしょう。

就業不能保険はどう選ぶ?

就業不能保険は、実にさまざまな商品があり、選ぶのが難しい商品の一つです。項目別に、どんな選択肢があるか主なものについてお伝えします。

就業不能保険と所得補償保険どちらにするか

働けないときに備える保険には、主に生命保険会社が取り扱う「就業不能保険」のほかに、主に損害保険会社が取り扱う「所得補償保険」があります

どちらの保険も働けないときに給付金を受け取れる保険ですが、保障される期間や、給付金のもらい方に差があります。所得補償保険より就業不能保険の方が、長い期間保障を受けられたり、契約時に決めた受取金額を、就業不能状態が続く限り受け取れるのが一般的です。どちらが自分に合っているか商品内容をしっかりと確認しましょう。

どんなときに給付が受けられるか

働けなくなった原因が「がん」や「精神疾患」の場合、商品によって保障の対象外となっているものがあります。保障の対象が広がれば保険料も高くなる傾向はありますが、自分がどこまで備えておきたいか、支払える保険料とのバランスも考えて検討しましょう

支払対象外期間はどのくらいにするか

働けなくなった状態が、一定期間継続しないと給付金を受け取れない「支払対象外期間」も、重要なチェック項目です。支払対象外期間がなく、就業不能状態に該当してすぐ受け取れるものもあれば、60日、180日など働かない期間が続かないと受け取れないものも。同じ商品であれば、この期間が長くなるほど、保険料は安くなることが一般的です

会社員や公務員など、公的医療保険から「傷病手当金」を通算1年6ヶ月受け取れる人は、支払対象外期間を長く設定して、保険料を抑えると良いでしょう。

長期間働けなくなったときの収入減少のイメージ(公務員や会社員など、公的医療保険から「傷病手当金」を受け取れる人の場合)

「傷病手当金」がない自営業の人の場合は、支払対象外期間がないもの、または短いものがおすすめです。なお、障害年金も初診日から1年6ヶ月は受け取れません。

長期間働けなくなったときの収入減少のイメージ(「傷病手当金」がない自営業の人の場合)

給付金を減らせる期間があるか

就業不能保険の中には、給付金を受け取り始めてから一定期間は給付金の金額を半分に減らし、保険料をその分安くできる「ハーフタイプ」の契約ができる商品もあります

給付金を減らせる期間について

給付金をいつまで受け取れるか

一般的な就業不能保険は、就業不能状態から回復した場合、給付金は受け取れなくなります。しかし商品によっては、就業不能状態から回復して働き始めても、保険期間満了まで受け取れるものもあります。また、就業不能状態が終了して毎月の給付が止まっても、復帰を支援する一時金として、給付を受けられる商品もあります。どこまで備えておけば安心か考えて、選びましょう。

ポイント

  • 医療保険は入院したときに給付金を受け取れる保険。就業不能保険は長期間働けないときに受け取れる保険
  • 選ぶポイントは「どんなときに給付が受けられるか」「支払対象外期間はどのくらいにするか」「給付金を減らせる期間があるか」「給付金をいつまで受け取れるか」の4つ
  • どこまで備えておきたいか、無理なく支払える保険料とのバランスで検討しよう

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就業不能保険の必要性が高い人・低い人

就業不能保険の必要性が高い人

就業不能保険が必要な人は、病気やケガで一定期間以上入院や療養をしたときに、公的な保障で生活費などをまかなえない人です。この公的な保障とは、主に「傷病手当金」と「障害年金」を指します。

傷病手当金とは、会社員や公務員など、組合健保や協会けんぽに加入している人が受けられる保障で、連続する3日を含んで4日以上働けない場合が対象です。通算1年6ヶ月、給与の約3分の2の手当を受け取れます。業務上での病気やケガが原因の場合は、労災保険から補償を受けられます。

しかし、自営業の人が加入している国民健康保険には、傷病手当金はありません。そのため、働けなくなると途端に収入がなくなってしまう可能性があります。

障害年金は、障害認定をされた場合に受け取れる公的年金のことですが、会社員が、障害基礎年金に加えて障害厚生年金も支給される一方で、自営業の人は、障害基礎年金しかもらえず、保障は手薄です。また、障害年金は、原則初診日から1年6ヶ月を経過してからでないと請求できません。

自営業の人の場合、病気になって働けなくても、医療費や生活費だけでなく、事業にかかるランニングコストがかかり続けることも、会社員と大きく異なる点です。自身で減収に備えて存分に貯金をしていなければ、自営業にとって就業不能保険の必要性はとても高いでしょう。

就業不能保険の必要性が低い人

就業不能保険の必要性が低い人は、病気やケガで働けなくなっても、それほど経済的に困らない人です。貯金が存分にあり、取り崩して生活しても不安でない人や、傷病手当金など公的保障が受けられる会社員などが挙げられます。会社員でも、傷病手当金だけだと不安という方は、就業不能保険で不足分を備えるのも悪くありません。ただし、勤務先に付加給付がある場合、働けなくなっても手厚い保障が受けられるため、一度会社の制度を調べてみることをおすすめします。

ポイント

  • 就業不能保険が必要な人は、病気やケガで一定期間以上入院や療養をしたときに、公的な保障で生活費などをまかなえない人。代表的なのは傷病手当金が受け取れない自営業の人など
  • 就業不能保険が不要な人は、病気やケガで働けなくなっても、それほど経済的に困らない人
  • 会社員でも会社によっては付加給付など手厚い保障もあるため調べてみよう

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Q&A

うつ病など精神疾患で働けない場合も給付金は受け取れますか?

商品によって、うつ病など精神疾患を給付金の支払対象としているものと、そうでないものがあります。受け取れる場合でも、精神疾患の場合は給付回数が制限されているなど、条件や保障内容が違うこともあるので、注意が必要です。

「収入保障保険」とは何が違うのですか?

言葉が似ていてよく混同される「収入保障保険」は、万が一のときに遺族の生活費に備える保険です。途絶えてしまう収入を保障するという意味合いですので、働けなくなったときの生活費に備える就業不能保険とは全く異なる保険です。

まとめ

就業不能保険は、病気やケガで長期間働けなくなったときの生活費に備える保険です。傷病手当金を受け取れない自営業の人や、公的保障だけでは不安な人におすすめですが、商品によって保障内容はさまざまなので、よく調べて検討することが大切です。

記事内における説明はあくまで就業不能保険の一例で、具体的な内容は必ず各保険会社にてご確認ください。

ファイナンシャルプランナー 鈴木 さや子

株式会社ライフヴェーラ代表

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