日焼けした小学生が、プールの用意を片手に、かけていった。
自分にもあんな頃があったんだよなあ…。
小学2年生のとき、担任の先生が入院されて、代わる代わるいろんな先生が教えにきてくれた。
中でも教頭先生が話してくれた、教頭先生の夏休みの思い出話はいまでもよく覚えている。
先生は、アフリカのどこかの国に行って、真っ黒に日焼けしていた。
「日差しがきつくて、先生のTシャツの絵が、先生の背中にもうつってんで」
「うそやー」
「ほら」
「わー…ほんまや」
とか
「サイはな、うんちしながら、短い尻尾をプルプルさせて、その辺にうんちをまき散らすねん、先生にもかかってん」
「げー…」
遠い遠い国の話、見たことのない景色を見聞きさせてもらい、衝撃が大きくて、だから、今でも覚えているんだろう。
家に帰って、母親にも話したんだと思う。「お母さん、あのね、今日教頭先生がね…」
その20年後、まさか当の本人がアフリカの大地を踏み生活することなんて、内気だった私も内気な母も想像などしていなかっただろう。
いつ、どこで聞いた、誰の話がどう頭に残って、それに対して人は何を思うかは人それぞれだけれども、やっぱりたくさんいろんなものに触れればそれだけ、未来の選択肢は増えるのかもしれない。
元気に走る小学生を見ながら、さあ、夏休み、いろんなものに触れていろんな体験をしてくれたらいいなと余計なお世話ながら思った。
企画部 加藤 あゆみ