さくら咲く

投稿者:
ライフネット生命 スタッフ

こんにちは。お客さま相談部の牛島です。

首都圏の今年の桜は入学式シーズンを待たずして、散ってしまいましたが、ちょうど満開だった3月末に当社の社員有志約10名で「朝花見」をしました。
朝7時半に九段下駅に集合し、満開の桜の下、千鳥ケ淵を散策。
済んだ空気の中で、すばらしい桜を堪能した後、みんなで優雅にホテルで朝食をいただき、身も心もリフレッシュして出社しました。
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こんな桜の季節になると、毎年思い出す文章があります。
大学時代、教育実習生として母校の中学校で国語を教えた際に使用した教科書に載っていた大岡信氏の文章です。
美しい桜色の着物を染めるのに使用したものが、実は花びらではなく、花が咲く直前の桜の樹皮であったことを知った時のことがこう書かれています。

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私はその話を聞いて、体が一瞬ゆらぐような不思議な感じにおそわれた。春先、間もなく花となって咲き出でようとしている桜の木が、花びらだけでなく、木全体で懸命になって最上のピンクの色になろうとしている姿が、私の脳裏にゆらめいたからである。花びらのピンクは幹のピンクであり、樹皮のピンクであり、樹液のピンクであった。桜は全身で春のピンクに色づいていて、花びらはいわばそれらのピンクが、ほんの先端だけ姿を出したものにすぎなかった。

中学校『国語2』光村図書出版 平成2年度版  「言葉の力」大岡 信

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そして、この文章に続いて、言葉の一語一語を花びら一枚一枚に見たて、ささやかな言葉が背後にもつ大きな意味(桜でいうところの樹木なのでしょう)について述べられていました。

これを初めて読んだ時、とても感動しました。
そして、「言葉」について考えてみるとともに、「桜の木はまるで人間みたいだな」と思いました。
花が咲く(「花」の定義は人それぞれかと思いますが)までには、表面には現れない様々な努力や繰り変えされる日々の営みがあり、その結果のほんの一部として花が咲くのだなと。
なので、この文章を読んでからは満開の桜を見ると、「おぉ、お前もよく頑張ったねぇ」となんだかねぎらってあげたい気持がするようになりました。(特に幹が武骨な感じなら尚更)

子育てもそうかもしれませんね。
とかく咲いた花に目が行きがちですが、きっと「子ども」という木は全身でピンクになろうとし、花を咲かせる準備をしているのでしょう。
「早く咲けぇ~!」と急かす“花咲か母さん”になって枯らしてしまわないように気をつけて、立派な幹が育つように気長に待ちたいと思います。どんな花が咲くのか楽しみです。


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