できることから

投稿者:
ライフネット生命 スタッフ

今日のお昼は何を召し上がりましたか?
私は会社の同僚とお弁当を注文して、一緒に楽しく美味しくいただきました。
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このお弁当、実は東北地方の名産品を使っているそうなのですが、こちらを販売している「福幸亭弁当」のウェブサイトでは、食材の生産者が顔写真入りで紹介されています。
これは、20世紀的な「大衆消費社会スキーム」が円熟期を迎え消費行動の多様化が進む中、21世紀以降にはIT革命を伴いながら「顔の見える消費」や「応援消費」が拡がりつつあることを捉えた、共感マーケティングという手法の一種と考えられます。ICタグ付きで生産者の顔が分かる農産品の小売店販売、遠隔地の特産品のネット直販など、その付加価値は安心感であったり理念の共感であったり様々です。

さらに、このお弁当を購入すると、1食につき50円が寄付されるそうです。こうしたマーケティング手法は、コーズマーケティング(Cause Marketing)と呼ばれています。CSR活動とは異なり、寄付を必要とするNPO等の団体と、利潤を追求する企業、そして消費者のtriple-win を志向するもので、近年ではピンクリボン運動や「1L for 10L」プログラム等が有名です。

・NPO団体:企業のリソースを活用して①活動資金が得られる②活動内容の広報になる
・企業:商品やサービスの販売を通じて①利潤が得られる②企業ブランドが向上する
・消費者:商品やサービスの購入時に「ちょっといいことをしている気分になれる」付加価値がつく

もちろん企業の担当者の方にも善意があって企画が実現するわけですが、コーズマーケティングはあくまで企業活動であって、企業から見れば利潤獲得を目的(の少なくとも一部)としています。そのため、こういった「マーケティング」に対して胡散臭いと感じる方も少なくないのではないでしょうか。偽善的な感じがする、それだったら私は直接寄付するよ、と。

しかし、です。日本では年間、個人から2,000億円程度の寄付があると言われていますが、これは25兆円に及ぶと言われるアメリカの巨大な個人寄付と較べると、高々100分の1に過ぎないそうです(文化的背景や税制面など諸事情の異なるアメリカと単純に比較できるものでもないですが)。東日本大震災以降、日本社会は大きな変貌を遂げつつあると言われていますが、果たして本当でしょうか。統計データから試算してみました。
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(総務省「家計調査」、「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」より筆者作成。1世帯当たり年間の寄付金額(二人以上の世帯)に、総世帯数を掛け合わせて試算している)

バブル崩壊以降、個人寄付は阪神・淡路大震災(1995年)や東日本大震災(2011年)に際して一時的に跳ね上がっているものの、2012年には再び沈静化してしまったようです。これが、日本には寄付文化がなかなか根付かないと言われて久しい所以です。

今日は、2013年3月11日。東日本大震災からちょうど2年間が経ちました。震災で命を落とされた方々のご冥福をお祈りします。被災された方々の復興をお祈りし、復興に尽力する全ての方々に深く敬意を表します。
私自身、小学生の時に大阪で阪神・淡路大震災を経験し、また2年前には東京で東日本大震災を経験しました。幸運にも今を生きている私に、何かお手伝いできることはないか。緊急支援というよりも復興に向けた初期投資として、様々な団体が今も寄付金を必要としています。ボランティア活動にだって、今では以前より簡単に参加できるようになりました。一方で、巷には色々なコーズマーケティング商品が販売されています。日常の消費行動でも、気負うことなく、少しずつ貢献ができる。できることから、継続していきたいものです。居酒屋では東北ブランドの日本酒をなるべく飲むようにしている、企画部の枡野でした。

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