「お母さんの言うこと聞いてね」って言わない

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ライフネット生命 スタッフ

娘が1歳になり、自分がやりたいことへの意思表示が少しずつ出てくるようになりました。娘の自主性を尊重して彼女の成長を応援していければと思っています。「子どもの自主性を尊重したい」と考えている親は多いかと思いますが、その自主性を育む上で参考になるかもしれない実験結果を紹介したいと思います。

以前NHKで放送していた、さまざまな「選択」を題材にしたコロンビア白熱教室で「何が学習の動機付けになるかは文化によって異なる」というタイトルで紹介されていたのですが、その実験の内容と結果は以下のとおりです。

サンフランシスコで、7歳から9歳のアジア系アメリカ人(日系及び中国系移民で家庭では親の母国語で生活している)とアングロ系アメリカ人にある課題を与えます。ただし、課題を解くためにいくつか選択肢が提示され、それを各自が選択して問題を解くことになります。さらにその調査では、2つのグループを以下の3つのグループに分けて実験を行いました。

1.自己選択グループ:自分で好きなのを選ぶ
2.非選択グループ:先生が選んだのを使う
3.母親選択グループ:母親がこれを選んだと、嘘を言って使わせる

アジア系アメリカ人のうちで最も成績が良かったのは、3のグループで1よりも30%以上正解者が多く2よりも2倍の正解者が出たそうです。また、その後の課題終了後の自由時間に同じ課題に自主的に取り組んだ時間も、3のグループが一番長かったそうです。それに対して、アングロ系アメリカ人は、最も成績が良く、課題終了後の自主的な取り組みをしたのは1のグループでアジア系の子どもとは全く逆の結果となったそうです。

この原因として、アジア系アメリカ人には、母親との関係が自分のアイデンティティに大きな部分を占めており自分の意思決定に母親の意向が重要な要因であったためと考えられます。一方、アングロ系アメリカ人は自分は自立した存在だという意識が強く、母親とは独立した意思を表そうとしたためと考えられます。

どちらが良いとか悪いとかそういう問題ではないと思いますが、これからは「国の時代」「企業の時代」から「個人の時代」へと移っていくと言われる中で、個人的には、自分の娘には親の意向ではなく自分の意思で様々な選択をして欲しいと思います。ただ、このような結果は文化的な背景、社会的な構造が何層にも重なって我々の潜在意識に刷り込まれており、日本人としては相当意識して言動しないといつの間にか3のグループに属する子どもになってしまいかねません。

とりあえず、我が家では「いい子だからお父さんとお母さんのいうことを聞いてね」というのは禁句にすることにしました。

経理部 成相

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