ABCからCABへ

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ライフネット生命 スタッフ

こんにちは。お客さまサービス部、岸です。

先日、あるAED講習会に参加しましたが、講習の内容として疑問に思う部分がありました。
もともと救命は、ABCと言って、気道確保し肺に酸素を入れてから胸骨圧迫をする流れ手順が一般的ですが、今回の講習会では救助する側に対して『人工呼吸は積極的に勧めない』というものでした。理由としては、『感染症に感染しないよう、予防のため』でした。

それでは、救命蘇生率が下がってしまうのでは?確かに感染症予防も大事だが、その場では救命も重要なんじゃないのかと、疑問をいだいたまま、講習会を後にしたわけなのですが、自宅で調べてみると、2010年10月に『アメリカ心臓協会(AHA) 肺蘇生と救急心血管治療のためのガイドライン2010』においてガイドラインの変更箇所は、まあ極端な言い方をすれば、この人工呼吸を省くというものでした。

以下抜粋:
『バイスタンダー (その場に居合わせた人) が 心肺蘇生法(CPR:Cardiopulmonary Resuscitation) の訓練を受けていない場合,バイスタンダーは,突然倒れた成人傷病者に対して,胸部中央を「強く,速く押す」ことに重点を置いたハンズオンリー(Hands-Only)(胸骨圧迫のみの)CPR を行うか,救急医療(EMS:Emergency Medical Service) 出動指令者の指示に従うべきである。救助者は,AED が到着して使用できる状態になるまで,あるいは EMS プロバイダーまたはその他の応答者に傷病者のケアを引き継ぐまで,ハンズオンリー CPR を続行すべきである。【理由】ハンズオンリー(胸骨圧迫のみの)CPR は,訓練を受けていない救助者にとっては実施がより容易であり,出動指令者にとっては電話による指示がより容易であり得る。さらに,心原性心停止後の生存率は,ハンズオンリー CPR の場合も胸骨圧迫と人工呼吸の両方を行う CPR のどちらも同様である。しかしながら,訓練を受け,実施する能力のある市民救助者に対しては,依然として胸骨圧迫と換気の両方を行うことを勧告している。』

つまりアメリカ心臓協会(AHA) 肺蘇生と救急心血管治療のためのガイドライン 2010では、救助者は人口呼吸を行う前に胸骨圧迫を開始する(A-B-CではなくC-A-B※)と変更されており、ハンズオンリーの有益性と慣れない人工呼吸をするよりは、胸骨圧迫を少しでも早いうちから行うことの重要性を強調しています。
確かに救命に慣れない市民がCPRを行うにはその通りでしょうが、もしもハンズオンリー CPRを勧めるのであれば、救急車が素早く駆けつけることがそもそも大前提の話だと岸は思います。

※A:(Airway)気道確保  B:(Breathing)人工呼吸 C:(Circulation)心臓マッサージ

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