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投稿者:
ライフネット生命 スタッフ

事業開発部の辻です。
毎朝、地下鉄で通勤している私ですが、通勤時の過ごし方は、「新聞を読む」に決めています。会社に着くとすぐに仕事頭になってしまうので、通勤時くらいは仕事のことは考えない。新聞を読みながら世の中の動向に目を向け、フレッシュな気持ちで会社へ!私にとっては非常に重要な朝のひとときです。(これに香り高いブラックのコーヒーがあれば言うことないのだが!)
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さて、先週水曜の日経新聞に面白い記事が一つありました。「点検 急回復企業」という特集で、航空会社であるスカイマーク社が取り上げられていました。航空業界というと、JAL社の一件も含めて、この不況下で世界的にもあまり景気のよくない業界ですが、そんな中ひとり気を吐いているのがスカイマーク社で目下業績が急回復をしているとのこと。その急回復の主要因が、「同社が使用する航空機を、すべて席数177席の小型機(ボーイング737型)に統一したこと」なのだそうです。

航空機の機体の種類を統一すると何が良くなるか?


1. コストが下がる
・機体整備費
機体の種類が多いと整備用の機器・機材の種類が増え、その購入・管理コストが増加。整備士に求められるスキルも上がり、人件費・教育費などに影響。同社では、機体を1機種に統一したことにより前年同期比でほぼ半減したとのこと。
・機体リース料
一般に航空会社はリース会社から機体をリースするが、小型機の場合は1機当たりのリース料が従来機の約半額程度で済む。
・燃料費
自動車などでも同様だが、小型機は燃費が良い。同社では1座席あたりの燃費が6~7%改善したとのこと。
・シミュレーター購入費
パイロットが訓練のために使用する「シミュレーター」という機械が、1基14億円もするのだとか!売上400~500億円の同社においては結構なコスト。機体を統一すると、全パイロットが一つのシミュレーターを使えばいいので大幅なコストダウン!

などなど。結果として、1年前なら80%の搭乗率がないと赤字になってしまっていたところ、現状では搭乗率68%で利益が出るようになったそうです。さらに、


2. 座席稼働率が上がる
・地方発羽田行き便や閑散期の搭乗率が上がる
就航している路線では機体の大小にかかわらず時間が来たら飛ばなきゃいけない。お客さんが少ないと大きな機体ではすごく効率が悪い。最初から小型機であれば、空席率は自然と低くなる。(逆にお客さんが多い場合は、満席になってしまって乗せられないお客さんが出てきてしまいますが。)

結果として、今年の上半期はJALとANAの国内線搭乗率が60%程度のところ、スカイマークは平均搭乗率76%を記録したそうです。平均搭乗率68%で利益が出るわけですから、結果は営業黒字となります。大手航空会社が不採算路線の縮小・廃止している中、逆に同社は新たに神戸-那覇便を就航するなど、攻めの経営を志向。さらに、ドル箱である羽田発着便で本社費などの固定費を賄ってしまえれば、福岡-那覇なら搭乗率40~50%でも利益が出せるようになるらしい。実際に同社では、大手2社が撤退する地方路線間への進出を着々と検討しているようです。

しかし、よく考えられているなぁ。

実はライフネットはこれとまったく同じ発想で保険商品を提供しています。(だから「面白い記事」だと思ったのですが。)「特約なし」「解約返戻金なし」「提供する商品は極めてシンプルな死亡保険と医療保険のみ」「申込はネットのみ」、などなど。ネットにあまり慣れていらっしゃらないお客様にはまだまだご不便をお掛けしている部分もありますが、大変申し訳ないながらそれには目をつぶって、「複雑性」「例外」などを徹底的に排除することに重きを置いています。結果的として、「システム開発・運用費用」はもちろん、保険会社に特有の「契約の査定にかかる費用」「保険金の支払いにかかる費用」も大幅に少なくできていますし、社員が諸々の業務を習得するのに必要となる時間も短くなります。また、人為的なミスや例外対応も減るので、お客様にご迷惑をお掛けする可能性が大幅に小さくなります。

普通に考えると、その仕事にのめり込むほど、「商品やサービスの種類を充実させたい!」と思うのは人情というもの。でも会社という組織で個々人のそれを放っておくと「複雑さ」や「例外対応」がズルズルと増えていく。無秩序に拡大しない勇気、絞り込む勇気が重要です。今回のスカイマーク社とライフネットのモデルは、業界は違えどかなり近い思想で作られたビジネスモデル。そういった会社が業績を伸ばし、新聞などのメディアを通して注目を集めることはすごく嬉しいことです。

などなど、そんなことを考えながら、「結局は自分の仕事のことと繋げて考えてるじゃないか!」と車中で気付きつつ、「やれやれ」という私のつぶやきとともに列車は半蔵門駅に入っていくのでした。

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