20時の壁

投稿者:
ライフネット生命 スタッフ

法務部の片田です。
私の父は、ちょっと変わった人でした。

「女の子は、勉強ができるよりも気が利く方が大事。家の手伝いをしろ。」
「部活動禁止」
「子どもは電話を使うな」
「文句があるなら、自分で稼いでから言え。」

父の言いつけには、理不尽で納得のいかないことが多かったのですが、中でも一番理不尽に思っていたのが、この掟でした。 

―20時就寝
これが小学生相手の話だったらわかるのですが、この掟は、私が大学進学とともに家を出るまで続いたもの。
高校生にもなると、学校の授業が終わって帰宅するのが18時頃。それから家の手伝いをして、夕飯を食べて、お風呂に入ったら、あっと言う間に20時です。
流行りのテレビ番組が見られず、友達との会話に参加できない、なんていうのはどうでもいい話。ベッドの中に本を持ち込んでこっそり読もうとしても、漏れた明かりを見つけて、「何してるんだ!寝ろ!」という怒鳴り声が飛んできます。勉強だって、塾なんてもってのほか、受験勉強はおろか、宿題すら終わらせることができませんでした。

早寝早起きの習慣を身につけるのは確かにいいことです。ですが、20時という時間に何らかの根拠があったとは思えません。父がこんな掟を作らなければ、もっと充実した学生生活を送れたのに、今でもそう思います。私にとって父は、いつも理不尽で、びくともしない壁でした。

でも、ちょっと大袈裟に言うと、「世の中には、いろんな理不尽がある。それに直面したときどうする?」ということを教えられたのかなぁ、とも思います。

生まれた国や生まれた家庭などによって、人生の初めから何らかのハンディキャップを負っている人はたくさんいるし、運よく恵まれた環境に生まれたとしても、大人になれば、誰だって理不尽な壁にぶち当たることがあるはず。最近は、経済の状況も思わしくなく、内定取り消しなど、理不尽な思いで苦しんでいる方もたくさんいらっしゃると思います。
そんなときでも、腐らず、自分のペースを崩さず、その生活の中に幸せをみつけて、楽しく生きていく。そんな力があれば最高ですよね。

そんな大きな理不尽と比べるのもおかしな話ですが、私の場合、朝3時に起きるという手段を選びました。就寝時間は鉄の掟でしたが、起床時間にはなぜか決まりが無かったのです。3時という時間は、眠いことを除けば、誰にも邪魔されず、自分の好きなことに集中するのにちょうどいい時間でした。
どんな手段を取るにしろ、理不尽にぶつかっても投げやりにならないこと、それを教えてくれたのは、父の小さな理不尽の数々かもしれません。

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