標準生命表について

投稿者:
ライフネット生命 スタッフ

現在(*1)、金融庁から標準生命表の改定に関するパブリックコメント(*2)が出されています。

今回改定が予定されている標準生命表(標準死亡率)は、会計上の責任準備金として積み立てる金額を計算するために使用する死亡率であって、保険料の計算に用いる死亡率ではありません。
ちなみに生命表というのは、死亡率や生存率、平均余命などが年齢別などで記載された表のことです。

責任準備金は、保険会社が将来にわたって保障を継続するために積み立てておくものです。
そして、責任準備金の規制は、将来にわたってきちんと保障を続けていくための十分な(財務上の)「体力」をもつことを保険会社に要求するものです。
責任準備金の水準については、法令に規定があり、いわゆる「標準責任準備金」を下回ることができないことになっています。(*3)
この標準責任準備金の計算に用いる予定死亡率・予定利率をそれぞれ標準死亡率・標準利率と言います。
責任準備金の具体的な計算方法については、当局の認可を受けた「保険料及び責任準備金の算出方法書」(以下、「算出方法書」)という書類に記載することになっています。

保険料についても、計算式、予定死亡率などの発生率や予定利率を算出方法書に記載することになっています。(*4)
つまり、これらの要素は当局からの認可を得る必要があります。
ただし、予定死亡率と予定利率がそれぞれ標準死亡率と標準利率に一致していることは必要ではありません。
また、保険料については、標準責任準備金のような最低水準の規定があるわけではありません。

では、保険料はいくらでも安くして大丈夫かというと、そういうわけでもありません。
保険料を安くしすぎると責任準備金の積み立てができなくなってしまうので、責任準備金を規制することによって、過剰な値下げが「間接的」に抑えられる形になっています。(*5)
保険料を値下げするのはお客さま側から見れば良いことじゃないか、と思われるかもしれませんが、過剰な値下げは保険会社が将来的に保障ができなくなり破綻するリスクが高めることにつながるため、どの国でも何らかの形で抑制するしくみ(規制)があります。

なお、今回の標準生命表の改定案は、全体的に死亡率が引き下げられる内容になっています。
これは、死亡保険については、標準責任準備金の水準が引き下げられる方向であり、
医療保険のような第3分野保険については、引き上げられる方向になっています。(*6)(*7)

(*1)これを書いている2017年6月末時点
(*2)「保険業法第百十六条第二項の規定に基づく長期の保険契約で内閣府令で定めるものについての責任準備金の積立方式及び予定死亡率その他の責任準備金の計算の基礎となるべき係数の水準(平成8年大蔵省告示第48号)の一部を改正する件(案)」の公表についてライフネット生命保険サイトの外へ移動します(新しいウィンドウが開きます)

(*3)ただし、保険期間1年以下の商品や外貨建ての商品などいくつかの商品については規定の対象外となっています。
また、特別な事情(*8)が認められれば、標準責任準備金の規定を適用しないことができます。
(*4)ここに予定事業費は含まれていません。予定事業費は認可対象ではなく、事後的なモニタリングの対象となっています。
(*5)それに加えて、算出方法書の認可を受ける際に、保障をするための十分な水準を確保できるかどうか審査されます。
(*6)ただし、改定の影響を受けるのは来年度以降に締結する契約だけで、すでに有効となっている契約は現行のままです。
(*7)なお、標準利率については、今年度から引き下げれられており、ほとんどの商品で標準責任準備金の水準が引き上げられる方向となっています。
(*8)ちなみに、当社はまだ開業から間もないということで、標準責任準備金の規定を適用しないことが認められています。

数理部 岸本

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