だれが原子をみたか

投稿者:
ライフネット生命 スタッフ

こんにちは。数理部の岸本です。
夏休みの宿題というわけではありませんが、今回は最近読んだ本の感想などを。

江沢洋「だれが原子をみたか」(岩波現代文庫)

原子を『見た』人は今まで誰もいなかったはずで、それにもかかわらず、すでに古代ギリシャの頃から原子の存在が唱えられてきました。
目に見えないものだから当然そういった説に反対する人も昔からいたわけで、結局論争が収まったのはつい100年ほど前の20世紀に入ったころだそうです。
この本は原子の存在にまつわる科学者たちの試行錯誤と論争の歴史を描いています。
40年くらい前に書かれたもので、それが最近になって文庫化されたようです。

科学史について、そんなによくは知らなかったので、自然科学については古代ギリシャ以降アリストテレスの説がずっと信じ続けられていて、17世紀になってガリレオをはじめとする科学者たちが実験によってアリストテレスの説を覆して近代的な科学が確立された、などと単純なイメージを何となく持っていました。

実際には、ガリレオ以後もアリストテレスの説が多くの人によって信じられ続けていたし、錬金術が科学(というか化学)になるのにはさらに時間がかかったみたいです。
それに、実験によってすぐに現在の説に到達したというわけではなく、間違った仮説が実験により反証されて新しい説が考えられてという、試行錯誤の連続だったようです。

「実験(じっけん、英語: experiment)とは、構築された仮説や、既存の理論が実際に当てはまるかどうかを確認することや、既存の理論からは予測が困難な対象について、さまざまな条件の下で様々な測定を行うこと。」

とWikipediaには書いてありますが、はじめの頃は、アリストテレスの説を当然として疑わない人たちに対して説得するためのデモンストレーションのような役割も果たしているように本を読んでいて感じました。

とはいえ、「昔の人は間違った説を信じていて、バカだったんだなぁ」と思う人もいるかもしれませんが、今でも迷信を信じたり、間違ったことを思い込んでしまったりはありがちではあるし、噂やあやふやな話に振り回されることはよくあることです。
そういう意味では、科学はどんどん発達してはいても、人間のそういうところはあまり変わらないなぁという気がします。

最後は本の内容から少し離れてしまいましたが、この本は科学の歴史について面白くわかりやすく書かれていておススメの一冊です。(強引な締め方・・・)

岸本


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