あの日、あの時、あの場所で

投稿者:
ライフネット生命 スタッフ

先日、3年ぶりに村上春樹の新作がでましたね。
今週末に読もうかな、と思って楽しみにしています。

村上春樹作品といえば、独特の比喩だったり、思わず真似したくなる言い回しだったり、「読ませる文章」なところに魅力を感じているのですが、もうひとつ個人的に気に入っているのはその作品をどこで読んだかいつ読んだかという記憶が、再読するたび強くよみがえってくるところにあります。

「神の子どもたちはみな踊る」では、社会人になりたての頃の中目黒の本屋を思い出したり、「ねじまき鳥クロニクル」では、深夜の南武線の車内で読んでいたことを思い出したり。

もしかしたら、村上春樹作品は音楽に近い部分を持っているのかもしれません。流行歌って、そういうところがありますよね。その曲を聴くと流行していたときの個人的なことを思い出すとか。たとえば僕は、椎名林檎を聞くと、夕暮れの祖師谷大蔵の商店街を思い出したりします(当時、そこに住んでいたというだけですが)。

そういえば、僕は競馬が好きなのですが、競馬って「あのレースのときあの場所にいたよな~」というような記憶への結び付きがとても強いところがあるな、と感じています。ウオッカが負けた桜花賞は生まれて初めての入院中だったな、とか、サイレンススズカが勝った毎日王冠はどうしても生で見たくて新宿の街頭でTVが映るお店を探したんだよな、とか。刺激的なレース内容だったときほど、レース以外のその時々の細かなことまで覚えているもんです。

ここまで書いてみて、そうか、本であれ何であれ極私的な情景が密接にくっついてくる刺激的なものが自分の好みだったのか、と、自分で自分のことをなんだか発見した気分。

仕事でも、大変だったプロジェクトの時ほど、無事やり遂げたあとにその時々に付随する情景をふっと思い出すことがあります。あの時ファミレスで決起集会したこととか、深刻な状況を助けてくれた仲間が場を明るくするために言っていた冗談のこととか。

いつか振り返って思い出してみたときに、2013年ってあんなエピソードもこんなエピソードもあったよな、と思い出せるような充実した1年にしたい、年度始めに思いを新たにしたシステム部の名代でした。

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