バンコク旅日記 〜アジアの今〜

投稿者:
ライフネット生命 スタッフ

いきなりですが、今タイのバンコクに来ています。
バンコクの露店街プラトゥナムに近い、現地の人しか立ち寄らないだろうなぁ、と思われる川沿いの屋台に座って、多くの視線を浴びながらブログを書いています。初めてこの国を訪れてから、はや20年近くが経ちますが、いつ来ても、バンコクのダイナミズムや力強さ、ある種の混乱が、人々の生活に隣り合わせている姿は、ある種の感動さえ覚えます。
今回は、以下の5つの目的を持ってバンコクにやって来たのですが、本当に多くの事を考えさせられます。

1.タイ人の親友の結婚式に参加する
2.2極化から3極化(急激に中産階級が増加)に向かう、タイのリアルな姿を学んでくる。(と言っても、他のアジア圏の国同様、上の方が飛び抜けてますが)
3.古くからの友人達にあって、旧交を暖める
4.上流階級の社会を体験してみる
5.何より、勝手に日本を代表して、震災時に頂いた多くの支援やメッセージに感謝してくる。と同時に、洪水に苦しむタイにちょっとした恩返しをしてくる。アジアの国に来るといつも、世界は急激な勢いで価値観が似通って来ているなぁと感じさせられます。と同時に、狭い範囲内に世界の課題の縮図も見る事ができます。ぱっと考えつく限りでも、

【課題の縮図を感じること】
・持てるものと持たざるもの、富裕層と貧困層の矛盾と確かな存在
・抜け出せない、這い上がれない人々の力強さと弱さや儚さ
・中産階級の急激な拡大に伴う政策、法整備やインフラ投資の遅れ
・市場経済だとか物質主義の魔物に侵され、文化的価値観が急激に失われている
・政府や警察・軍などの正当性と矛盾
・人口統計さえ不確かにする移民の流入
・他民族が共存・共栄しつつも、それぞれの強いコミュニティ依存がある
・50階建て総ガラス張りのビルの隣にスラムがあり、道路は舗装されていない
・矛盾の解決方法に宗教が存在する
・個としての存在を重視し始め、家族関係が薄れて来ている
・憧れや妬み、希望と絶望、信頼と裏切りが同時に存在・混在
これらの一つ一つが坩堝(るつぼ)の中で混じり合って、混沌としながらも秩序だち、混乱しながらも価値観が共有され、直接的・間接的に矛盾や課題がマグマのように力を蓄え、何かを機に一気に表出される社会と言うのは、ダイナミズムや力強さが感じられるとともに、どこか健全で、どこか危なっかさに溢れています。

その他にも多くの事を感じます。
・服装がどんどんヨーロッパや日本に近づいている。が、社会インフラの整備が遅れていたりするため、綺麗なドレスにサンダル履きと言う、不思議な光景が見られる。
・ショッピングモールやホテルなどを覗くと、全く東京と変わらない姿があり、今自分がどこにいるのか、全くわからなくなる。少し悲しくなったりもする。
・スラムの隣におしゃれなカフェがあって、若者達がカフェタイムを楽しみつつ、iPhoneをいじっている。
・街中のあちこちにある、小さな寺院や仏像の前で、老若男女、多くの人が手を合わせている姿は、宗教が生活の一部として機能している
・シンボルとしての国王と、尊敬や崇拝する対象としての国王、政治や経済のよりどころとしての国王など、王家の存在が本当に重視されている
・富裕層におけるとどまる所を知らない欲や見栄が確実に見え隠れする
・富裕層の子息を中心として、自分を表現する訓練を受けている、英語を話す、留学経験がある若者が多く存在する
・相変わらず、ものすごい数の蚊が至るところに飛んでいる
・失われて行く古き良き文化に思いを馳せ、感傷に浸ったり、取り戻そうとする人がいる反面、大きな潮流の中では力を持ちづらいという事実
・悩みの本質は世界中あまり変わらない。それは多分に経済状況に歩調を合わせている
若い世代を中心として、欧米化が急激に進展している事は、まがいもない事実ですし、何ら否定するところではありませんが、やはり儚さを感じてしまいます。中でも、人々の悩みの源泉が、文化的背景や社会構造よりも、多分に経済的状況による所が大きい事を知る事は、自分が置かれている状況に当てはめてみると、いろいろ示唆を得る事ができます。

やはり旅と言うのは、郷に入っては郷に従えではありませんが、その国や地域が持つ、本質的な社会や文化、生活を肌で感じて、何か大切なものを自身の中に蓄積できる事が醍醐味ですね。一つ一つ詳細にご説明したいのですが、ものすごく長くなりそうですので、ご興味のある方は是非、ご連絡ください。

日本でも「ALWAYS 三丁目の夕日」がヒットを続けているようですが、渦中にいると見えない事も、外から眺めてみる、中に入ってみる、後から振り返ってみると、その事がどんな意味を持ち得たのか、どんな価値を提供し、何を変化させ、何を変化させるべきではないのか等、本当に多くの気づきを与えてくれます。今回は、一人旅かつ、日本人との接触が一切なく、現地の多くの友人・知人のみと触れ合っているのですが、一日本人として、一アジア人として、また一地球人として、自分自身のあり方を深く考える旅になりました。
もう少し、深く踏み込んでみようと思います。
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菅宏司

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