愛読誌(「生命保険経営」78巻3号、2010年5月刊)を読んでいたら、次の記事が目にとまりました。
郵政改革法案がほぼ決着したようです。
ゆうちょ銀行への預入限度額は、現行の1,000万円から2,000万円に、かんぽ生命の加入限度額は現行の1,300万円から2,500万円に、それぞれ引き上げられることになりました。何が、この問題の論点なのでしょうか?上限を引き上げることは民業圧迫になる?
そうではないと思います。世界の金融の流れを見れば、いくつかの大きな流れが認められますが、その中の1つは、イコール・フッティングもしくは、レベル・プレイング・フィールドと呼ばれている動きです。平たく言えば「同じ仕事をするなら同じ土俵で、あるいは、同じ規制を」というごく常識的な話です。例えば、かんぽ生命は、民営化に伴い、保険業法の監督下に入りました。この流れを、逆流させ特別法で規制するということは、私はあってはならないことだと考えます。
「同じ業務をやる以上、同じ土俵で、同じ規制を」これが、郵政問題のコアの部分ではないでしょうか?
第一生命の上場日、4月1日が近づいてきました。わが国の生保業界では、半世紀以上の長きにわたって相互会社がトップ3の座に君臨してきました。その一角を占めてきた相互会社の祖である第一生命が株式会社に転換する意義は決して小さくないと思います。
相互会社は保険会社特有の会社形態で、250年前の生命保険の誕生以来、連綿と受け継がれてきた制度です。契約者が株主に代わって会社のオーナーとなる仕組みで、わが国では「相互会社優位論」とも言うべき奇妙な言説が支配的でした。すなわち、株主配当に回される剰余がすべて契約者に還元されるので、相互会社の方が契約者にとって有利であるというのがその骨子です。
私はかねてから、この言説には懐疑的でした。その理由は簡単です。もし、相互会社の方が仕組的に契約者にとって有利であるのなら、全世界の保険会社は株式会社から相互会社へ転換を図るはずですが、事実はまったくその逆だからです。
もう一つの理由は、優位論はその前提として、「株式会社と相互会社が常に同等の剰余を確保できる」とした上で、その配分論を説いているところに求められます。この前提は常に成りたつものでしょうか。市場からの資金調達やコーポレート・ガバナンス等の点では、一般に株式会社の方が優れていると言われています。今回の上場を睨んだ第一生命の社長交代も、潔いガバナンスの一例だと言えるでしょう。
そうであれば「優位論」の前提そのものが砂上の楼閣だと思えてならないのです。
ともあれ、第一生命の株価は市場でどのような水準で取引されるのでしょう。それは、グローバルな投資家のわが国の大手生保に対する評価そのものに他なりません。上場の成功を祈りつつ、期待を持って第一生命のチャレンジを見守りたいと思っています。
本日、生命保険文化センターより、「生命保険に関する全国実態調査(速報版)」が公表されました。
この調査は、1965年からほぼ3年毎に継続して実施されているもので、時系列の動向を見る上では、とても貴重なデータだと思います。私も、このデータをいつも参考にして勉強しています。
金融庁は8月28日、「ソルベンシー・マージン比率の見直しの改訂骨子(案)について」意見を募集するとともに、新基準を2011年度決算から適用する旨、公表しました。