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デグチがWatch 生命保険業界のオピニオンリーダー・出口治明が、生保について鋭くやさしく語ります!

出口の真っ正直インタビュー 徳重 徹(とくしげ とおる)編

投稿者:
ライフネット生命 スタッフ

真っ正直インタビューの第29回目は、“手頃な価格で購入でき、しかも家庭で充電できる電動バイク”という、画期的な商品を世に送り出しているTerra Motors(テラモーターズ) 株式会社の代表取締役社長の徳重 徹さんです。

起業の際には、バイクという歴史が長く、既に成熟したと見られていた業界でベンチャー企業が大手と伍していけるのか、という疑問をぶつけられることも数多くあったそうですが、徳重さんには、大企業がやらないことをやれば十分に商機がある、という確信があったそうです。

当社の創立の経緯とも通ずるところがあり、出口も徳重さんの姿勢に共感することの多い、実りある対談となりました。

-「バイク産業において、日本は世界の市場の半分を確保しているにも関わらず、日本にはEV(Electric Vehicle)のベンチャーが全くない。アメリカ、台湾、中国にはどんどんできている一方で、です。それは日本人のメンタリティの問題だと思うんです。(徳重)」-

出口(以下、出): この、社名の「Terra(テラ)」は“地球”という意味のTerraですよね?

徳重(以下、徳): そうです、ラテン語のTerra=地球です。まずはコンセプトが大事だろうと思って、1ヶ月くらいかけて考えました。「地球環境を守る会社になりたい」、また、「地球規模で展開していきたい」という思いが込められています。あとは単純に、シンプルで読みやすい、というのもありました。しかし、出口さんは本当にいろいろなことをご存じですね!今までに多くの方にお会いしてきましたが、社名の由来を言い当てたのは3、4人ほどでした。

出: 光栄です。ところで、このコンセプトを具現化するビジネスとして、どうしてバイクメーカーを選ばれたのでしょうか?なにか、きっかけがあったのですか?

徳: 元々は、ぼくも出口さんと同じく大手の保険会社(損保)に勤めていたんです。そこで5年間勤めたのち、29歳の時に自分で会社をやろうと思ったんですね。そして、どうせだったら今までのことを全てリセットするぞ、シリコンバレーに行くぞ、と思い立ったんです。そうして行ったシリコンバレーでは、ベンチャーのインキュベーション事業に5年間携わりました。そこで長く暮らしているうちに、ぼくも単なるベンチャーではなく、急成長するような会社を作りたいと思うようになりまして。ただ、そこにはビジネスチャンス、事業性がなくてはいけないのですが、インターネットのように全く新しい産業がいちから起こるか、あるいは業界全てがガラガラポンになってしまうほどの技術のイノベーションが起こった時がチャンスだ、と思ったんです。

出: なるほど…。

徳: ある時シリコンバレーにいた友人に尋ねてみたんです。「みんなは最近何をやっているの?」と。そうしたら、ITをやっていた連中も、「今は電気自動車をやっているよ」と言うんですね。その時は、その答えを聞いても正直よくわからなかったんですが、よくよく調べてみると、エンジンが電気になり、構造もシンプルで、産業構造も垂直統合型から水平統合型に変わり、既存の自動車産業でのコアな技術要素も全く使っていないと。これはもうガラガラポンになるなと確信しました。しかも、バイク産業において、日本は世界の市場の半分を確保しているにも関わらず、日本にはEV(Electric Vehicle)のベンチャーが全くない。アメリカ、台湾、中国にはどんどんできている一方で、です。それは日本人のメンタリティの問題だと思うんです。ぼくはシリコンバレーを経由して、今は半分くらいアジアに首をつっこんでいますが、そういう、日本人の一般的な類型から外れた人間が、大企業のやらない分野をやるべきなんだろうな、と思ったんですね。でも、いざやるぞ、と言うと、そんなことできるのか、と耳にタコができるくらい聞かされました。普通は、そう言われたらやらないですよね、日本人というのは。でもそれを崩したい、というのが一番の動機かもしれません。

出: みんながやらないところにこそ、チャンスがあるということですね。

徳: そうなんです。それに、今回はガソリン車をやるわけじゃない。それをやったらクレイジーと言われてもおかしくないけれど、そうじゃないわけですから。

-「日本に帰るたびに感じるんですよ。硬直しているなって。日本人は、とにかくリスクを取らない。もう二言目にはリスクが、リスクが、みたいな話ばっかりなんですよ。(徳重)」-

出: 話は変わりますが、御社では社員がものすごくハードに仕事をされているとお聞きしました。

徳: ハードかどうかはわかりませんけど、とにかくスピードを重視していますね。2倍のスピードで2倍の仕事をする“4倍速の経営”をするぞと言っています。ぼくの信念というか、大事だと思っているのが、「働かされている」と思うとネガティブだから、「自分を鍛える」とか、「ここはプロの世界なんだ」と考えること。ぼくがシリコンバレーに行って驚いたのが、元々みんな優秀なんだけど、彼らは200%の能力を出し切っている。これはもうプロの世界だなと。一方で、日本の大企業の人も、元々優秀、スーパーエリートで――入る時は、ですけど。だけど、そのうち4~5割しか頭を使わなくなるじゃないですか。いや、もしかしたらもっと少ないかもしれない。

出: そうしたら、能力は自ずと減退していきますよね。

徳: そのとおりです。だから、ぼくが思うに、日本人がダメなんじゃなくて、組織管理がダメなんじゃないかと。そして、仕事をやらされてる感じゃなくて、わくわくしながら自分の意志でやる、というところまで昇華できればいいんじゃないかと。それと、今日も会社で怒っていたんですけど、会社をある種の道場みたいな感じというか、人を鍛える場所にするというか。将来的に、うちの会社から独立する人もいるかもしれないけれど、その場合でもその人をプロのアントレプレナーにしたいですね。日本にはそういう人がすごく少ないと思っていますから、うちの会社をプロの集団にしていきたいですね。

出: なるほど。海外と比較すると、日本の経営者層はかなり弱いのでは、と思いますが、その点はいかがお考えでしょうか?

徳: リスクを取る経験をしてきていないと思うんですよね。右肩上がりで高度経済成長の時代なんかだと、やり方は分かってるんだし、そのとおりやればいいじゃないか、で済むようなところがあったと思うんです。

出: 私自身の経験からしても、まったくそのとおりでしたね。野口悠紀雄さんの著作『1940年体制』で全て言及され尽くしていると思うんですが、極論すれば、高度成長と人口増加の時代は、社長は仕事をしてはいけないと。なぜかといえば、何もしなければ毎年8%成長していくからです。独創的なことをやっちゃいけないんです。でも、今のようにゼロ成長の時代になってきたら、誰よりも経営者層が働く、つまり決断しなくてはいけないはずなんです。ですから、今後はより一層、経営者の力量の差が会社の差になるような気がします。

徳: ぼくの場合、半分以上の時間は東南アジアに行っていますが、あそこはまた、全然違う世界なんですよね。シリコンバレーとも違うし。そして日本に帰るたびに感じるんですよ。硬直しているなって。日本人は、とにかくリスクを取らない。もう二言目にはリスクが、リスクが、みたいな話ばっかりなんですよ。

出: リスクとチャンスは全く同じものなのに、それでは困ってしまいますね。

徳: 出口さんのおっしゃる通りで、リスクは日本人の感覚では「危ない」って訳されてしまうんだけど、ファイナンス的に言えば、偏差値というか、volatility(変動性)ですから。リスク(volatility)を取りに行かないということはチャンスもないわけだから、それじゃ成長もしないでしょう、と。そしてどんどんジリ貧になっていく。日本のどこを見渡してもそういったことばかりだと思います。いわゆる茹で蛙状態です。そのやり方というのは、もう成長はしません、って言っているのと同じだと思うんですが、どうしてそれに気付かないのかな、と本当に不思議です。

-「ぼくは、99%失敗するんだけれど、今、自分が動かなければ世界は何一つ変わらない、と考えて行動して成功した、たった1%の人が世の中を動かしてきたと思うんです。だからもう、年齢なんか関係なく、みんながそれぞれの持場で行動してほしいですね(出口)」-

徳: 今の若い人たちで、優秀だけど、今の社会がどこかおかしいと思っている人たちが、この会社に行ってみたいな、ここだったらリスクを取ってもいいな、と思えるベンチャーが少なすぎるんだと思うんです。それを増やさなくてはいけないと思っています。

出: そう思いますね。ベンチャーといっても、なにか、こじんまりとしていて、良くも悪くも賢い、という会社が多いですね。

徳: そうなんです。それはちょっと違うかな、とぼくは感じていて。シリコンバレーだと、IBMだ、マイクロソフトだ、これは誰にも勝てないな、と思ったら次はグーグルが出てきました。グーグルに対しても、シリコンバレーの優秀な連中があれはすごいぞと言っていたけれど、続いてフェイスブックが出てきて…と次から次へと新しいものが出てくる。それは、優秀な人がやってるからお金がどんどん集まるというのもあるんだけど、決してそれだけではありません。

出: やっぱり、元々のモチベーションやビジョンとして、もっとわくわくしたい、何かを変えたい、という気持ちが強いんじゃないでしょうか?

徳: そうなんです。次のアップルを目指すとか、グーグルをぶっつぶすとか、本気でそう考えて行動している人間がたくさんいるんですよ。そこで失敗する例も当然あるんだけれど、一方で、日本にそんなものはないじゃないですか。ぼくらなんて、耳にタコができるくらい、ホンダやヤマハとはどうするんですか、とかそんなことを聞かれてばかりです(苦笑) 。

出: そういう意味では、誰もが目を付けていなかった、バイクや自動車のように大きな既存の業界でゼロから始めるという道に進まれたのは、とても面白い発想ですね。

徳: ありがとうございます。

出: ぼくは歴史が大好きなんですが、大体、人間のやろうとしたことなんて99%が失敗するんですよ。それが当たり前で。でも、挑戦しないと世界は未来永劫変わらないですよね。

徳: 今の日本人は、政治家をはじめとして、なかなか尊敬できるような存在というのがいません。だから、ぼくが、出口さんのように幅広くではないですが、少しばかり歴史が好きなのは、昔の日本人、たとえば日露戦争や明治維新の頃の人、あの人たちがすごいからなんです。たとえば、高杉晋作。長州藩をまとめたけれど、政府軍に敗れて、多くの者が切腹させられて、残った者は保守派になって…普通、そこで終わるじゃないですか。でも一人で立ちあがって、もう一度長州藩を革新派にして、奇兵隊が10万人に対して6千人程度の兵力で勝つわけです。自分がもしその状況に置かれていたとして、もう一度立ち上がれるだろうか、すごいな、って思うんです。

出: 再チャレンジする、というところがすごいですね。ぼくは、99%失敗するんだけれど、今、自分が動かなければ世界は何一つ変わらない、と考えて行動して成功した、たった1%の人が世の中を動かしてきたと思うんです。だからもう、年齢なんか関係なく、みんながそれぞれの持場で行動してほしいですね。

-「重要な経営資源はなにか、と言ったときに、昔は人・物・金と言い、続いて情報だ、と言われた時期があって、今はそれを何と定義しているのかはわかりませんが、ぼくにとっては、今日ではスピードが極めて重要な経営資源だと思っています。(徳重)」-

出: ぼくがスピードが大事だと思うのは、ドッグイヤーという言葉がありますが、物理の法則で、衝撃力とか影響力というのは、質量×スピードでしょう。そこで、たとえ質量を人間の能力に置き換えたとすると、人間の能力なんて大差はないと思うんです。そうすると、スピードを上げる、つまり集中してやらなければ何一つ世の中に影響を与えることはできない。そういう観点から言うと、スピードすなわち時間というのはものすごく大事な要素だと思います。

徳: 本当にそう思いますね。重要な経営資源はなにか、と言ったときに、昔は人・物・金と言い、続いて情報だ、と言われた時期があって、今はそれを何と定義しているのかはわかりませんが、ぼくにとっては、今日ではスピードが極めて重要な経営資源だと思っています。ぼくは今、東南アジアの国々と台湾によく行っていますが、2回もあちらの会社に訪れたら、すぐに「じゃあ提携しよう」とか、そういうスピード感のある展開になるわけです。だから、こちらも、行く前からこの会社とは上手くやりたいな、と思っていたら、事前に相当の準備をして、向こうがこういう出方をしてきたらこう返して…と、いくつかのプラン、パターンを考えておかなくてはいけないくらい、すごく早い段階で核心に迫ってくるんですよ。そして、ぼくが日本のベンチャーはアジアにもっと出ていくべきだ、と言っているのは、東南アジアの国々と台湾に関して言えば、彼らは日本が大好きだからなんですよ。日本企業が大好きだからなんです。日本企業が頑張らなければいけないのは、誰が意思決定をするんですか、いつ決めてくれるんですか、いつになったら次へ進むんですか、を即座に求められるということなんです。大体、日本の大企業の場合は、契約書を結ぶまでに1年かかるらしいんですね。ちょっと文言を変更したらすぐ役員会にかける、それが終わったら次の役員会まではまた2ヶ月ある、という風に。あるいは意見が出たらもちろん長引くし、という。ところが、ぼくらのようなベンチャーの場合は、意思決定者が直接話すし、決断もとても早いから、それが良いとされるんです。

出: 規模は小さくても、スピードがあると。規模×スピードで、その積は一緒ということですよね。

徳: しかも、東南アジアにはEVに関して人材・経験・ノウハウのいずれも全くありませんので、ぼくらが行くと、すごく良く扱われるんです。たとえば、ぼくらの会社のバリューが100だとしたら、日本では30にしか見てもらえない。でも向こうに行けば、300くらいのバリューで扱ってもらえる。

出: わかります。そこにスピードをかけたらさらに倍以上になったりもすると。

徳: だから、同じ会社、同じ組織なんだけれど、ポジショニングをずらすだけで違ってくるんです。もちろん海外でのビジネスならではのリスクはあるんですが。その流れでいうと、最近会った日本人の若い、ベンチャー企業をやっている人と話したときにショックだったのが、彼は、「日本でベンチャーをやっているだけでリスクだ」と、こう言うわけです。英語もできるし、知識もあるんだから、海外に出たらいいじゃない、と言ったら、既に大きなリスクを抱えているというのに、さらに海外だということで発生するであろう訳のわからないリスクとの掛け算が発生したら大変だ、と言うんです。彼らの言わんとしているのは、日本語で言うところの“リスク”の感覚だな、と思うんですけども、ちょっと賢すぎるというか…。だから国内でやります、と。いやいや、一度行ってみたらいいじゃないの、と言うんですけどね。

出: それこそまさに、百聞は一見に如かず、としか言いようがないですね。

-「日本の金融セクターの中で、今後10倍、100倍と伸びていく可能性があるのはライフネット生命だけだと言ってるんですけれど、気持ちを大きく持っておかないと、会社も大きくならず、こじんまりしてしまうと思うんです。(出口)」-

出: それと、会社のバリューの評価の国内外の違いという部分ですが、非常によくわかります。ライフネット生命も起業から3年10カ月で上場して、それは保険会社としては、おそらく世界新記録だし、ネット生保としては上場自体が世界初だと思うんですね。しかし、国内の機関投資家はビジネスモデルが面白いと思っても、大手と比べて…と考え出してしまって、なかなか株を買っていただけないことも多いんですよ。でも、外国の機関投資家は理屈が合えば買ってくれます。新しいことに対する価値判断の違い、というんでしょうか。

徳: 非常に良くわかります。EVは新しいものだから、リスクを取っていくというのが極めて重要で。たとえば、我々にはリチウム電池の会社などがパートナーとしているのですが、その中にも日本、韓国、中国、台湾の会社があって、それぞれの色がすごく違うんですよ。サムスンなどは、ここだ!と感じたときの突っ込み方がすごくて。それでぼくも社員に言ったのですが、お前ら知ってるかと。サムスンは時価総額で言ったらソニーの9倍だぞと。そんな会社がベンチャーのようなスピード感で動いていたら、そりゃ日本の企業が勝てるわけがないだろうと。

出: 規模×スピードのどちらも負けてしまっているわけですね。

徳: ぼくの中では、アップルやサムスンを超えるのは、日本のスーパーなベンチャーしかないんじゃないかと、勝手に思っているんですけどね。

出: ぼくも、日本の金融セクターの中で、今後10倍、100倍と伸びていく可能性があるのはライフネット生命だけだと冗談で言ってるんですけれど、気持ちを大きく持っておかないと、会社も大きくならず、こじんまりしてしまうと思うんです。

徳: それは本当にそうですよね。シリコンバレーの話もそうですし、さきほどの高杉晋作が一人で立ち上がった時の話も同じことが言えると思います。

出: モチベーションやビジョンを高く強く持ち、スピード感を持ってそこに向かうということですね。本日は、どうもありがとうございました。

徳: ありがとうございました。





徳重 徹(とくしげ とおる)さんプロフィール

住友海上火災保険株式会社にて、商品企画等の仕事に従事。その後、米国ビジネススクール(MBA)に留学し、シリコンバレーのインキュベーション企業の代表としてIT・技術ベンチャーのハンズオン支援を実行。事業の立上げ、企業再生に実績残す。2010年4月に「日本発のグローバルEVベンチャーの創出」というビジョンを掲げてテラモーターズライフネット生命保険サイトの外へ移動します(新しいウィンドウが開きます)を創業、現在国内シェアトップを獲得するとともに、ベトナム•フィリピンにて事業を展開中。経済産業省「新たな成長型企業の創出に向けた意見交換会」メンバー。九大工学部卒。


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