ここから本文です

デグチがWatch

デグチがWatch 生命保険業界のオピニオンリーダー・出口治明が、生保について鋭くやさしく語ります!

出口の真っ正直インタビュー 奥田浩美(おくだ ひろみ) 編

投稿者:
ライフネット生命 スタッフ

2012年度最初の対談は、株式会社ウィズグループ代表の奥田浩美さんです。26歳で起業され、海外のIT企業が日本で開催するカンファレンスの運営などを手掛けられています。多くのITベンチャー企業をサポートされた方であり、プライベートでは、見事に中学受験を突破されたお嬢さんのいるお母さんでもあります。ブログでは忙しい日常の中にも、おいしそうな“塾弁”を披露されていて、仕事に育児にとパワフルに生きている姿が女性たちに慕われています。

女性の活躍なくして社会は元気にならないと言う出口との対談は、「私もそう思っています!」「僕も同感です」というやり取りが飛び交うものとなりました。

-「女性の問題を女性が解決しようとしているけれど、そうじゃない(奥田)」-

出口(以下、出): 今日は世界銀行の駐日特別代表の方とお話されてきたということですが、どういう内容のお話しだったのですか?

奥田(以下、奥): 世界銀行の年次総会が48年ぶりに日本で行われるのですが、その分科会で、女性や企業の問題について世界に発信できることはないかなというブレストをしてきました。

出: 参加者は女性のみですか。

奥: 女性問題を語るときに女性だけで集まってはいけないよねというのが私の持論でして、会合などを実施するときは、必ず男性にも参加してもらうようにしています。ぜひ今度、出口さんも来てください。

出: 喜んで行きますので、ぜひ呼んでください!

奥: 主宰しているSPARK!という会では、たとえばこの間は、慶応大学の学生さんで、コックをして資金を稼ぎ、世界に旅立つという男の子が来てくれました。彼は4月2日号の日経ビジネスの表紙にも載っているんですよ。その学生さんが作ってくれた料理を食べながら世界銀行の駐日代表の話を聞きました。女性の不満を言いあうだけの会や、女性が男性と張り合うという会にはしたくないんですよね。

出: 女性だけで男性に対する不満を言い合うだけでは、何も新しいものは生まれないですからね。女性が働く環境の改善という点において、独断と偏見でいえば、日本で一番必要なのはクオーター制だと思っています。EUがやっているように、2020年までに女性役員が3割~4割いなければその企業の上場を取り消すくらいの覚悟でやってしまえばいいと思うんです。EUのように女性の役員が2割以上いる地域でも、もっと増やそうとしている。これに対して日本は1%もいないのです。

奥: 今日の世界銀行の駐日代表とのブレストのときも、先進国の中で日本が1番恥ずかしい状況にあるということの啓蒙が必要ですね、という話になりました。女性の問題を女性が解決しようとしているけれど、そうじゃないんだよということを訴えていかないといけないね、と。

-「人間が役職に育てられる部分もありますから、役職を与える前から評価するのはおかしい(奥田)」-

出: 以前とある会社で、幹部候補生に女性がいないのはどうしてですか?と聞いたことがあるんです。すると、女性を登用したいと思って1年くらい目をこらして見ているんだけれども、ふさわしい女性がいないので登用しないんだ、という答えが返ってきました。でも僕は、その考え自体が間違っていると思います。ロールモデルがないんだから当たり前でしょう、と。とにかくまずは3人登用して、もし、うまくいかなかったら1年経ったところで役職から外せばよい。3年間で9人の女性を登用したら、後続の中から間違いなく立派な人が出てきます。

奥: 女性を登用しましょうといったときに、平等に見ても男性の方がやっぱり管理職として能力が高いとよく聞きますし、言っている意味はわかるんです。ただ、やらせたこともないのに、比べてみて、経験のない女性社員と経験豊富な男性社員だったら男性が有利だ・能力があると言うのは納得できません。人間が役職に育てられる部分もありますから、役職を与える前から評価するのはおかしいです。

出: EUでもそうですが、逆差別をしなければ平等にはならない。どんな人間でも、言い聞かせ納得させてやってみせて、やらせてみて初めて人は育つんだと思います。個人の意識の問題にしてはダメなんですよね。そうではなく「仕組み」をつくることが何よりも大切です。

奥: たとえば、女性の上から10人に役職をつけてみたらどうでしょうか。おそらく女性たちにも葛藤があったり、途中で落ちて行く人も出てくるんでしょうけど、今までの歴史を見ても、そういったチャンスをものにしたいという女性は、人の倍ぐらい努力するはずですから。きっと素晴らしい人材が出てくると思います。

-「シラク3原則と呼ばれている基本方針の実行に尽きます(出口)」-

出: ライフネット生命が伸びている理由を聞かれることがありますが、答えは「女性と若者が特にがんばっているから」です。生命保険業界は売り上げで40兆円を超える巨大な産業で、その売り上げのほとんどを稼いでこの産業を支えているのは過去も現在も女性です。ところが、生保44社の中で女性の常勤役員がいるのはライフネットだけでした。今は外資系生保で1社ほど女性役員がいるところも出てきたようですが。保険は若い世代に必要な商品なのに、30代の役員がいるのもライフネットだけなんです。

奥: そうなんですか。

出: 例えばデパートにいくと紳士服のフロアって女性服の売り場に比べると狭いですよね。しかも、紳士物のフロアですら、そこで買い物をしているのは主に女性なんですよ。この例ひとつとっても、おじさんばかりで経営していて、良い商品やサービスができるわけがないと思いませんか。2010年の10月にゴールドマンサックスがウーマノミクス3.0というレポートを出して、先進国なみに女性が活躍すればGDPは15%あがると書いてありましたよね。

奥: 私もそのレポ―トを読んでまったく同じことを思いました。もっと世の中にその考えが浸透すればいいのに、と。例えば、出産を経て仕事に戻ってきた女性というのは、その経験以前よりも強固な光るものを持っているのに、会社という組織の中では出産というのはブランクができて不利益なものと片づけられてしまっていますよね。世界銀行の駐日代表の方と話をしたときに、一番印象に残ったのが、その方はアメリカのスタンフォードに2年間MBA留学をした、と。その2年間と女性の出産・育児の2年間は同じなんじゃないか、とおっしゃっていたことです。「学問」というのは、仕事に戻ってからそれほど直接的に役に立つものではなく、それよりは「海外に出て培われた見方」の方が役に立つ、と。それって出産・育児も一緒ですよね。出産・育児で培われた見方というのは、仕事へ還元できるものです。

出: その通りです。僕は、女性が赤ちゃんを産めば、消費者が1人増える、つまりお客さまが1人増えるわけですから、日本は戦後のようにもはや欧米のまねをする必要はないけれど、唯一、少子化対策についてはフランスの真似をすべきだと思っています。シラク3原則(※)と呼ばれている基本方針の実行に尽きますね。シラク3原則のポイントは、彼女たちは子どもを産んで社会に貢献しているのだから、3年前に例えば2番目のポジションだったら、仕事に戻ってくるときのポジションも2番目だと。つまり、このような当たり前のことをやればいいんです。

※ シラク3原則を核とするフランスの少子化政策

  1. 子どもを持つことによって新たな経済的負担が生じないようにする
  2. 無料の保育所を完備する
  3. 〈育児休暇から〉3年後に女性が職場復帰するときは、その3年間、ずっと勤務していたものとみなし、企業は受け入れなくてはいけない

以上の3原則をしっかりと樹立し、出産・子育てと就労に関して幅広い選択肢ができるような環境整備、すなわち「両立支援」を強める方向の政策を指す。婚外子を差別しないPACS(民事連帯契約)もこの政策パッケージの中に含まれる。

-「人生って見えないことのほうがおもしろいのに、こんなところで見えちゃっていて、いいのか(奥田)」-

出: 話は変わりますが、奥田さんは、ムンバイの大学の大学院を卒業されていますが、なぜムンバイだったのですか?当時はなかなかムンバイという選択肢は珍しかったのではないかと思います。

奥: 父が僻地教育のエキスパートで、当時ムンバイの領事館付属の日本人学校の校長をしていた、という縁があったというのが、1つの受動的な要素ですね。私が15歳のときに、私と妹に、鹿児島に家を用意してくれて二人でそこに住みなさい、と。自分の給与口座のキャッシュカードを渡すから「自分たちで考えて生活しなさい」と。そして、父と母で僻地を回っていたんです。

出: 素晴らしいお父さんですね。僕だったらそんなこと言われたら全部使ってしまいそう。15歳で自立というのはすごいことですね。

奥: 責任を持たされた人間というのは頑張るんだなと思いました(笑)妹の面倒も見ながら、大学まで行きましたから。でも、4年のときにフッと考えたんですね。父はムンバイで校長をしている。自分といえば、父にライフプランを与えられて、父の想定どおりに教員になるべく採用先の学校も決まっている。つまり、自分はこの先40年くらいの道が決まっている。人生って見えないことのほうがおもしろいのに、こんなところで見えちゃっていて、いいのか。父はあんなに好きに生きているのに!と。

出: 人生は先がわからないからこそ面白いですよね。

奥: 見えている人生のスタートを切るのが耐えられなくなってしまいました。父はインドにいるのだから行こうと思えば行ける、ということで、1ヶ月遊びにいって、ここで社会福祉を学ぼう。ここで何か学んだら将来何かが開けるかもしれない、と思い、実行しました。でも、父は3ヶ月くらい許してくれなかったですよ。「こんなところに来て何になる!」と猛反対。私は「だったらそこの一番良い学校に行きます!」とムンバイ大学へ入学。人生って自分だけがしゃかりきになって得られるものでも、縁があったから拓けるものでもないですね。

出: まったく同感です。何かのご縁と、なんとなく吹いてきた風と、何かをしたいという人間の意欲があわさったときに歴史は動きます。

-「人間と人間がつくった社会を相手にした企業に社会性がなかったら永続しません(出口)」-

奥: 日本に帰ってきて、就職したのが国際会議の運営をするところで、情報通信とか半導体とかの国際規格を標準化するというような国際会議の担当になりました。当時1989年ですから、インターネットとはいえ太平洋をどうやってケーブルを通すかという会合なわけです。参加する会議や会合で話される内容は、とにかく「私たちはこれから世界を変えるんだ」というものばかり。私は、社会福祉というのは、まず、社会を変えなきゃいけない、つまり、社会を変えるための教育をムンバイで受けてきたわけですから刺激になりました。

出: 社会を変えるということを学んできたところに、社会をこれからの技術が変えるという話が目の前でなされていれば確かにわくわくしますよね。セーフティネットをどうやってつくるかということではなく、セーフティネットをつくらなくてもいいような豊かでフェアな社会にすればいいということですね。

奥: そうです。情報が得られないと困っている人に一生懸命情報を与えて救おうとするよりは、情報を得られる共通の土壌ができればよい、それがインターネットですよね。ITリテラシーがどうのこうのではなく、携帯電話を普及させて、誰でも携帯で情報を見られるようになればよい。学校でアイウエオを教えるよりは、社会基盤のITのインフラが整う方が社会を変えることになるんだなとここ10年くらい実感しています。

出: 仕組みをもっとよくすれば、落ちこぼれる人は減る。一人ひとりをケアするのも大事だけれど、社会の仕組みをよくして、レベルをあげれば、みんながまた楽しく暮らせます。

奥: 目の前の一人ひとりを救いなさいとマザーテレサは言いました。ただ、一人ひとりを救うとともに組織をつくって、お金を持っている人からそういうところにうまく循環させるしくみを作ることが目標でした。決して、道に倒れている人を起こすだけの役割じゃないんです。

出: 社会福祉も大事なのはロジスティクスですからね。だから、お金をたくさん持っている人にこそ啓蒙すべきです。お金をどんなことにでも使える権利と自由があるのですから。民主主義とか社会に参画するというのは、投票とか最高裁にケチをつけるということだけじゃなくて、いやなら逃げることもできるし、自由にお金を使うこともできる。みんなで助けたいNPOがあればみんなでお金を出し合えばいいんですよ。

奥: 社会福祉を学んでいたので、社会企業という枠にたいして興味はないのかとよく聞かれるのですが、私は本来、企業というのはすべて社会企業だと思います。

出: その通りですね。人間と人間がつくった社会を相手にした企業に社会性がなかったら永続しません。基本的には、本業を徹底的にがんばり、本業でお客さまの役に立つのが最大の社会貢献でしょう。ライフネット生命だったら、シンプルでわかりやすい保険商品をつくって、若い世代の保険料負担をおさえて、安心して赤ちゃんを産んでもらうこと。それがなによりの社会貢献だと思うんですよね。だから、良い保険商品やサービスをつくることが最優先です。

奥: マザーテレサのことばに通じますね。社会のために何かをしようと思ったら、まずは家族に目を向けて家族を大事にしなさい、と。基本的には家族がいるものだから、家族を作って幸せにしていくっていうことを徹底したら幸せな社会ができるということですよね。
今日は本当に話していて、「言おうとしていたことが言われて」というような対談でとても楽しかったです!

出: 僕もです。ありがとうございました。

奥: ありがとうございました。





奥田浩美(おくだ ひろみ)さんプロフィール

インド国立ムンバイ大学にて社会福祉修士修了。おもにマザーテレサの施設研究等を行う。

インドでは社会福祉のマスターコースにて「世界・社会を変える」指導者としての教育を2年受けて帰国するも、日本にて「世界・社会を変える」福祉分野の就職先と出会えず、そんな折、「世界を変える」と主張するIT分野の人々と出会う。

1990年台前半に、IT専業のコンベンション事業を設立。ITの台頭と共に海外より進出してきた、MacWorldやInteropといった大型のプライベートショーの事務局を受注。数多くのイベントの日本への上陸をサポート。10年間の事業統括後、出産を機に子育てと社会貢献を両立できることを中心にすえ、株式会社ウィズグループを設立。

「コンファレンスを通してイノベーションを加速する」ことをモットーに、特にWeb系の人的ネットワーク作りを支えている。 さらにそれらのネットワークを活かし、起業系コンテストの企画やコンファレンスの企画等にも加わっており、あらゆるコンファレンスやコンテストの事務局を統括している。

また、Startupのサポートも多く行っており、世界展開されている「Startup Digestライフネット生命保険サイトの外へ移動します(新しいウィンドウが開きます)」の東京キュレータや、女性起業家のコミュニティのSpark! ライフネット生命保険サイトの外へ移動します(新しいウィンドウが開きます)といったものも主宰している。

娘に向けて書いたプロフィールライフネット生命保険サイトの外へ移動します(新しいウィンドウが開きます)

Facebookフィード購読ライフネット生命保険サイトの外へ移動します(新しいウィンドウが開きます)


  1. >デグチがWatch
  2. :出口の真っ正直インタビュー 奥田浩美(おくだ ひろみ) 編

まずはお気軽にお電話ください

どんなささいなことでもお聞きください。お客さまがご納得いただけるまで経験豊富な保険プランナーがご相談に乗ります。

受付時間:平日9時~22時、土日祝9時~18時(年末年始除く)

保険料をチェック!

カンタン!10秒であなたの保険料がわかります。

人生に、大切なことを、わかりやすく。
ライフネット生命保険株式会社

Copyright©2017 LIFENET INSURANCE COMPANY All rights reserved.