久しぶりの「岩瀬に言わせて!」シリーズです。今回のお話し相手は、NHK教育テレビ「えいごリアン」やラジオ番組「基礎英語1」「基礎英語2」などでおなじみのジャニカさん。現在は、バイリンガルマルチタレントとしての活躍以外にも、J-Castという外国人モデルやアーティストのマネジメントを行う女性実業家としても活躍しています。
結婚・出産を経て、視野がさらに開けたというJanicaさんと英語での対談となりました(本文は日本語でお届けします)。
Janica(以下、J): 今日はよろしくお願いします!Janicaです。(と、流暢な日本語で話すJanica)
岩瀬(以下、岩): よろしくお願いします。今日は、ママであり自分でビジネスを立ち上げた実業家でもある女性との対談ということで、Janicaさんをお招きすることになりました。では、もうさっそく質問なのですが、そもそも日本に来ることになった経緯は何ですか?(と英語で聞く岩瀬)
J: 日本には11歳のときに来ました。義理のお母さんが日本人だったのがきっかけです。最初は千葉で6ヶ月過ごし、日本語学校に通ったりしました。いったんアメリカに帰るんですけど、また13歳のときに戻ってきて、日本語学校と普通の中学校に入りました。そのときに修学旅行も経験しました。次に日本に来たのは18歳のとき。それからずっと日本にいます。
岩: 旦那さんは日本人ですか?
J: オーストラリア人です。
岩: え、てっきり日本人かと思った!
J: 日本人の彼氏ももちろん素敵だったんだけど!
岩: で、お子さんを出産したことを機にビジネスを始めたと。
J: そうです。それまでもフリーランスでいろいろなタレント事務所に登録して活動はしていたのですが、娘の1歳の誕生日を機に、「何か新しいことやりたい!」と思って、独立してモデルやタレント、アーティストのマネジメント事務所を設立したんです。
岩: でも子どもが小さいと、実質、時間が無いから大変だと思わなかったですか?
J: 確かに。子どもが生まれると仕事もしたいし、でも、子どもと一緒にいたいし・・・とジレンマはありました。でも、私は専業主婦でいることが自分には合わなかったんです。もちろん、専業主婦がComfortableに思う人もいるから、それは人それぞれ、正解も間違いもないです。で、選んだ選択肢は「ホームオフィス」。家でできる仕事。
岩: でも、独立しないで企業で働くという選択肢だと、いろいろ安心もあると思わない?社会保険とか心配しなくて済むし。
J: んー、確かにそういう側面はありますよね!でも、「何か新しいこと」とか「チャレンジングなこと」を突き詰めたら、既存の事務所とうまくやっていくビジネスプランが難しかったんです。独立してみたら、他社に比べてローコストでやっていけることがわかったので、不況の今はとっても有利。
岩: そのビジネスモデルは、ライフネット生命と一緒ですよ。我々はローコストを徹底することで、保険料にかかる付加保険料を安くして、だから安い保険料で保障を提供できる。不況でお客さまはなるべく保険料を抑えたいわけだから、保障内容が同じなんだったら、少しでも保険料が安いライフネット生命を選ぶ。こういう構造ですよね
J: まったくその通りですよね。うちも経費をほとんどかけていないので、原価ギリギリで提供できる。だから安い。だから不況に強い。それに不況下でビジネスを始めることのメリットは、ローコストを徹底できること。もし、ものすごく羽振りがいい状態でコストもいっぱいかけてスタートしていたら、景気に合わせて人を減らしたり、きつい条件で働くことをお願いしたいすることになる。
岩: Low expenses, low expectations.
J: Exactly. 私は高い賃金を払ってフルタイムを1人雇う余裕もなかったので、それぞれ異なる能力を有した人をパートタイムで雇うという方法にしました。
岩: で、業績が伸びてきたら、必要に応じてフルタイムにするなり人を増やしたりするなり、と。
J: そうですね、できれば娘の2歳の誕生日までにはそうなるといいなあ、なんて思ってます。
岩: モデルエージェンシーのようなビジネスをやっている競合はたくさんあると思うけど、ビジネスを立ち上げるときに勝算はあったんですか?
J: そもそも、既存のエージェンシーと自分のビジネスは競合にもならないかなって思っています。普通は、モデルエージェンシーはオーディションを開いて契約する人を選ぶので、モデルやタレントの卵はとにかくたくさんのエージェンシーに応募します。でもうちは違う。私がマネジメントして一緒に働いている人は、私の会社だけに応募してきたり、私と一緒に働きたいと言ってくれた人たちのみ。単に契約している人を現場に送り込んで終わりというのじゃないっていうところが、既存の会社とは違うって思っています。勝算につながるかどうかは、まだこれからわかってくることですけど、戦う土壌自体が違うところに、ビジネスチャンスはあると思っています。
岩: なるほど。ところで、ママになって何か変わりました?ママ業はどうですか?
J: なんていうのかな、誰でもそうだと思うけど、子どもが生まれて生きる意味というか、誰かのために生きるということを知りました。自分よりも大切な人ができて、自分の人生をその人のために差し出せるというか・・・。
岩: 保険は入ってます?
J: 国民保険は入ってます(笑)
岩: もし今自分に万が一のことがあったらどうします?
J: 主人が確か何かに入ってます(笑)でも、オーストラリアの保険。日本のじゃないなあ。正直、保険については全然無関心だったので、主人の保険の内容もよくわかってないですね。私も何か入らないとまずいわね。
岩: 今年、日本では政権交代もあったし、最近は社会情勢も目まぐるしく変わりましたよね。Janicaさんはいわば日本に住み、日本で働らく外国人という立場なわけだけど、客観的に日本人を見ていて実感する変化とか具体的にありますか?
J: 私が日本に初めてきた20年前と比べると、もちろん、日本人の志向が海外にずいぶん拓けたなというのは実感しています。昔は、私が外国人というだけで妙な反応があった(笑)「こんにちは」と話しかけたら「すごおおおい!日本語話せるの!??!?」と拍手喝采。
岩: 想像できます(笑)
J: この20年で考えると、日本は欧米の良いところをどんどん吸収しているように感じます。私は、日本には欧米化してほしくない。だから良いとこどりが一番いいと思う。たとえば、昔は日本なんてどこでも喫煙OKだったけど、今はどんどん禁煙・分煙がすすんでますよね。欧米の方がたばこに関しては健康面での施策を推し進めているから、真似できるところはどんどんしたらいいと思う。保険もそうですよね!日本にはなかった種類の保険がアメリカから入ってきて、今、それが一般的となっている。
岩: 日本の一番好きなところはどこ?
J: たくさんあるけど、「ルールにしたがう」っていう意識が高いところかな。ラーメン屋の列ですら、きっちりみんな順番を守るでしょ?しかも、列もきれい(笑)契約ごともそう。ルールを守るというのは、シンプルだけど諸外国で当たり前にできているかというとそうじゃないと私は思う。
岩: なるほど
J: でも、弊害もあるという意見ももちろんあります。何かビジネスをすすめるにしても一つ一つ決められたとおりにやらなきゃいけないから、効率的じゃないときもある(笑)。
岩: 他に日本が優れているなあと思うところは?
J: 日本というか、東京に限定して言うと、発達した交通網!
岩: アメリカのどこ出身でしたっけ?
J: ユタ。
岩: ああ、確かにユタなら交通網の発達した東京の良さは実感するよね。
J: あはは、まあでもきっとニューヨーク出身でも東京の交通網にはびっくりすると思う!それに、日本は本当にクリーン。私はロサンゼルス(LA)に住んでいたこともあるけれど、日本とは比べものにもならない。LAは道のあちこちにゴミ箱が置いてあるの。それにも関らず、道にゴミが落ちている!日本では道にゴミ箱がただ置いてあるってことはないでしょう?それなのにゴミは落ちてない。日本人は自分たちの住んでいるところを汚さないんだっていうプライドがあるからなんでしょうね。
岩: 鳩山首相をどう思います?
J: まだどう思うかという結論を出せる段階ではないけれど・・・、確か鳩山さんは英語を話しますよね?それは、日本の首相としては大きなステップアップだと思うわ!
岩: あなたはNHKの英語学習プログラム番組でずっと活躍していますが、日本人の英語学習についてどう思いますか?
J: ずっと「エイゴりあん」をやってきて思うのは、日本人の英語の先生の説明が非常にわかりやすくて上手だなあということ。英語の教育番組のコンテンツもどんどん進化して面白くなっているし、英語教育の重要性が日本で高まっていることは見ていて本当に実感します。思うに、日本語と英語はまったく対極にある言語だと。共通点がまったく無い!と言っても過言じゃないですよね?だから、ちょっと聞いただけですぐにピックアップできるような言語じゃないんです、お互いに。だから、よく「日本の英語教育は遅れているうんぬん・・・」と聞きますが、遅れているんじゃなくて、習得にそうとう時間がかかる、というだけだと思うんですよね。
岩: 確かに。
J: 小学生から英語をという取り組みも始めていますが、大事なのは、英語をはじめる時期じゃなくて、どれくらい長く英語に触れているか。だから、1週間に3回英語の授業があるだけじゃ話せなくて当たり前。本当に英語を話せるようになりたいなら、1日の授業を全部英語でやればいいんじゃないかなと思いますよ。
岩: 10年後のビジョンを教えてください。
J: 10年後には今の会社をもっと大きくしていたいですね。私の会社が、日本企業のロールモデルになっていたらうれしいです。というのは、女性、とくにママが働きやすい会社として。託児所を完備したり、フレックスタイムを導入したりするのはもちろん、マザーフレンドリーな会社をつくりたいです。そのためにも、日本には強いままでいてほしい。そして日本の出生率が上がってほしい。ユタに来て!ユタはアメリカで一番出生率の高い州なのよ!
岩: 文化的に?それとも宗教的理由が背景?
J: 宗教的背景ですね。モルモン教徒がほとんどなの。日本で子ども産んでもいいと思うママやパパが増えるためには、会社の協力は不可欠ですよね。パパが「家族のために定時の5時半で帰ります」と胸を張って堂々とそれを実行できる環境は、まだ全然整っていないと思います。私の主人は毎日6時半には家にいて子どもと触れあう時間を確保している。だから彼は「日本人の同僚は10時とか時には終電まで会社にいるんだよ」と不思議そうにしています。彼の信条は「効率的に仕事をすること」だから、たとえ誰よりも早く帰っているとしても業績はトップクラス。早く帰ってくるから健康的だし、早く起きてエクササイズもできる。父親が家で育児を手伝ってくれれば、もう一人子どもが増えてもやっていけるって思うはずです。そういう働き方を啓蒙できる存在になりたいと思います。

Janica Sims(ジャニカ・シムズ) プロフィール
NHK教育テレビ「えいごリアン」のジャニカとして有名(タレント活動をするときはジャニカ・サウスウィックを名乗っている)。ラジオ番組「基礎英語1 、基礎英語2」では10年以上に渡りレギュラーを務めており、2008年に外国人モデル、ナレーター、MC、俳優、キャスティングなどを行うエージェント:J-Cast株式会社を立ち上げ代表取締役社長となる。著書に「小学校卒業までにスラスラ英会話(主婦と生活社)」等。
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