ライフネット生命保険
デグチがWatch 生命保険業界のオピニオンリーダー・出口治明が、生保について鋭くやさしく語ります!

出口の真っ正直インタビュー 風間 豊次(かざま とよつぐ) 編

投稿者:
出口治明

真っ正直インタビューの第12回目は、麹町にあるシェカザマ(Chez Kazama)のオーナー、パン職人の風間豊次さんです。パンの芸術家とも称される風間さんの作るパンは、本当に美味しくて30年近く通い続けるお客さまもいらっしゃるほど。出口もその味に魅せられた一人です。リオレという飾りパンや、小鳥のかわいいパンで飾られた花かごなど、パンという領域を超えたイマジネーションあふれる店内で、お腹も心も満たされる対談となりました。

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- 「人間の知恵と技術がないとパンはおいしくならない(風間)」-

出口(以下、出) : シェカザマは、ライフネット生命のオフィスに一番近いパン屋さんで、社員もよく利用させていただいています。今日のランチも、紅茶とサンドイッチで美味しく頂戴しました(お店には小さな飲食コーナーがあり、出口がよく利用している)。お客さまの集いでもこちらのサンドイッチをお出ししているのですが、お客さまにもとても好評です。

風間(以下、風) : そうですか、ありがとうございます。

出 : パン作りに興味をもたれたのはいつごろからですか?

風 : ここ(シェカザマ)はまだ18年なんですけど、パンそのものに携わって、もう半世紀が過ぎました。小学校2,3年のときの夏休みに、父の友人が人形町の丸十製パンの社長だったんですけどね、そこの工場で生地を練ったパンが膨らむ姿を見て、「不思議だな~」と思いましてね。それがパンとの出会いなんです。もうかれこれ60年になりますね。

出 : それが始まりなんですね。

風 : パンって世界の常食というほどで、数千年の歴史があるでしょう。一番文化的な食べ物ですよ。日本では木村屋さんのあんぱんが一番古くて120年の歴史がありますけど、イーストが60年くらい前まで日本には無かったですからね。山梨県の田辺源平という人がアメリカに行ったときに体を壊して入院をしまして、そのときに食パンが出たんです。大正時代ですよ、日本に食パンがない時代。日本人は体力がないが外国人はまず体がでかい、と。それはパンを食べているからじゃないかということでね、学校給食でもね、体力をつけなければいけない、食を変えなければいけないということで、彼が、イースト菌を日本に紹介したんですよ。その人が僕のおじさんにあたる人なんですけどね。

出 : そういう、ご縁があるんですね。

風 : やっぱりパンっていうのは、おもしろいでしょう。ちゃんと仕込んでも自分の思い通りにいくかどうか・・・そのプロセスが戦いなんですよ。仕込みから焼き上げまで。パンのうまさっていうのは、やはり仕込んで練って焼き上げて、というプロセスで決まると思ってるんですよ。お米はね、炊いたらそのまま食べられるでしょ。小麦はそうはいかない。人間の知恵や技術がないとね。麦は大地で力強く育ちますでしょ、その香りをどう引き出したらいいか。じっくりと寝かせてこんがりと焼く、これが僕のパンのひとつの定義なんです。パンもやればやるほど面白いですよ。永遠の少年のようにパンとずっと向き合ってます。

出 : パンを焼き始めてどれくらいになるんですか?

風 : もう50年を超えましたね。学生時代は夜に学校へ行ったりして勉強しながら焼いていました。

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出 : パンはやはり海外が本場ですが、風間さんも海外で修業されたりしたんでしょうか?

風 : 長期ではないですけどね、10回くらいは海外に勉強に行きました。日本にはじめてフランスパンを紹介した『ドンク』に移って、そこでヨーロッパへ行かせてもらいました。フランス、ドイツ、イタリア、英国、オーストリア・・・。30年くらい前の話ですが、イタリアのパンでパネットーネってありますでしょ、イタリアではよく食べるんですよ、白ワイン飲みながら。それでイタリアから先生を呼んだり、僕らが行ったりして作り方を学んでね。それで機械も買ったりして、全部で5億円くらい使いましたよ、本格的なパネットーネを日本で作るために。ドンクの時代に来日されたエリザベス女王にも僕の焼いたパンを出しました。

出 : ドンクのあと、独立されたんですか?

風 : 麹町のハナコウジに10年いましたから、独立はそのあとです。麹町でパンを焼いてもう28年になります。

- 「パンを焼くという厳しいお仕事の中で、ちょっとした遊び心?(出口)」 -

風 : 文化的な生活をしようと思ったら、キザだけどイタリアへ行ってオペラ見ようと思ってもお金がなきゃできないし、良い本も高いでしょ。それで、世の中に、文化的な高いパンがあってもいいんじゃないかと思って、パン細工を始めたんですよ。ここでは1個200円前後で買えるパンが主流ですけど、パーティー用の「リオレ」などのごちそうパンは、1万円とか3万円。もっと高いものもありますよ。そうした注文がずらーっと並ぶこともあります。他のパン屋では考えられないことでしょうね。

出 : お金をかけて文化的な体験をいろいろなさって、それをパンで表現するということですね。本当に、風間さんのパンは芸術的ですよね。

風 : 人間は自然の中で生かされているわけですよね。自然はやっぱり大切。森に行けば何か学ぶ、っていうドイツの思想ね、ドイツは素晴らしい国だと思いましたよ。われわれが少年のころはね、川へ行ってどじょうを取ったりね。自然と戯れてたでしょ。

出 : 僕もよくやりました。今は、川は危ないと言って親が止めたりしますよね。

風 : 僕の故郷の山梨ではね、蝶々が飛んだり小鳥がさえずったりね、そんな状況を思い出して作ったわけです。これ、かわいいでしょ。作って1年以上ですね、これは(お店に飾ってある飾りパンの花かごを見せてくださる)。

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出 : パンが1年ももつんですか?

風 : 塩を多くして固く焼いてありますからね。もっと長いこと楽しんでくれている人もいます。つい4日前も、25年来の付き合いの方が、でかいのを作ってくれということで注文を受けましてね。皇后さまに差し上げたこともありますよ、紀宮さまは鳥がお好きでしょう。気に入ってくださってね。亡くなられましたけれど、サントリーの会長であった佐治敬三さんからもお礼状をいただいたことがあります。

出 : 素晴らしいですね。こういうものを作ってらっしゃるパン屋さんは他にはないですよね。これはやはりパンを焼くという厳しいお仕事の中で、ちょっとした遊び心というのもあるんでしょうか。

風 : そうですね、だからどうしても作るのが真夜中になっちゃうんですね。誰もいない真夜中にね。一番燃えたのは30年くらい前、小さいものから作っていろいろ試してみたりして。

出 : 「リオレ」というサンドイッチ入りの繰り抜きパンを創られたのもその頃ですか?

風 : きっかけは練り込みパンだったかなぁ、アメリカの農務省の方から、どうしたら日本でもっとアメリカのフルーツを使ってもらえるかということでパンの新作メニューの依頼を受けたんです。じゃあ、パンにフルーツを練りこんでみよう、と。それで練りこんでみたんですよ。ブルーベリーとサワーチェリーと。きれいでしょう。それから、いろいろ工夫をするようになって。

出 : リオレは中をくりぬいてあって、上のふたも全部食べられるんですよね。

風 : 食べられますよ。リオレは、いろいろなキャラクターで注文がありましてね。フランスにもライ麦で作ったシュルプリーズ、びっくりという意味のパンもありますけどね、パーティーで出てるのを見ましてもね、お客さんがあまり食べないんですよ。そういうのを僕は身近で見ていて、これじゃあだめだ、と。フランスでは料理が圧倒的ですよ、やっぱり。パンが負けてしまっている。そこで、料理に負けないようにいろんなキャラクター、魚とかをモチーフにしてリオレを作ったらヒットしたんです。

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中央:魚のデザイン、右:ハート型の「リオレ」。注文に応じていろいろ創ってくださる


出 : 中にはいろんなサンドイッチがはいっているんですよね。

風 : そうです。サンドイッチってお皿に盛っていると乾いちゃうでしょう。リオレのようにパンでふたをしておけば乾かないでしょ。大みそかの紅白歌合戦の差し入れだっていうんで、ギターとかバイオリンのデザインのリオレの注文をたくさん受けましたよ。業界の方々からは本当にたくさん注文をいただいているんで、知らない人はいないんじゃないかなあ。僕のパン作りの定義の1つでね、人がやらなかったことをやろう、とね。人と同じことやってるんじゃ記憶にも残らないでしょ。これなんてほら、パンだなんてわからないでしょ?(写真を見せながら)

出 : こんなリオレを貰ったら、喜びはひとしおですよね、オリジナルのもので1個しかないんですから。ライフネット生命も他の生保がやらないことをやる会社なんです。

-「まだ若いでしょ? 夢を追い続けてますよ(風間)」-

出 : 風間さんは、失礼ですが、おいくつになられるんですか?

風 : もう古希。まだ若いでしょ? 夢を追い続けてますよ。

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出 : どのくらい働いてらっしゃるんですか?

風 : 1日、10何時間は働いてます。

出 : 1日10時間以上ですか!お元気ですね。

風 : 田舎の同級生はみんな年金暮らしでね、歳とっちゃってますよ。おかげさまでね、僕が健康でいられるのは親に感謝しないといけないですけどね。

出 : 1日にそれだけ働いていらっしゃってお休みは取られているんですか?

風 : 日曜日も注文を受けますしね、この3月は忙しくて1日しか休んでないですよ。まあ日曜日は仕上げだけですけどね。

出 : ものすごいハードワークですね。やはり働き続けることが健康の秘訣なんでしょうね。ライフネット生命も、定年が無い会社です。働きたければいつまでも。それが、風間さんが体現されているように、充実した人生と健康をまっとうする最善の方法だと思っていますので。

風 : パン屋はハードワークですよ、本当に。ものすごくエネルギーを使っているんです。

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出 : エネルギーといえば、私は、朝はだいたいパンを食べているんですが、風間さんは朝昼晩パンですか。

風 : 1日のうち2食はパンですね。子どもたちも家で夜にスープに野菜にパンとかね。僕は、夜は外食してるんです。イタリアンとか和食とか。この間もお客さんがね、あなたはパンを食べてるから元気なのねって。

出 : パンが健康の秘訣でもあるんですね。僕は61歳ですけどまだまだがんばらないといけませんね。

風 : いやあー、まだまだ!僕が独立してお店を出したのは53歳のとき。9000万円借金してね。普通そんなこと53歳でできますか?5年間で借金は返しちゃいましたよ。銀行がビックリしてた。ITかなんかの仕事やってるんじゃないですかってね。パン屋だよって言ったら、びっくりしてた。

-「パンもね、やっぱり心づくり(風間)」-

出 : パンを作る上で一番気にかけておられることはなんですか。

風 : やっぱり精神状態というか、まず、体調をベストにもってきて健康でイライラしないで、自分のハートをパンに打ち込むために心づくりをするっていうことですよね。小手先じゃない。パンもね、やっぱり心づくり。母親がね、わが子に愛情を注ぐように心をこめないと、パンもおいしく焼けないんですよ。

出 : ライフネット生命も、本当に気持ちを込めて作った保険会社ですから、同じですね。心を込めないと、お客さまに伝わらないですし。

風 : だからね、ただパンをこねてつくるんじゃなくて、心をこめてこういうメッセージを入れてパンをつくったりね。楽しさが必要でしょ。僕は「幸せはパンのある食卓から」と言ってるの。

出 : 「幸せはパンのある食卓から」。風間さんらしいメッセージですね。

風 : 良いメッセージでしょ。そしてね、野の花などを飾ってね、バラとかじゃないですよ、野の花だから良い。優雅にバロック音楽なんか聞いて食事したら最高じゃないですか。僕のささやかな夢なんですけどね。人間ね、知的な動物ですよ、ただ食べるんじゃなくて、楽しさと一緒に食べる、というね。

出 : こんなにおいしくて文化の香りのするパン屋さんが会社の近くにあるなんて、本当にラッキーです。これからもお元気でおいしいパンを焼き続けてください。

風 : 下の子が大学に行くまでまだ10年ありますしね!がんばりますよ。

出 : 10年といわず、20年、それ以上お願いします。今日は、お仕事中どうもありがとうございました。

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著名人より依頼をうけて創ったリオレや、パン細工、そしてご家族の写真などを見せてくださる風間さん




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風間豊次(かざまとよつぐ)さん プロフィール

シェカザマ(Chez Kazama)代表取締役

1955年、丸十クック製パン入社。68年に青山ドンクに入社し、78年に退職してその後は麹町の「ハナコウジ」の店長を務める。92年に独立して、シェカザマ(Chez Kazama)をオープン。約30年に渡り、日本菓子専門学校特別講師も務めた。パンの芸術家とも称される。

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つどいの時に出して頂いたパンにはこういうストーリーがあったのですね。本当においしくて・・おどろきました。昨今は、ファーストフード的に食べられる事が多いパンも、本質を究めれば違います。
やはり、運が強いのですね。会社の場所自体、社長が書かれていたように縁が強いので、色んなエネルギーを持たれている方に出会える、しばらしい循環ですね。
今度、麹町を訪れる時はパン屋さんに寄らせて頂きます。

投稿者:
カワタ
投稿日時:
2009年06月01日 10:36
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