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デグチがWatch 生命保険業界のオピニオンリーダー・出口治明が、生保について鋭くやさしく語ります!

出口の真っ正直インタビュー 中島 厚志 編

投稿者:
出口治明

真っ正直インタビューの第5回目は、テレビ東京系「ワールド・ビジネス・サテライト」のコメンテーターでもお馴染みの、著名なエコノミスト、みずほ総合研究所 専務執行役員の中島厚志さんとサブプライムの話題を通して、世界の金融情勢や保険について対談を行いました。

出口(以下、出):中島さん、サブプライムに端を発した世界の金融危機。これからどうなるのでしょうか?

-サブプライム問題について-

中島(以下、中):サブプライムの問題は現在進行中なのですが、それこそデリバティブの発明から30年間近く、1980年代のはじめから、いわゆる実需を伴わない金融取引だけで収益を上げるビジネスが増えているわけです。デリバティブや証券化等の金融技術革新は、ある意味では、実際の経済や金融機関が引き受けられるリスク量以上に信用を膨らませ、それを世界中にばらまいた、とも言えるわけです。

出 : それは、ロイズが破綻した90年代初頭の状況と似ていますね。再保険スパイラルによって、引受のキャパシティを大きく超えてしまい、再建を余儀なくされたロイズの状況と。

中 : 似ているかもしれませんね。今のところは注意深く様子を見守る、という以外にはないのですが、ただ、泥沼になることだけは避けなければなりません。30年前はゼロだったデリバティブなどの信用取引の規模は、いま世界のGDPの10倍以上あるのです。したがって、この10倍のうち、仮に1割が毀損したら、世界のGDPがいま50兆ドルですから、それに匹敵する5000兆円の損が世界の金融機関や投資家に降りかかってくるわけで、そうなると政府や政府系ファンドで資本を埋めても到底追いつかなくなります。

金融危機からの脱出には、市場機能の回復が大きな役割を果たします。というのは、普通であれば、需要と供給があって、証券化商品のリスクが高まったとしても、それが十分安値で売られれば、買う投資家が出てくるわけです。ところが、足もと起きていることは、みんなが慌てて売ろうと思ったら、買い手がいないということで、値段がつかない異常事態になってしまっているのです。マーケットのメカニズムが効かないのです。

出 : イス取りゲームがあるじゃないですか。イス取りゲームでイスを一つずつ減らしていくと、周っている間はいいのですが、止まった瞬間に1人ずつ落ちていくわけですよね。たまたま在庫をたくさん抱えていて、なお且つ、キャッシュフローが潤沢でない人から落ちていったわけですよね。ただ、イス取りゲームと違うのは、その人が倒れたら、その人のリスクを持っている横とか前の人が倒れると。

中 : そうですよ。普通の状況ならば、問題がある債権を安値で売って損がでると、体力のない金融機関から整理されていく。しかし、足もと起きていることは、イスを一つずつ引くということではないのです。一つのイスがきっかけで下手するとバタバタとイスが全部倒れていく。それは、サブプライム関連やデリバティブ関連の取引が複雑に絡み合っているので、ひとつの金融機関が倒れると、連鎖的に他の金融機関まで倒れてしまう可能性があるからです。また、行き詰る金融機関がどこで打ち止めになるのか不透明だという不安が市場に広がっており、そのことが必要以上に市場でのマネーのやり取りの萎縮に結びついて、本来行き詰るはずのない金融機関まで資金繰りが苦しくなって、危うくなりかねない状況ということもあります。

ですから、大事なことは、世の中やマーケットに安心感が広がってきて、市場の機能が回復することです。それは、市場で普通に売り買いが成り立つ、そして異常ではない水準に信用リスク関連の商品や証券化商品の価格が決まりだすといったことが必要だということです。たとえば、四半期ごとにアメリカの金融機関は決算をしますから、その決算で赤字が底入れするのが確認されるといったことが起きれば、市場に安心感が戻ってくるでしょう。そうなれば、倒れるはずのない金融機関まで行き詰ることはなくなります。

出 : 僕は、中央銀行はここ10年すでに一つになっていると思っているんですよ。要するにバーゼルで、日銀とFRSと欧州中銀、それぞれがよく相談して、ともかくキャッシュだけは潤沢に供給するという、大きい路線に乗っているので、基本的に中央銀行は一つだと思っています。極論ですが。そうすると、お金はそれなりに回ると。そうであればマーケットの信頼を得るためには、問題が始まったのはサブプライムですから、アメリカの住宅市場がどこで下げ止まるかがものすごく大きいという気がしています。

中 : おっしゃる通りです。

出 : 日本の不動産みたいに10分の1になるのか、3分の1になるのか…。

中 : それで言うと、来年の初めごろには、サブプライムローンの延滞については、大底が見えてくると思います。理由は簡単です。それはサブプライムローンの特徴と関係しています。というのは、サブプライムローンの、一番普通に出ている商品が、最初2年間は低利固定なのです。そして、3年目からたいへん高利な変動金利になり、このタイミングで、多くの人が払えなくなって行き詰っていきます。ですから、最初の2年間はいいのです。そして、このような形のサブプライムローンが急増したのが、2004年からです。2004年っていうのは、アメリカの金利が上がり始めた年なのです。 実は、サブプライムローンが増えているときに借り手が思った想定は、金利が変動金利になって上がる時には、住宅価格も上がっていて、また低利での新しいサブプライムローンに借り換えが容易にできるから構わないというものでした。今から考えるとまぁ、無理だと思う話なのですが。ところが、サブプライムローンが急増した2年後に当たる2006年になると、住宅価格は上がらなくなって、下がり始めたのです。これで、借り換えようと思っていた人々の目算が狂って、一気にサブプライムローンの延滞なり、行き詰まりが激増するのです。

それで、ここからがサブプライムローンの延滞は来年初めに大底が見えてくるのではないかという理由になるのですが、実はサブプライローン自体はいつまで大量に貸し出されていたかというと、昨年の初めまでなのです。ですから、一番問題の多い、2年低利で3年目から高利というサブプライムローンの形からいうと、来年の初めまでは、たいへん高水準の行き詰まりが続くということになります。確かにいま、金利は下がっていますが、一方で住宅価格の下落も続いていますし、サブプライムローンの延滞率も高くなっていますから、金融機関も容易には借り換えに応じません。しかし、逆に言えば、来年の始めぐらいまでがサブプライムローンの延滞のピークで、そこからは収まっていくと見られるということにもなります。

もっとも、アメリカの金融機関の赤字の増加がそこで止まるかどうかは不透明です。この4-6月期決算ぐらいから、いわゆる景気悪化に伴う、貸し倒れが増えているからです。景気はまだ悪化するという感じなので、金融機関全体の赤字は、サブプライム問題等による赤字はピークアウトしても、不景気による貸倒れは増えるという状況が来年中ぐらいは続くと思います。ですから、来年になれば、サブプライム問題に端を発した損失拡大と金融機関の行き詰まりは峠を越す一方、損失の中心は不景気による不良債権の増加になるようにも思われます。

出 : なるほど。そういう風に見ると、世界経済のセンチメント(注:市場全体の心理状況)は、来年問題の根源となったサブプライムが、明らかに峠を越したというシグナルが出てくれば、やや持ち直すかもしれない。でもいまおっしゃった不景気に伴う問題がありますから、それがさらに半年続いたとしても、再来年ぐらいには、俗にいわれたサブプライム問題というのも、うまくいけば一応、エンドを迎えるという風に理解していいのでしょうか。

中 : はい、大枠としてはそういう感じだと思います。例えば、アメリカの場合、住宅市場は新築住宅の着工が急減しているのですが、そうはいっても、住宅購入者も買う気がなくなっているので、販売も急減している。だから、住宅の在庫自体は高い状態が続いています。過去の10年ぐらいの平均の在庫率が4ヶ月ぐらいだったのですが、これが10ヶ月になっているのです。しかし、さすがに住宅着工が急減しているので、この在庫率が少しずつ下がり始めていて、これを延長していくと、来年の終わりぐらいになると、過去10年でみた適正在庫に近づいてくるのです。過去の平均的な水準に戻らないと住宅市場が底入れしないとは言えず、ある程度そこに近づけば底入れするかもしれないと考えると、来年の後半か終わりぐらいには、アメリカの住宅市場も底入れするとも考えられます。私は、景気についてもそれにそった見方をしていまして、時期的に来年の終わりぐらいから、よくなっていくだろうと見ています。まぁ、原油価格が下がりだしているのもプラスです。

そういう風に考えると、最大1年弱というのは、マーケットでのサブプライム関連、あるいはそこから派生して金融機関の損というのは厳しいかもしれないけれど、少なくともマーケット自体の底入れも来年の後半ぐらいには、あるのではないかな、と思いますね。

-日本の景気回復について-

出 : そういう前提で考えますと、日本経済はどういう風になるのでしょうか?

中 : 足もとの日本経済は、アメリカないし一部のヨーロッパの国で生じたような、住宅バブルは起きていません。それから、サブプライム問題や信用リスクの痛手も、欧米の金融機関に比べればはるかに少ない。例えば日本の金融機関は、損をサブプライム関連で出していても、自分たちの収益全体がマイナスになるという状況にはなっていない。依然として収益はプラスです。ここが欧米の大手金融機関と決定的に違うところで、痛手はあまりないです。

ただ、日本経済の問題は、日本経済全体を見渡してみても、勢いがないということです。住宅バブルはなくとも、いま首都圏マンション価格の所得、年収に対する倍率は、実は、かつての90年初めにかけての不動産バブルのピークに近い高水準の年収倍率と同じ程度になってしまっています。これは、賃金が上がらず、所得が伸びていないからです。ということは、所得がなかなか上がらない中でマンション価格の年収倍率を落とそうとすれば、それは地価が下がり、資材費が下がり、ということが累積するしかない。この意味では、欧米ほどではないにしても、住宅市場は結構厳しい状況にあるということになります。住宅市場ひとつ採っても、本当に勢いがない。

所得が上がらないので、消費の勢いもありません。だから、経済にも回復力がない。それでは、どうしたら日本の景気は回復するかというと、今まで日本の経済は主として輸出で成長してきましたから、海外経済が回復をするとそれに伴って日本経済も回復する、ということになる。だから、日本経済はあまり痛んでいないので、マイナス成長にどんどん落ちていくこととはなりませんが、日本の景気がいつ回復するのかというと、欧米の経済が回復した後で回復する、ということにしかならないように思われます。

出 : そういう状況の中で格差社会という事が言われています。この先、グローバル経済の中では、格差は大きくなる方向に動くのか、そうではないのか、これはどういう風に見ればいいでしょう?

中 : 格差が一方的に大きくなるとは思いません。ただ、縮小するのは構造的に難しいかなと思っています。というのは、所得格差が拡大している大きな要因のひとつに、人口構成の変化があります。高齢化が進み、年金受給世代の方々が増えていて、そういう方々は単身で暮らしている方も増えています。年金受給世帯になると、大きく所得が上がるということは難しく、現役の世代と比較すると構造的に所得が増えにくいということがあります。

もう一つには、現役世代の中でも、企業がコストを削減するという中で、やむをえなかった面もあるのですが、日本人の働き方、働くことに対する意欲が多様化して、非正規の雇用の方が大きく増えているということがあります。例えば、非正規雇用の雇用者全体に占める割合は3割弱あるのですが、労働時間を短縮したパートで働きたいとなった途端に正規雇用にならなくなる制度上の仕組みになっており、非正規では企業年金にも自動的には加入できなくなる人々も多く、所得格差の一因となっています。今後さらに働き方の多様化が進むでしょうし、高齢化も進んで、現実的には格差はなかなか縮小しないと思います。

出 : そうすると格差は、単純に広がるというより、むしろ縮小は難しいと考えるのが妥当なのでしょうか。

中 :  ええ。さすがに、非正規雇用の割合も主要先進国の中で一番高くなっていますから、ここからさらに非正規雇用者の割合が増え続け、所得格差が大きく広がるということはないと思います。ただ、高齢化、働き方の多様化が進んでいることに、もう1点付け加えると、企業規模による労働分配率の問題があります。基本的には大企業で下がっていて、中小企業の場合では、逆にあまり下がっていない。過去6年ぐらいの景気回復期においても、中小企業はそんなに大きく業況が回復していない、しかも人件費は増えていたという面があって、労働分配率はあまり下がっていないのです。このことは、中小企業で働く人の賃金上昇余地が大企業ほどにはないことを意味しており、企業規模での所得格差縮小が難しいということにもなります。

一方、ちょっと所得格差の議論そのものではないのですが、労働分配率が下がっている大企業でもなかなか所得が上がる環境にはないのです。そもそも、なぜ労働分配率が下がったかというと、一つの大きな要因は国際化です。国際化することによって、世界的に見て同じような仕事をしている人には同じような賃金が適用されていくという考え方があります。また、海外のマーケットの方が、どんどんビジネスが広がって、収益が上がっているのです。そうした海外の収益を、収益が伸び悩む国内で働く人に、所得として、賃金として分配されるかは難しい問題です。すなわち、ボーナスなどは業績がよければ上がるということになりますが、成熟した日本市場で働いている限りは業績が上がりにくく、給与が上がりにくいと考えることもできます。そうすると、企業全体としては収益を上げていても、なかなか国内で働いている人に賃金として全てを還元するのは難しいということになります。

出 : 今のグローバリゼーションの流れから言えば、利益の出せないところは給与も上がらないということですね。

中 : 世界市場の伸びの方が、人口自体もはや増えない、むしろこれから減り始める日本に比べれば、明らかに成長力はあると見えますからね。

出 : グローバリゼーションの中で日本の未来をバラ色に見るのも、暗くみるのも、僕は間違っていると思っていて、客観的に冷静にロジックを組んで考えてみて、2年先、3年先にそういう道筋になるのではないかと考えた時に、人間社会はすべて助け合いだと思いますが、公助、共助、自助の3つがあって、公助は財政上難しい。自助は、所得格差がこれだけ広がっていく中では、全ての人に要求するのは非常に難しくなってくると。そうすると、共助の仕組みである生命保険がもう一度大事になるのではないかと思っているんですね。
ただ、世界の流れとして、もう一つは少し視点が違うのですが、高齢化社会になっていけば、社会でも企業でも、人間の作ったものには全て寿命があると思いますが、そうすると中高年社会の強みは資産の運用であり、蓄積だと。そこはどのように考えたらよいでしょうか。

中 : 確かに、日本経済の成長力が乏しい中で、財政の制約もありますから、どのように不安のない生活を実現できるかは難しい問題です。定年を迎えた人々にとっては、なおさら切実な問題で、それはおっしゃるように、どのように自分の資産を運用し、蓄積して安心を確保するかということにもつながります。
財政の制約があるのは他の主要国でも同じで、今の世界的な傾向でいうと、例えば英国では私的な年金を充実させようという方向に動いているし、他の主要ヨーロッパ諸国も、証券税制での減税措置を含め、貯蓄性の高い年金保険などを充実させようといったことをやっているわけですね。やはり、その方向でいうと、日本でも、預貯金あるいは債券といった金利を得られる商品はあるのですが、それに加えて内外の成長市場にもっと投資をし、家計の金融資産から得られる所得をもっと増やさなければならないという議論が当然ありまして、最近の個人の金融資産で見ても、利回りの高い外貨建ての資産が増えているということがあります。
もう一つの方向は、株式投資の割合を増やしていくことです。なかなか日本の株価が上がらないという環境になったりして、長期で見ないといけないのですが、基本的には企業の成長力の方が、日本経済の成長力を反映した金利より大きいですから、長い目で見れば、株価の上昇割合のほうが金利の利回りより大きいということが言えます。ですから、リスクを取りすぎずに株式市場にいかに投資をしていくのかというのは、これからの大きな課題です。

出 : 僕自身も一般論ですが、社会が中高年以上になったら、若い人に投資をする、次のチャンピオンに投資するのが鉄則なので、本当を言えば、日本は次の成長国に投資をして、その成長力を分けてもらうというのが本筋であり、あるいは企業は、世界中を回っているので元気な企業に投資をするというのが、一番の鉄則だと思うのですが。

中 : おっしゃる通りですね。どうやってこれから日本が生きて行くか、という話です。今までは輸出立国でやってきた。 ただ、国内に投資したい活力ある分野がだんだん無くなってきたとすると、国内にあるお金で海外に投資をして、海外の活力を収益として取り込むことがますます必要になっていきます。まさに、企業活動であれば海外へ直接投資をして、その利益を日本に持ってくる、あるいは証券投資であれば、海外の活力を配当なり、利回りの形で持ってくることが必要というのは、日本全体としても、個人の資産形成でも同じだと思います。

出 : 同じですよね。ただその時に、生命保険会社が提供する商品というのが、やはり年金とかであれば、日本のお客さまの常として、元本保証を期待されるわけですよね。今お話された元気のいい若者とか、元気のいい若者の間を巡っているような企業の株というのは、元本保証の世界とは違うところがあって、そこのところがまだ解けない課題です。

中 : 確かにそこは悩ましいところですね。いずれにしろ、金融商品自体がもっている性格から言って、国の成長力に期待するのであれば国債ですし、あるいは個別の企業の成長力に期待するのであれば株式、ということになり、外国に期待するのであれば外債、外貨建ての証券になります。特に老後の資金のベースになる年金であれば、元本リスクが気になるのは当然なので、それであればある程度安心できる資産に、ある程度長めに投資をするという形の中で、元本割れリスクを小さくしていくという方向が必要になるということです。

出 : ある意味では、個人の金融資産というのは時間を味方につけなければ絶対勝てないので、そういう風に考えれば、20代、30代の若い頃から強制貯蓄的なやり方で、長い時間を忘れたつもりで貯蓄すること、というのが考えられるということですね。

中 : そうですね、そう言えると思います。

出 : もう一つは、金融ビジネスに占めるインターネットの役割はどうなっていくと思いますか?

中 : これは、もっと大きくなっていくと思います。金融取引に共通する前提は、より多くの情報をより瞬時に得られることが大事ということです。もちろん、情報が多すぎて、その中で必要な情報を取捨選択できなければ意味がないのですが、必要な情報をいかに早く得ることができるかというのがポイントになるわけです。そういう意味でいうと、グローバル化の中で外貨建ての金融商品への投資が増えているというのも、地球の裏側でなかなか今まではリアルタイムで届かなかった金融に絡む情報が、瞬時に得られるようになったということが、大変大きなプラス要因になっているということを見逃すわけにはいきません。この状況は今後ともさらに加速すると思いますから、全体で見れば、インターネットを通じた、多様な金融取引が今後とも増えていくと思います。

出 : 今のお話ですと、グローバルなクロスボーダーな取引も増えるということでしょうか。例えば、銀行法とか、保険業法の担い手別、業態別に規制していて、しかも日本という国の法律です。将来の銀行とか保険会社の規制というのは、どういう風になっていくのでしょうか。これからの規制の在り方というのはどうなっていくのでしょうか?

中 : ここは難しいところです。確かに、国ごとの規制はあり、それぞれ根底にある考え方や規制が出来てきた経緯とかも違いますから、将来にわたっても完全にグローバルに同一ということにはならないと思います。ただ、お金はもうインターネットを通じて自由に動き回る時代になっていますから、基本はなるべく共通化をする。その中で、世界の金融市場が全世界的に同じ方向に動きすぎて、大きなリスクが発生するということを避けるような形で、個別の国の規制があるという方向も考えられます。すなわち、国際的に共通的な枠組みの中で、それぞれ個別の国の位置づけがある、ということになっていく可能性もあると思います。

出 : わが国の縦割りの担い手別の法体系を、例えばまず市場法という整理して、横割りの英国の金融サービスのような体系に変えてしまうという形にすれば、世界的な規則のコラボレーションというか、共通化が非常にしやすくなるような気がしますし、変な古い法律がなくなれば、そこだけを目指して裁定取引をねらうお金が殺到することもなくなって、世界の金融市場が安定化するような気持ちがしています。ただ、反面、これはあまりいい比喩ではないのですが、大きなタライに水を入れて、頭の上に持ち上げたとき、ちょっと動けば水がこぼれますよね。ところが、細かい間仕切りがあると、こぼれにくくなりますよね。各国ごとにいろいろな、たとえ理不尽であっても様々な規制が文化的、歴史的、社会的な中であることが、お金の暴走のようなものを防ぐことになるような効果があるのかなと思ったり、でも、金融はものすごく合理的でグローバルなものなので、そういう考え方は古いのかな、と思ったりもしますね。

中 : いやぁ、古いということはないと思うのですが、ただおっしゃったように、マネーに色がないということもありますし、人及びマネーの移動を自由化させようというのが昨今の大きな動きでもあります。ですから、全体で見ればそこに国際的な共通基盤となるような枠組みがあって、それに基づいて動いていくということに、世の中はおのずと動いていくということになると思います。

出 : すごくよくわかりました。本日はお話を聞かせていただいて、本当にありがとうございました。


中島 厚志 プロフィール
東京大学法学部卒業、日本興業銀行入行、パリ興銀社長などを経て、みずほ総合研究所株式会社専務執行役員チーフエコノミスト。
主な著書に「日本経済のリスクシナリオ」(日本経済新聞社)、「中国『人民元』の挑戦」(東洋経済新報社)。





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