ライフネット生命保険
デグチがWatch 生命保険業界のオピニオンリーダー・出口治明が、生保について鋭くやさしく語ります!

出口の真っ正直インタビュー 小飼 弾 編

投稿者:
出口治明

真っ正直インタビューの第2回目は、プログラマー、アルファブロガーであり、ギークの象徴でもある小飼弾氏に、保険ギーク?の出口が小飼氏のご自宅を訪問して対談に挑んだ。(取材日:2008/6/3)

出口(以下、出) : お久しぶりです。今日はたいへんお忙しいところお時間をいただきありがとうございます。
小飼(以下、小) : まずは開業おめでとうございます。(ライフネット生命のウェブサイトのフラッシュを見ながら)もう音出なくなったのですよね・・・おや?(笑)
出 : いや、もうすぐなくします(苦笑)。
小:いやいや、気持ちはわかる…、でもやっぱり使いやすさですからね、ウェブは(と、まずは、先制パンチ)。
小飼弾氏と出口

- ネット×生保はブレイクするのか? -

出 : ちょうど、ウェブの話が出てきましたので、webの技術動向やユーザーの認識という観点からみて、ネットと生保の親和性等についてはどう思われますか?

小 : 僕は金融商品というのは、アイデンティフィケーションの問題もあるのですが、根本的には一番相性がいいのはネットだと思います。実際、ネットバンキングが使えるようになってから、ほとんど僕もネットでやってますね。

出 : 金融商品の中でも、株とか銀行はネットでよく利用するのですごく便利だけど、生保はそんなにしょっちゅう買わないので、そんなにメリットがないと言われるのですが、その辺はどう思われますか?

小 : いや、十分安ければいけるのではないですか。ネットであれば、ネット銀行との提携とかもあるじゃないですか。日本の場合、アメリカのグラス・スティーガル法でしたっけ、銀行と証券を分けよというルールをそのまま日本でも受け継いでしまって、最近では投資信託も売れるようになりましたが、それでも海外のリテールバンクに比べると、しょぼいですよね。香港のHSBCなんて、不動産まで買えますからね。

出 : アメリカも同じように、技術の進歩が行政の制度も変えていくような気がしますね。

小 : 本当に昔の銀行振込みとかを見ると、アホというか、間抜けというか、むかつきますよね。3万円送金するのに、なんであんなに手数料をとられるのと、誰もが思っていたことだと思います。また、最近だと、なりすまし問題というのがつきまとうので、ネットバンキングも明らかに後退してますよね。昔は、何千万円の取引も平気でできたのですが、今はシーリングがかけられちゃいましたね。カードもそうですしね。一度困ったことがあって、家電量販店である商品を買ったのですが、現金であれば値引くというので、ATMに行ったら、あれ?引き出し上限金額?下ろせない?!あの時は青くなりましたね。結局、差額はクレジットカードで決済ということで、その場を収めたのですが。実はここ2、3年というのは、金融サービスがすごく不便になったと感じますね。

出 : そうですね。なりすまし問題は、我々もすごく慎重になっています。保険というのはモラルリスクがあるので、成りすまし問題に対応する為に、本人確認はネット完結ではなく、郵便で運転免許証などを送ってもらおうと、そこの点はお客さまに非常に不便をおかけするのですが・・・。

小 : ただ、郵便は郵便で、なりすましは出来てしまいますよね。これは、我々ネット技術者の怠慢でもあるのですよ。有効で、誰もがこれでいけるという形で納得できて、且つ十分低コストな本人確認手段を用意してこなかったという意味では。

出 : 大学の医学部の先生に聞いたのですが、コストの点を除けば、採血を簡単に瞬時で分析することは出来るそうです。ネット上で、本人確認も採血や指紋認証という方法で、瞬時に出来てしまいます。そういう面では、インターネットの技術の進化により、無限の可能性があるような気がしています。

小 : 認証技術のデファクトスタンダードを取れば、そこは宝の山ですから。本当の宝の山ですから。逆にそのこともあって、その次の認証手段に踏み出せないんですね。生体認証というのは、本人にも偽造できない。それはデカイのですが、確立されたメソッドがないんですよ。私は指紋でいいと思うのですが、日本で指紋を出すというのは犯罪者がとられるものだという意識があって、随分遅れちゃいましたよね。で、しかも、指紋じゃウケをねらえないということで、静脈認証というのも出ましたけど、これも2つのフォーマット出ちゃいましたよね。生体認証ともなるとやはりコストもかかるので、アイデアまではベンチャーの規模でもできるのですが、設備投資となるとなかなか簡単ではないですよね。少なくとも、複数並列しても、JISなり、ISOなりをとって進めないと。アメリカはそういうところが進んでいて、例えば暗号技術にしても、国が規格をコンペして決めてくれるんですね。あれは、すごくうらやましいです。

- 小飼弾が考える理想の保険とは -

小飼 弾氏
出 : なるほど。では、私たちのサイトについては、どのように思われましたでしょうか?

小 : 単に(ネットだから)安くなるだけでなく、上手に使えばサービスレベルも向上するはずですよね。例えば生命保険の会社だったら、リアルタイムで、今年は何人加入して、何人亡くなりました、現在のソルベンシーマージンはこれだけありますっていうのを出せないですか?ネットでは。紙の時代では絶対無理ですよね。

出 : はい、いわれたように、私たちは毎月決算を最低限やろうと決めていますが、ネットの利便性を生かして、安くするだけでなく、サービスの向上を実践していきたいですね。 我々の保険料は最低水準ですが、お客さまの電話を受けるコンタクトセンタ―は、生命保険会社の中ではどこよりも遅い時間まで開いています。
※平日9時~22時。土曜9時~18時。

小 : 生保の一番特殊なところは、加入者がサービスのライフサイクルを見とれないということだと思います。普通の製品であれば、買って、使って、寿命がつきて廃棄してと、かなり寿命が長い製品でも体験できますよね。ところが、生保の場合は、例えば私が死んでから、私の家族が生命保険金を受け取っているところを、私自身は確認できないですよね・・・。

出 : それは、保険商品の持っている特別な構造というか、宿命みたいなところがありますね。

小 : だから、死ぬ時に何がおこるか、というのを一まとめにして扱うサービスっていうのは、今後すごい需要があると思うんです。今はそれを信託銀行が頑張っているけど、200万円ぐらいかかるので、金融の運用でやるには、5000万円位資産がないと無理じゃないですか。その5分の1ぐらいで回るようなサービスがあれば、大ブレークするんです。これは僕の持論なんですが、値段が十分の一になれば、顧客は百倍になると思うんですね。

出 : なるほど100倍ですか。工夫を凝らし、安くて質のいいサービスにチャレンジしていきたいと考えています。

小 : あと最近、生命保険にこういう需要があるのかもと思っているのですが、ベーシックインカムという考え方がありますよね。要は誰でも年金、誰でも補助金をもらえるようなものがベーシックインカムなんですが、更にそれを進めて、ベーシックキャピタルというものも考えられるわけですね。
ただ、ベーシックキャピタルというのは、説明を読んで「凄すぎる」と思ったんですよ。どういうことかというと、例えば、生まれた時に、一定額の財産が付与されて、生きている間にどうやって使ってもいいが、死ぬ時に所定の利子をつけて、国に返さないといけない。凄いな・・と。これをどうしたらいいかと考えた時に、これは保険と組みあわせれば、うまくいくんじゃないかと。

出 : そうですね。お金を残す、あるいは相続するということはどういうことか、という根源的な問いも必要だと思うんです。生まれてくる子供は親を選べない。国でなくてもいいんですが、ある社会が、全ての子供にベーシックキャピタルをドネートする。そうすると、親の所得に関係なく少なくとも教育を受けることができる、その後は本人の努力とか、がんばりとか運次第。
でも、そういう中で、たまたまある資産を残せる人が、自分が死ぬ時に、自分の資産をどうやって返すのか、血を分けた子供に少しぐらい返すのもいいが、本当はその社会によって育てられたのであれば、それがまた次の世代の社会の子供全体に回っていくような仕組みが必要かもしれないですね。

小 : 僕は相続税100%論者なんですよ・・・

出 : 僕も個人的には「悔いなし、遺産なし」という言葉が一番好きなんで…(笑)自分で稼いだ分で、使いきれない分は社会に返したい。でも、単に税金になってしまうのではなく、僕なら選択したいと。仮に500万残れば、500万は社会に返すけれど、これは親のいない子供だけに使って欲しいとか。そういう1人ひとりの意志が税金の使途に反映されてもよいのではと思います。

- お金は貯めることより使うことが難しい -

小 : 保険というのはすごい発明だと思います。生保というのは死後に対する想像力がないと、絶対に存在し得ない商品じゃないですか。日本人がどれだけ自分の将来や、死後のことをキチンと考えているかということで賞賛ものだとも思います。だからこそ、あまりお金を無駄にしてもらいたくない。だからもっと、クリエイティブな使い方が生命保険にあってもいいと思うんです。

出 : お金を有効に使うことは金利だけではなく、質も大切で、いわばお金のクオリティーがすごく大事だと思います。

小 : つくづく思うのですが、お金は使うのが難しいなと思います。稼ぐのがこれほど楽になった時代はないと思います。はっきり言います。人よりも少し大きく目を開いて、人よりちょっと賢く働けば、お金はすぐたまるけれど、これを有効に使うのは難しい。

例えば、このマンションも、お金を有効活用しているのかといわれると、半分はバカじゃないのかと。損はしないかもしれないけれども、ただその一方で、今日みたいな形(取材)で有効活用されているので(損ではないのかも)。でも大事なのは、お金を遊ばせない。遊ぶべきは、人であり、お金や資産には徹底的に仕事をしてもらう、という気持ちなんでしょうね。

出 : それは全く同感ですね。そういう面でも私たちの会社は、人間が十分に遊ぶために、人間らしい生活をおくるために、お金については良く考えて、徹底的に有効活用してもらうためのお手伝いをしたい、という気持ちをずっと持ち続けていきたいと思います。

- 生命保険って斜陽産業なの? -

小飼弾氏と出口_2

小 : ところで、出口さん、そもそも、生命保険って斜陽産業ではないのですか?

出 : おもしろいのですが、世界的にみたら生命保険はものすごい成長産業なんですよ。これにはいくつか理由があって、一つには、高齢化で世界的に年金の需要が増えているんですね。もう一つはBRICsに代表されているように、中産階級が世界的に台頭していることが一番大きいと思います。
例えば20年前、極論すれば、中国には生命保険はなかったんですよ。生命保険というのは、衣食住の次にくるものじゃないですか。だからある程度経済が発展しないと需要が生じない。しかし、かつての途上国がかなり豊かになってきて、億単位、10億単位で中産階級が増えています。このため、世界の保険会社はここ10年ぐらい毎年2桁の成長をしています。でも、日本は不幸なことに人口がこれから、減っていきますね。

小 : はい、人口減少はすでに始まってますね。

出 : 高齢化に伴って、年金商品がもっと生まれるはずなのですが、長期の金融商品は、複利でまわしていくことが必要なわけで、現在の低金利では有利な長期金融商品は、ノーベル賞学者でも作りようがありません(笑)。この結果として、日本の生命保険は年々マイナス成長している。じゃ、なんで、僕らがそういうところに出て行くかといえば、確かにマイナス成長ではあるのですが、まず、マーケットのサイズが非常に大きいからです。

- 生命保険業界の市場規模は45兆円!! -

出口
小 : 出口さんの著書(「生命保険入門」)で伺ったのですが、年間のフローが45兆円だと。ストックでなく、フローが45兆円というのはびっくりしました。

出 : そうなんです。フローが大きいが故に、外国の生命保険会社はマイナス成長であっても、どんどん参入してくるのですね。成長率だけではなく、マーケットの大きさが、チャレンジしようと思った一つの理由です。

小 : マーケットシェア1%でも、4500億円ってすごいですね。なんだか、スティーブ・ジョブス(Apple CEO)がiPhoneを出した時に言ってたことを思い出します。1位でなくてもいいんだ、1%獲れればいいんだと。携帯は1%とっても、10億個売れていて、1%でも1千万個だぞと。

出 : 我々は、マーケットが大きいから起業しただけではありません。保険の本質をただしたかった。人間にとって一番大事なのは、平たく言えば衣食住ですよね。そして、生命保険や貯蓄は、実はその次にあるのではないかと。これが、我々の根っこにある考え方です。そう考えた時に、45兆円を一つの世帯にすれば、毎月平均3万から5万を払っていることになる。

小 : どえらい出費ですよね。

出 : はい、今の日本では、特に将来を担う若い世代、20代から40代前半の人の所得は、ここ数年来、決して上がっているわけではありません。そういう世の中で、我々は、人間にとって人間らしい生活を営むことが一番大事だと考えていて、その次の出費である保険は必要最小限でいいのでは、もっと安くてもいいのではと考えたわけです。
例えば、毎月5万円生保に払っている世帯があれば、本当に必要な保障はひょっとしたら、2万円か3万円で買えるのではないか、そうすれば、余った2万円をもっと人間らしい、自分を実現する生活をするために使ってもらえるのではないか、というような気持ちが根っこにありました。そこで、できるだけわかりやすくて、安くて便利な生命保険を作ってみようと思ったのが、一番の起業の動機になります。

- すっぴんの保険を作る −

小飼氏と出口_3

小 : 確かに、フローの部分で、ストックにならないで、本当に費用化されてしまう部分がものすごく多いということで、私もかなりむっとしましたね(苦笑)。

出 : だから、これはお客さまの選択であると思うのですが、従来型の保険の買い方もあっていいと思うし、逆に、これだけインターネットが発達した世の中では、若い人のために、経費をそぎ落とした、いわばスッピンの保険があってもいいのではないか、それが私たちの会社を作った動機です。

小 : 生保の無印良品である・・・と。

出 : あるいはお化粧をしない保険というか。繰り返しになりますが、人間らしい生活をするには、何を節約するのかという気持ちがあって、僕は食べることが好きなので、やはり保険よりも衣食住がベースにくるのでは、という気持ちがずっと昔からありました。ちなみに、小飼さん、生命保険との接点は何だったのですか?

小 : 保険との接点でいうと結婚ですね。生保会社の人とは何度か会ったのですが、私の家族のリスクをヘッジするものとして心得ていたので、あくまでも掛け捨て。でも、ライフネット生命のウェブの見積もりをみて、それでも今加入している保険は高かったんだ、と気がつきました・・・。

出 : 楽しいお話ありがとうございました。そろそろ、時間になりましたので、最後にライフネット生命への応援の言葉をお願いします。

小 : そうですね・・・。もっと飛ばしてください。ただし、ウェブサイトはもう少し地味でいいと思います。フラッシュはやく消してくださいねー!

サインをする小飼氏小飼弾氏のプロフィール :アルファーブロガー/オープンソースプログラマー/投資家等

  • 小飼弾氏ブログ「404 Blog Not Foundライフネット生命保険サイトの外へ移動します(新しいウィンドウが開きます)
  • 最近の著書「小飼弾のアルファギークに逢ってきた」が好評発売中。

※左の写真は、出口宛にプログラムコードでサインを入れるところ

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お金が無味乾燥なポジションの無いものであってはダメ、何かしらの役割を期待されない場所にあってはダメですよね。個人の意思をもっと込めなくては。消費も投資も納税も。誰に、どんな機関に、どんなプロジェクトにまで自分の意志を反映できる納税制度になったらなーなんて僕も思ったことがあります。アメリカの寄付控除や、日本でも最近のふるさと税制など、そういう制度がどんどん進んでくれることを願います。
すっぴんの保険、まさにお金のない若者である僕のニーズにぴったりです。既存の生保の「対人である安心感」とはよく言われるところですが、これは保険としての価値とは別ですよね。ライフネットは保険として本質的に価値のある部分だけを提供しようとしているのだと認識しました。合理的ですし、僕は御社のサービス理念の方により説得力と善意を感じます。
本当に示唆に富んだお話ありがとうございました。

投稿者:
chigira
投稿日時:
2008年08月10日 01:37

コメントありがとうございます。昔、週刊誌にコラムを書いていた時、「民主主義には、お金による投票もある。源泉徴収を止めて、全市民が納税し、希望する資金使途を明記すべき」と書いたことがあります。
ライフネット生命の商品を評価して下さって、本当に嬉しいです。これからも「よりわかりやすく、より安くてより便利な商品・サービス」の開発を目指して頑張りますので、
引き続き、よろしくお願いします。

投稿者:
出口治明
投稿日時:
2008年08月11日 21:54
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